お正月に演じられる能
年始のおめでたい時期によく上演される演目についてご紹介します!
翁(おきな)
お正月などおめでたい時に「翁」は上演されます。
「能にして能にあらず」と言われており、他の演目とは一線を画しています。
「翁」を勤める能楽師は、一定期間、家族と食事を別にするなど、心身を清め穢れのない状態にしてから舞台に立ちます。
また、見所(客席)からは見えませんが、揚幕の奥には、翁面や烏帽子、御神酒などを供えた「翁飾り」と呼ばれる祭壇が設けられます。
通常は揚幕の奥で能面がかけられますが、「翁」は舞台上でかけます。
能面をかけることで神の依り代となり、天下泰平、国土安穏を祈ります。
「翁」は、翁の舞、千歳の舞、そのあと三番叟(三番三)の舞になります。物語としてストーリー性があるのではなく、神聖な儀式のようです。
なお、翁の上演中は入退場ができませんので、ご注意ください。
また、お正月は能舞台の上部にしめ縄が張られ、能楽堂が普段よりピンとした空気に包まれます。
ぜひごの機会に足を運んでみてくださいね。
2023公演情報(素謡、「神歌」を含む)
高砂(たかさご)
あらすじ・みどころはこちら(檜書店ホームページ)
https://noh-sup.hinoki-shoten.co.jp/sh/67/ja
「高砂」は、お祝いの曲として知られている名曲です。
物語に登場する「相生松(あいおいまつ)」は夫婦愛の象徴としても有名ですが、結婚披露宴で新郎新婦が座る場所を高砂と呼ぶルーツにもなっています。
「高砂」はおめでたい席で謡われることが多く、例えば神主の一行が住吉神社へ向かうときに謡われる「高砂や この浦船に帆をあげて~」のフレーズは大変有名です。
また、松は古来より神が宿る木として信じられていたり、常緑樹ということから長寿の象徴とされてきました。
一曲を通してめでたさを感じることができ、神舞の部分も明るくアップテンポで、お正月やお祝いの席によく合う曲です。
公演情報
「翁」や「高砂」が観られる能会をご紹介しました。
全国で上演されますので、ぜひ足を運んでみてくださいね。
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