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大地に根ざした少女

 本日もお越しいただきありがとうございます。
 2023年5月15日月曜日からの個展作品のご紹介です。
 展示と作品詳細は文末に掲載しておりますので、そちらも御覧ください。

世界とひとつの存在。

後戸に撒かれた種はやがて芽を出し花を咲かせ少女が生じた。

大地に根ざした少女

 後戸からは私たちの世界に生命の源が流れ込んでいます。この少女はそんな後戸の空間にいます。
 少女を包むこの植物は大地に根を張っており、世界としっかりつながっています。少女には常に栄養が注ぎ込まれ、そのエネルギーは蝶々となってさらに広い世界を求め旅立ちます。そして様々な世界へとたどり着いた蝶々はすべての存在に注がれその命を活気づけるのです。

 少女の右手首には蚕の成虫がとまっています。実は今回の個展の作品にはたびたび蚕の成虫が潜んでいます。ひとつは蚕の繭を象徴するためです。幼虫が繭になりさらに変化を起こす。そのような再び形態を変えて生まれ変わるための膨大なエネルギーを内に秘めた存在です。私の作品も同じように皆様に力強い生命力を感じてもらえるように描いています。

描写について

 普段は少女を小さく描いているので、このくらいのサイズで顔を大きく描くのは新鮮で楽しいです。毛の一本一本、毛穴の一個一個を追うように対象を観察し、画面に描写していく工程は画中の少女が徐々に息づいていくような感覚です。
 本作は後戸の生命力を一身に背負った少女に接近して描く都合上、その生命力が感じられるようにディテールを描写しています。ツルツルな陶磁器のような肌ではなく、表皮の下に真皮があり肉があり血が通う、生々しい生命体の輝きを表現しました。
 普段私たちは相手の人を見るときには対象を血が通う生物としてではなく、その人の性質や特徴を見ます。見るというよりは読むと言ったほうが近いでしょうか。この人は性別がこうで、歳がいくつで、こういう性格で、こういう経歴を持っていて・・・など対象の視覚的側面よりも言語的な側面を重んじます。もちろん見た目も重要ですが、それに関しても見た目の性質(服装や髪型、清潔かどうかなど)を自分の持つ色々な人物像のテンプレートと照合して相手を判断しています。
 話がそれましたが、つまり私は絵によって普段見えないものを描き出したいと考えています。本作含め作品をとおして見たくださる方が何らかの新たな発見をしていただけたら幸いです。

 前回に引き続き、個展作品の関係図を今回も掲載します。下図なのですが、よろしければ見てみてください。

 最後まで読んでくださりありがとうございました。
 私の作品は基本的には静かな世界を想定していますが、その中でも本作がもっとも静寂に満ちた世界でした。
 それでは今後の記事も宜しくお願い致します。

【作品情報】

タイトル:世界に芽吹く種の起源 (後戸 _a_ 生命の種)
サイズ:F4 号(333*242mm)
技法:パネルに油彩
価格:154,000 円(140,000 円 + 税)

【展示情報】

『平林孝央個展 “世界”の繭』

会期:2023.5.15(月)〜21(日) ※会期中無休
時間:11:00〜19:00  ※最終日は16:00まで
会場: 銀座月光荘・画室Ⅰ 〒104-0061東京都中央区銀座8-7-2 地下1階
   (〒104-0061 東京都中央区銀座8丁目7−2 1F・B1F 永寿ビル)


購入など作品に関するお問い合わせは下記画廊までお願い致します。
◆ギャラリーサイト(すみれ画廊)
http://gallerysumire.squarespace.com/jp/shop/takahiro-hirabayashi2023

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