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【じーじは見た!】 後編:NDCをご存知ですか?

日本政府はCOP26に向けて国連に提出するNDC(国が決定する貢献)を決定するに際して、次の3つを10月22日に閣議決定しました。

1)第6次エネルギー基本計画(主管官庁:経済産業省資源エネルギー庁)
2)地球温暖化対策計画(主管官庁:環境省)
3)パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略(主管官庁:環境省)

NDCの基になる閣議決定3つの内、今回は環境省が主管官庁としてまとめた地球温暖化計画と長期戦略を確認しています。

本編は後編です。前編を読んでから合流いただけたらと思います。


✅球温暖化対策計画の主な施策⁉


「地球温暖化対策計画」の概要をまとめたパワポ2枚の内の1枚に対策・施策がまとめられています。👇

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これから建設される住宅や公共の建物の屋根には太陽光パネルが必ず取り付けられるようになり、断熱材の使用強化が義務付けられる法改正が行われていきます。

世界一暑くて寒い日本の家からの脱却を野党は反対しづらいのですがむしろ与党自民党内に抵抗勢力が多いかもしれませんね。

環境省は、NDC未達を見越して『「二国間クレジット制度:JCM」により地球規模での削減に貢献』という表現で排出権を買ってくることも対策・施策としてちゃっかり最後に記述しています。

この点に関しては、前編で詳しく書きましたので、今日は「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」を見ていくことにしましょう。

✅長期戦略の概要⁉


環境省は、何でも明快です。
「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」という113頁の内容もパワポ2枚に概要をまとめてくれています。

前任の環境大臣(小泉進次郎)の仕事であることを補足しておきます。

国民に分かり易く伝えることに腐心されていた点は高く評価されるべきではないでしょうか?

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上記のパワポ2枚、本当によくまとまっていますよね。

この2枚は『「脱炭素社会への移行」・「循環経済への移行」・「分散型社会への移行」という3つの移行を加速させることにより、持続可能で強靱な経済社会へのリデザイン(再設計)を強力に進めていく。』ことを示しています。

そして『また、地方においては、地域循環共生圏の考え方に基づいた新たな地域づくりで3つの移行を具現化し、私たち一人ひとりのライフスタイルを快適で利便性が高く、かつ、持続可能なライフスタイルに変革していく。』という地方が主役の施策が重要だと言っています。

✅「地方が主役」で気を付けることは何⁉


パワポの2枚目の施策を列挙してみましょう。

●イノベーションの推進
●グリーンファイナンスの推進
●ビジネス主導の国際展開・国際協力
●予算
●税制
●規制改革・標準化
●成長に資するカーボンプライシング
●人材育成
●適応との一体的な推進
●政府・地方公共団体の率先的取組
●科学的知見の充実

実にすっきりしたペーパーです。よくまとまっていて分かり易い。

地方が主役で進める場合に大切なことが「標準化」です。

各地方がバラバラのやり方でソフトの一貫性がないとハードを含めた全てが高くなり、効率は落ち、みんなの収入も上がらないという失われた30年の繰り返しになります。

ところがこの内容が薄いんです。

6.規制改革・標準化
重要分野における実行計画においては、規制改革・標準化などによる、需要の創出と民間投資の拡大を通じた価格低減に政策の重点を置く。
この際、
・規制強化により、新技術の需要を創出する
・新技術を想定すべく、規制を合理化する
・国際標準化等により、新技術を世界で活用しやすくする
といった国内外での制度環境整備や地域間連携を行うことで、我が国の国際競争力の強化、自立的な市場拡大につなげる

たったこれだけです。不安ですね~。失われた30年の繰り返しになりはしないのか?地方の首長の目立ちたがり競争になりはしないのか?

✅ゴシックにした他の2点も見てみましょう⁉


「人材育成」「適応との一体的な推進」ともに2ページにわたり書かれていますので、標準化よりはよほど具体的なイメージが環境省にあるのは分かります。

人材育成では「イノベーション人材育成」の下りを引用します。

我が国が経済と環境の好循環の実現に向けたイノベーションを持続的に創出
し、また、円滑に労働力の公正な移行を進めていくためには、環境・エネルギーに関する科学技術分野をはじめとする様々な分野における人材の育成及び確保が重要である。

これらの人材を将来にわたって輩出するためには、長期的視点での人材育成を継続的に取り組むことが望まれる。

さらに、脱炭素社会の実現は地球規模の課題であり、世界各国が一体となって取り組むことが求められる中、学術・技術力の高さや人材の厚みを強みとする我が国において、世界の脱炭素化を牽引する優れた人材を育成することが重要である。

そのため、環境・エネルギー分野について、基礎研究から実用化までの一貫した研究開発を担う人材を OJT などの必要な環境整備を通じて育成し、若手などの優れた研究人材の輩出に貢献する。

また、企業経営の中により適切に環境の視点を取り入れ、新たな企業価値を創出していくため、環境経営や環境保全に取り組み、経済・社会のグリーン化を牽引する人材、すなわち、環境人材を企業内外で育成するための取組を促進する。

「適応との一体的な推進」とは、緩和策(CO2排出削減・吸収量増大の対策)だけでなく、適応策(災害の激甚化を想定した対策)との一体的な推進が必要ということです。

2ページわたって書かれている内容の一部を引用します。

特に、緩和策と適応策の双方に効果をもたらす施策を推進することは、温室効果ガス削減と同時にレジリエンスの向上につながり、気候変動対策と防災・減災対策を包括的に講じていく「気候変動×防災」の取組に資するとともに、地域社会の健全な発展や人々の健康等に多くの便益をもたらす。

この「防災」投資を各地で考えていく必要があります。

まとまって安全なところに住むためのインフラ投資、ライフラインである水・電気・ガス・アクセス道路をレジリエンスにするインフラ投資、情緒や概念でなく具体策を考えていくことが必要な分野だと思います。

何故ならば2040年までは、どんなに厳しい緩和策をとっても、対策をさぼっても1.5℃気温が上昇(産業革命以降)することは既に分かっている未来なのですから⁉

どうでしたNDCに関連した小難しいお話?
お付き合いくださりありがとうございました。

新聞記事やテレビ解説より分かり易かったよ、自分たちの電気代に跳ね返ってくる可能性を理解できたよと言っていただけると嬉しいです。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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