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「ジョーカー フォリ・ア・ドゥ」      妄想と現実と。

【評判は良くないらしいけど】

「ジョーカー フォリ・ア・ドゥ」
トッド・フィリップス監督。
ホアキン・フェニックスとレディ・ガガが出演。
前作は大ヒットだったし、高評価。
しかし、続編となるこちらは、あまり評判が良くないらしい。
私の知り合いも、
「蛇足感、半端ない。」
とか言ってたしなー。
でも、私は興味深く観ることができました。
「あなた方が観たいのは、暴走する悪のヒーローなんだろうけど、
   違うことをやりまーす。」
という裏切り方って、悪くないように思えましたが。
70年代によくあった「不発の青春」に連なる映画?
今の時代では、ヒットしなさそうではあります…。

【妄想と現実】

「フォリ・ア・ドゥ」なんていう言葉からして分かりにくい。
フランス語で
「2人狂気。1人の妄想に、別のもう1人が影響を受けて、
 同じように妄想してしまう現象」
などと説明されても、ね。
でも、まぁ、そんな映画なんだよなぁ、確かに。
ただ、その妄想がどこまで妄想で、
どこから現実か、というのが、凄く曖昧で境界線がハッキリしない。
そこが面白いといえば、面白い。
だいたい、ハーレイクインの存在は現実なのか??
とか疑い出すとキリが無くなる。
それを面白がる映画なのかも、しれませんね。
あの、裁判所での大事件も、妄想なのか現実なのか…。

【前作の時の女子生徒たち】

一作目を観た時、前の列に高校生かな、と思われる女子が3人並んでいました。
「内容、分かって来たのかな?」
と少し心配でしたが、上映が終わった後、そのうちの1人が
「気分、悪くなった…」
と苦しそうにしてました。
それほどの没入感と暴力性とインパクトがあったということかも、知れません。
続編では、それを更に上回るパワーを!!
そんな要求をスカして見せたのが、
今回のトッド・フィリップスの演出のような気がする。

【「ダンサー・イン・ザ・ダーク方式」と「深作イズム」】

レディ・ガガ登場ということで、ミュージカル要素も導入されます。
でも、ここで採用されたのが「ダンサー・イン・ザ・ダーク方式」。
(そんな方式があるのかどうか、知りませんが(笑))
ジョーカーが不幸になるか、なりそうだと、
ミュージカル的な場面になる(全てではなかった気もしますが)。
これはダークな世界には会うンですよねぇ。

それとは別に、刑務所の看守に痛めつけられるシーンは、
なんか「深作欣二イズム」も感じたり。
「仁義の墓場」や「県警対組織暴力」とか、思い出したり。
苛烈な表現でした。実に痛そう…。
「化粧したら、なんでもできるようになると思ったか!?」
と罵られながら、殴られるなんて、ねぇ。

【ホアキンの選択】

ホアキン・フェニックスの演技は、相変わらず凄くて真に迫っていて、
魅力的だったと思います。
アーサーとジョーカーとの違いに、引き裂かれている男…。
小人症のゲイリーがアーサーにかける言葉、
「お前は悪い奴じゃない」
も、何だか切なかったりします。

しかし、ホアキン、ここのところの出演作、
「ジョーカー」「ナポレオン」「ボーは恐れている」
「ジョーカー フォリ・ア・ドゥ」と、
なんとも難儀な、悪夢的な作品が続いているような。
精神面は、大丈夫なんだろうか??
他人事ながら、ちょっと心配になったりします。

【音楽が良かった】

音楽は前作に引き続き、ヒドゥル・グドナドッティル。
前作も、素晴らしい音楽が付いていたものなぁ。
「ター」なんかも担当していますね。あれの音楽も良かったですよね。
この人の映画音楽、もっと色々と接してみたいものです。

【最後に】

というワケで、評価が分かれる映画なのは間違いないのでしょう。
でも、賛否両論あった方が面白いとも言える。
まずは、観てみて、自分はどっちかなのか、
確かめてみるのも、映画体験の楽しみの一つですよね。
百聞は一見にしかず。
とにかく体験して欲しいです。映画館で没入して観るのが良いと思います。
まぁ、どの映画でも、私は同じことを言うのでしょうが。



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