行場について


修験護摩

現在、コロナに感染して3日目。まだ喉や鼻、頭痛で寝込んでいます。鎮痛薬が効いて気分が良くなってきた。
実は今日は山の行場に鎮座している不動明王と行場にいらっしゃる、八百万の神々に会いに行く予定でした。
山道を2キロほど歩き、沢を越えて行きます。御神酒、お菓子、線香、蝋燭を背負って。
かつては先代師匠、行場を再発見して護り続けたF先達、信者さんなど20名ぐらいで歩きました。みんな、それぞれの想いや願いを持って歩きました。
私も先祖伝来の不動明王を背負って、母と歩いたのを今思い出した。
皆、不動明王の祠に着くと線香に火をつけて煙がもうもうと立ち込めていました。
供物を祭壇に捧げてから行衣に着替えて添え護摩を書き始め、準備を終えると始まるのを待ちます。私はいつも太鼓を叩く役目で始まりの合図と共に太鼓を叩く。
F先達が祭文を朗々と叫ぶように読み上げている。
祭文が終わると法螺貝が鳴り響く。
錫杖経から始まって心経、不動経と続く。
あとはF先達の気ままに真言や陀羅尼などを次々と唱えていく。
諸経、真言陀羅尼が終わって祈願、回向。
F先達が「さあ!やるぞ」というと皆、立ち上がって大護摩の前に。
太鼓を移動して私は太鼓の前に座る。
導師のF先達が座って合図を送ると、太鼓をドンドンと始める。
心経、不動経から真言に替わるころ、大護摩に松明をいれて着火。
煙が轟々と上がり、火が見え始める。
真言にも力が入って叫ぶように唱える。煙から炎に変わるとバケツで大護摩の下段から水を豪快に掛ける。
F先達は次々と印を組み、供物を投げ入れている。合図を受けると皆、思いおもいに添え護摩の願い事を炎に投げ入れる。
盛んに燃えていた炎が落ち着いたころに大護摩の丸太を崩して火床を整える。
大量にある、肘まである長さの割り木を火床に並べると、F先達が立ち上がって行場に流れる河に入ると「大日大聖不動明王!」の掛け声と共にバケツで頭から水を被る。
火床の前に行き、作法を終えると膝まである炎の中を歩く。
火渡りである。
先代師匠、信者衆も次々と渡る。私も一気に渡る。それを三度程繰り返してから滝に向けて移動する。
四大明王の元、滝つぼだったところに肩までそれぞれが浸かり、清める。
F先達が九字を切って滝へ入る。かなりの勢いがある。
F先達が滝から出ると、初代師匠、行者、信者などが入っていく。
ある人は子供が大病で入院したので、身代わりになって入る。またある人は、娘が色狂いになって帰ってこないというので身代わりに入る。
願いを込めてそれぞれが入り終わると。大護摩の前に戻ってお勤めをして終わる。
そのあとは着替えて後始末をして、護摩の火をもらって大鍋大会。
皆で食べたり、酒を飲んだり。私は先代師匠やF先達の下ネタからの法話や作法、昔話を聞いていました。

その先代師匠は50代で亡くなり、F先達も御年80歳を越え、自治体から護摩木などの道具を撤去を命令されて、それを機にか大護摩も辞められて、スッパリと参詣も辞められたようだ。
残るは私と熱心な信者の一家族のみ。

今年から小さいが修験護摩を修していこうと思う。

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