夏休み最終日の思い出
スイカ割りやるぞ! と聴こえて僕は姿をイルカに変えて沖から戻る。
すでに象くらいのデカいスイカが浜に転がっていた。
「目隠ししたよ!」と百目が大笑いしている。「銃使うのあり?」と武器腕の蛸女が武器を振り回している。
いいよ、と僕がまず目隠しした。スイカまでたどり着けたが大きすぎて跳ね返された。吸血鬼も全然ダメ。百目はズルをして3つ、目が開いていて失格。蛸女は狙いが酷くて周りのコテージを粉々にしただけでスイカは無傷だった。そしたら、それまで浜辺でずっと寝ていた雪男がむくりと起き出して、ヤシの木引き抜いてスイカに迫り、粉々にした。
あーあ、誰かが叫ぶ。とにかく食おうぜ。欠片を拾って思いおもいに口に運ぶ。
生ぬるくて砂っぽくて甘いスイカは夏休み終わりの味だ。明日から新学期、また人間の小学生に戻るんだ。
「宿題忘れてた!」百目が叫んだ。「しょうちゃん、今夜見せて」
本名呼ぶの無しな! 僕の姿はちょっとだけ、夏の日差しの中、素に戻った。
(410文字)
今回もなんとか、たらはかに(田原にか)さんの8/25付、毎週ショートショートnoteのお題「ひと夏の人間離れ」書けましたので参加しました。
よろしくお願いします。
夏休みはギリギリまで宿題溜める派でした……
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