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【食品表示法】加工食品の表示

加工食品は「製造または加工された食品」と定義され、調味や加熱等を加えた様々な食品があります。加工食品には、食品表示法(食品表示基準)で定められた事項を表示しなければなりませんが、食品によっては個別の公正競争規約や地方条例で表示内容が定められているものもあります。

正しい表示を行うためには、複雑で多岐にわたる知識が必要になりますので、「食品表示診断士」などの資格者にアドバイスを求めるのが良いでしょう。

本記事では、食品表示基準に定められた一般的な表示事項(横断的義務表示事項)について解説します。

名称

食品の内容を的確に表現する一般的な名称で表示します。ソーセージやハム類のように食品表示基準に「名称と定義」が定められているものは、それに従います。
乳及び乳製品のように個別の省令(乳等省令)に定義されているものや、はちみつのように公正競争規約に名称に関する規定があるものもあります。

原材料名

使用した原材料を、原材料に占める重量割合の高いものから順に、一般的な名称で表示します。野菜、食肉、魚介類など、同じ種類の食材を複数使用する場合には、「野菜(にんじん、たまねぎ)」のようにまとめてわかりやすく表示することもできます。

原料原産地名

加工食品の主たる原材料の原産地は、消費者にとって商品選択の際の重要な情報となるため、2017年に原料原産地表示制度が改訂され、国内で加工されたすべての加工食品が原料原産地表示の対象となりました。

基本的には、「原材料のうちで重量上位1位のもの」に原料原産地名を表示します。尚、新しい原料原産地表示制度には5年間の猶予期間が設けられ、事業者は2022年3月末までに新しいルールに適合した表示を行う必要があります。

原料原産地表示は、別記様式に「原料原産地名欄」を設けて表示するか、原材料名欄に表示された対象原材料にカッコをつけて「豚肉(国産)」のように表示します。

原材料が加工食品(中間加工材料)の場合、「〇〇製造」と製造地を表示します。 e.x. リンゴ果汁(ドイツ製造)

添加物

食品の製造工程で、加工や保存等の目的で使用される添加物は、食品表示基準で表示方法が定められています。

①使用した添加物は、原則的に全て表示します。
②添加物に占める重量割合の高い順に表示します。
③原則として「物質名」で表示します。ただし、以下の8種類については用途名を併記し、「用途名(物質名)」と表示します。

用途名を併記する添加物:
甘味料、着色料、保存料、増粘剤・安定剤・ゲル化剤・糊料、酸化防止剤、発色剤、漂白剤、防かび剤

内容量

容器包装に密封して販売する加工食品は、食品表示基準および計量法で内容量の表示が定められています。
内容重量、内容体積、内容数量をグラム(g)、ミリリットル(ml)、個数、枚数などの単位で表示します。

計量法の特定商品に該当するものは、その数値が1万以上にならない単位で、グラム(g)、キログラム(kg)、ミリリットル(ml)、リットル(L)等の定められた単位で表示します。
尚、食用油は温度による体積の変化が大きいので、重量(gまたはkg)で表示することが定められています。

固形物にソースなどを加えて密封した食品で、固形物の管理が可能なものは、「固形量と内容総量」の両方を表示します。

また、食品表示基準や公正競争規約に個別の規定がある食品は、それぞれの規定に従って表示します。

期限表示(賞味期限・消費期限)

全ての加工食品には、期限表示が義務付けられています。期限表示は、品質が劣化するスピードによって「賞味期限」または「消費期限」の2種類から選んで表示します。尚、この期限は「未開封の状態で、表示された保存方法に従って保存した場合」を前提としています。

賞味期限:
賞味期限は、「定められた保存方法に従って保存した場合、期待される全ての品質の保持が十分に可能であると認められる期限を示す年月日をいう。ただし、当該期限を超えた場合であっても、これらの品質が保持されていることがあるものとする。」と定義されています。
牛乳、缶詰、スナック菓子などが対象となり、食品メーカーでは保存試験を行った上で余裕率を設定して賞味期限を定めています。
賞味期限を過ぎたからと言って、すぐに衛生上の危害が生じるわけではありませんので、廃棄せずに早めに消費するようにしましょう。

消費期限:
消費期限は、「定められた方法に従って保存した場合、腐敗、変敗その他品質の劣化に伴い安全性を欠くこととなる恐れが無いと認められる期限を示す年月日をいう。」と定義されています。
弁当や総菜、調理パン、食肉など、品質劣化のスピードが速いものが対象となります。
消費期限を過ぎた食品は、衛生上の危害が生じる可能性がありますので、廃棄するのが安全です。

保存方法

食品衛生法で保存基準が定められている食品は、基準に従って保存方法を表示します。特に基準が定めれていない食品は、その特性に合った保存方法を具体的に表示します。その際、流通や家庭において無理のない保存方法を設定するように注意します。

原産国名

輸入した加工食品には、食品表示基準および景品表示法に基づいて、原産国名を表示します。

食品表示基準では、以下に該当する食品に原産国名の表示を義務付けています。
①容器包装され、そのままの形態で消費者に販売される製品(製品輸入)
②バルクで輸入され、国内で小分け容器包装した製品
③製品輸入したものを国内で詰め合わせた製品
④輸入した製品について、国内では「実質的な変更をもたらす行為」が加えられていない製品

製造者・加工者・輸入者・販売者

加工食品に携わる事業者については、以下の2つの規定による表示が義務付けられています。

①表示責任者
商品の表示内容に責任を持つ者の氏名または名称、住所を表示することが定められています。

②製造者
製造所・加工所の所在地、および製造者・加工者の氏名または名称を表示することが定められています。

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