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絶筆

 これが最後になるかもしれない、紙が終わる、鉛筆も。木のウロは湿っていてマッチも全部ダメになった。食糧が尽きて4日。スマホはずっと圏外のままで充電が切れ、仲間は全て、夜中に襲われて浚われ、次々といなくなった。私も靴を片方、持って行かれた。こんな山の中では靴がないのは致命的だ。それに指名手配の殺人鬼もまだ捕まっていないらしい、昨夜さらわれた森田がその直前、自分のスマホでなんとかアンテナがたった、と言って見たのがネットニュース、殺人鬼は同じ山に潜伏中という。そして熊、ハイブリットと呼ばれる奴らがウロウロしている。襲ってきたのはでも熊ではなかった、何だあれは? 森田の最後の言葉がそれだった。私は見えていなかったが、気づいた時には森田はいなくなっていた。それと、山頂近くの空き地の廃墟となった屋敷、あの歌声は? ダイヤが隠されているというのは本当か? 真夏に降る赤い雪?どこまでも謎。来た、あれが……山のポ


 記録はここまでだった。


(410文字)

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