6月の誕生石って月との関わりが深いと思っていたけど、新しい石はそうでもなかった件。
誕生石が西洋で浸透した「守護石」という概念をもとにして、アメリカの宝石商組合が定めたことが始まりだと、前回お話ししました。
6月の誕生石はどうやって選ばれたのか?
今回は、6月の誕生石にスポットを当てたいと思います。前回より、少しだけスピリチュアルな話題も含まれてますが、この話題が創作の糧になれたらと思っています。
三つの誕生石、どれも素敵ですが、選ばれた理由はちょっと違うのかもしれません。
私なりに、どうして誕生石が選ばれたか、考えてみました。
◇6月の花嫁は幸せになる?
見出しを読んで「誕生石と何の関係があるの?」と思った方もいるでしょう。
繰り返しになりますが、誕生石の概念は西洋での守護石が元になっています。6月の神様はローマ神話のJune《ユノ》です。
ユノは結婚と出産を司る女神です。
日本の6月は梅雨時期で、結婚式には不向きに思いますよね。でも、西洋に梅雨はないんです。西洋の6月は春を迎えて夏に向かい、花が咲き誇る過ごしやすい時期です。
花に囲まれた季節に結婚を向かえるって、考えただけでも頬が緩みそうじゃないですか?
また古い時代の西洋では、農作業の妨げとなることから、3、4、5月の3ヶ月間は結婚が禁じられていた、なんて話もありますからね。結婚が解禁となる6月は祝福ムード満点だったのかもしれません。
このように、西洋の6月は結婚ムードですし、ユノの祝福を受けられるというイメージがついたのだと考えられるでしょうね。
だから、どうしてその話が誕生石に繋がるんだって?
まぁまぁ、もう少しお付き合いくださいね。
◇余談ですが月=女性という考えがあるみたいです。
6月の誕生石には、ムーンストーンとパールがあります。
ムーンストーンは読んで字のごとく、月の石ですね。月から降ってきた訳じゃありませんんが、その乳白色の色味が輝く月を思わせることから、その名がついたのでしょう。
またパールも、月の雫が海に落ちて出来た、と古くは云われていました。パールについては、先日コラムを書いているので、そちらを読んでみてくださいね。
この二つ、最近では他の色味もありますが、代表的な色味は乳白色で、優しい月の光を思わせる輝きでしょう。
古くから女性は月に喩えられてきました。ギリシャ神話には月そのものである女神がいますし、月を司る女神も様々な神話に見られます。
月を司る男神がいない訳じゃないんですけどね。
夜に優しく見守ってくれる月が女性的に見えるのも、なんとなく、納得できるなと思うんですよ。
月=女性という考えが古くにあったとすると、6月《ジューンブライド》の誕生石に、月のイメージが強い石が選ばれたのも、不思議ではないのかもしれませんね。
◇6月の女神には白がよく似合う?
ところでウェディングドレス=白のイメージは、やっぱり強いですよね。
これを定着させたのは、1840年イギリスのヴィクトリア女王の婚礼衣装だったそうです。それまでは、富と権力を示すように、カラフルで、きらびやかなドレスや宝石を身にまとったようです。
でも、頭にかけるベールだけは白だったそうです。
ベールは悪魔除けの意味もありますからね。
神聖な白は、神に誓う結婚式には欠かせないアイテムであり、そのベールは花嫁を守るものでもあるんです。
なんとなく、結婚式のイメージに「白」が必要だということが伝わりますかね?
ここで思い出してください。
6月の神様であるユノは結婚を司る女神です。ユノほど白がふさわしい女神はいないと思えませんか?
つまりですね。
6月の誕生石にムーンストーンとパールが選ばれたのは、6月と「結婚」のイメージは切り離せないことと、結婚には白いものが欠かせないことが、結び付いたからだとおもうんです。
◇日本の6月は紫陽花が綺麗です。
そうなんですよ。
日本の6月って梅雨空でじめじめ。そんな日々を彩るのは、古くから紫陽花の印象が強いですよね。まぁ、これも
紫陽花の品種改良は盛んなので、最近では、白い紫陽花もずいぶん出回っていますけどね。これって江戸時代に品種改良が盛んになったことで……おっと、ついつい、私の好きな江戸時代の園芸ブーム話題にすり変わるとこでした。笑
園芸ブームはまた別の日に。
白いジューンブライドも素敵ですが、紫陽花のような雨に濡れた輝きの方が、日本らしいと思いませんか?
青やピンクに色を変える石があれば……
ありますよ!
それが、6月の誕生石に新しく加わった、アレキサンドライトです!
アレキサンドライトは、ちょっと変わった石で、光を浴びると色味が変わるんですよ。
基本は青みがかった緑やブルー系の石なんですけどね。光を浴びると紫がかった赤になるんです。不思議ですよね。
色が変わるって、青やピンクの紫陽花のようですよね。
アレキサンドライトを選ぶとは、なんと粋なことでしょうか。
なお、2021年に行われた誕生石の改訂は、全国宝石卸商協同組合の改訂案に、日本ジュエリー協会、山梨県水晶宝飾協同組合が追認して行われました。
この話は、前回も触れましたね。
ジューンブライドを表すような誕生石も素敵ですが、日本らしい季節を思わせてくれる誕生石も素敵ですよね。
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