映画『ヴィレッジ』

映画『ヴィレッジ』公式サイト｜大ヒット上映中

2023年4月21日公開

『ヤクザと家族』を観るきっかけになったもうひとつの作品。HiHi Jetsの作間龍斗（自担）が黒木華の弟役で藤井道人監督の映画に出るっていうんでなんてこったですよ。しかもオファーとのこと。キャスティングディレクターが監督に提案して、それじゃあということで採用になったらしい。しかも撮影を進めていく中で監督の信頼を得て、当初予定になかったシーンを追加することになったとか。多分最後のシーンだと思うんだけど。
この映画も藤井道人監督作品らしく頭のてっぺんからつま先までどうしようもないんだけど、というか最後のおそらく追加シーン？がないとこれは本当に希望もなにもない映画になって、最後があるのとないので余韻が変わると思うんだけど、自担が作品の味に影響するほど監督に強い印象を与えたのって、嬉しいことですね。

いやしかしこんなに最初から最後までどうしようもないことある？藤井監督の作品だから途中で希望が見えてもまっっったく希望に見えないんだもん、すごいよ。後半で地の底に落ちるための、ジェットコースターのあの登る部分でしかないんだもん。まあそれを観に行ってるんですけど…。

この映画はねえ、本当に横浜流星がすごい。

父親が起こした事件のせいで村から忌避され、酒とギャンブルに溺れる母親の借金を返すために村にある大きなごみ処理場で働く主人公（横浜流星）。人生に選択肢や逃げ場もなく、希望のない日々を送っていた。そんなある日、幼馴染（黒木華）が東京から地元に戻り、ごみ処理場の事務方として働き始める。他の村人たちとは違い、主人公に気を掛け、優しく接してくれる幼馴染の働きかけで、主人公の立場が変わっていき、やがてごみ処理場の「さわやかな好青年の広報担当」として一躍有名人となる。社会科見学に訪れる小学生を案内したり、テレビ出演をするほどになり、かつての暗く鬱々とした青年の姿はどこにもいなくなっていた。
しかしそんな希望に満ち溢れた日々は、長くは続かぬ脆いものだった…。

この、暗い青年と爽やかイケメン広報担当とその後の展開での主人公のキャラクターの振れ幅がすごくて、その振れ幅を演じる横浜流星がすごいんですよ。横浜流星を観るために観ても満足感はあるよ、間違いなく。
あと『来る』のときもそうだったけど、黒木華のあの絶妙に嫌な女感を出すうまさまじで何？この幼馴染も東京でうまくいかなくて地元に帰ってきたんだけど、そりゃうまくいかんかったんやろなあ…みたいなのが感じ取れる振舞いをしていて、うまいんだ、それが。黒木華は。好きすぎる。

自担については完全に色眼鏡で見ているので褒めしか出ないんですけど、あの人の独特な佇まいって本当に味わいがあって、こういうダウナーな映画で映えるな…って思います。もっとダウナーな映画に出てほしい。現在絶賛大河ドラマと日テレの水10ドラマに出演中です。

全然面白い話ではないし、公式サイトにあるように「現代日本の縮図」とか言われるとでけぇこと言うじゃねえか…と思っちゃったりするので、絶対観るべき作品かと言われると私はうーん…ってなるんだけど。『ヤクザと家族』『インフォーマ』『ヴィレッジ』と観てきて、藤井監督作品はどうしようもなさとその情景の映像を楽しむものなのかなって思えてきた。
とにかく間違いない役者を揃えて間違いない演技がぶつかっていて良い。それは間違いなく言えるので、その点は間違いなくおすすめです。