見出し画像

10月個展作品紹介10(23年)

新作の紹介です。

 終わった世界に残された紫陽花

後戸で生じた紫陽花の種のように新しい世界を宿す卵

少女が目覚め新しい世界が再生する

作品紹介

 本展で追ってきた世界がいったん滅び、残された一輪の紫陽花の卵から少女が目覚め、世界が再生します。
 この地のモデルとなったおは白駒の池のほとりです。ここも標高2000メートルを越える山中にあります。以前坪庭を紹介する際にもお話したように、地元諏訪の高原は異世界、非日常的で、私の作品にとっては楽園や天国のイメージに繋がる場所です。
 本作品は滅びた世界を舞台にしているので他の動物はいません。この世界の始まりとなった紅白の紫陽花のある後戸にも同様に動物は登場しませんでした。(下記記事参照ください)これはこの紫陽花の卵や紫陽花の種がすべてを内包しているからです。これから卵がかえり成長していく過程で世界には多種多様な存在が生み出され豊かな広がりをみせる可能性を孕んでいます。

 また始まりの紫陽花と同様にこの紫陽花も現実にはありえない構造をもっています。紫の紫陽花の中に赤い紫陽花、さらにその中にはありえない色をした菊が生えています。
 紫の落ち着いた色の中に真っ赤な植物が含まれているイメージは、人体の表皮の下に肉や血など生々しい現実が隠れていることと重なります。おどろおどろしい生命の脈動、鼓動は日常では常に言語や恣意的イメージなどの記号によって隠されています(見ないようにしています)。しかし、誰もいなくなってそのような覆いをしなくなった途端に欲求や欲望ではなく欲動という制御不能の何を考えているのかまるで理解出来なに原因不明の反復運動が闖入してくるのです。
 そいう点でこの作品のイメージは単に滅びた後の世界の再生の兆しというファンタジーにとどまらず、現実社会にも起こりうる言語化出来ない闖入者の存在も暗示しています。

 この作品で今回の個展で想定していたすべての作品の紹介となりました。あと2点追加で描いたものがあり、次の記事でご紹介します。
 今回はいわゆるループものの世界観の中で作品を作りました。ただし世界が繰り返す場所は始まり後である後戸とは違う場所です。言ってみれば、自然の中で発生したものが、次の繰り返しで人工の試験管の中で起こるようなものです。こうして個展のために10本の記事を書いてきましたが、その中で自分の感覚に刺さるものが何なのかということを改めて自覚する機会ともなりました。
 私が好きなのはファンタジーではなくSFです。ドラクエやファイナルファンタジーではなくゼノシリーズやガンダムなんです。次回の作品にロボットや戦艦などが出てくることはありませんが、この後はSF作品に通底する心理的、思想的な部分にスポットを当てて作品を構築してみたいと思っています。

 最後まで読んでくださりありがとうございました。
 引き続き個展作品の紹介をしますので、よろしくお願いします。

【作品情報】

題名:深い森で再生す (岐 _∅_ セカイガ目覚メル)
大きさ:P10 号(530*410m)
技法:パネルに油彩
価格:330,000 円(300,000 円 + 税)

【出品情報】

こちらの展示でご覧いただけます。

平林孝央個展
”再生 世界のみる思い出”

2023年10月20日(金)-29日(日)
24,25日休み
12:00-20:00
最終日は19:00まで

ギャラリーフェイストゥフェイス
〒167-0054 東京都杉並区
松庵 3-35-19 SHOEI BLDG.2 #102
(西荻窪駅南口徒歩 2 分)
03-6875-9377

https://www.facetoface2000.com/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?