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「式能」は江戸時代に作られた演能形式

2月19日(日)に国立能楽堂で「式能(しきのう)」が開催されます。
翁付五番立(おきなつきごばんだて)と言われる番組構成で、毎年2月に能楽協会主催で催されています。

第63回 式能
https://www.nohgaku.or.jp/shikinoh2023

■式能について

式能の番組構成です。
はじめに翁があり、能→狂言を繰り返していきます(能五番・狂言四番)。脇能の次に演じられる狂言は「脇狂言」とも言われる祝言性が高い演目になります。
演目の種類(曲趣)も決まっており、それに準じて行われています。

「式能」は翁付五番立の演能と言われていますが、もともとは儀式として行われる演能の事を指していました。

式能は江戸時代に確立された演能形式です。

江戸時代、「式楽(しきがく)」と呼ばれた能楽ですが、将軍家の婚儀や誕生祝など、幕府の祝典や年中行事の際に行われた翁付の演能形式を「式能」と称しました。そして明治以降は、江戸時代の方式を「式能」と規定し演能が催されました。

五番立には、五座(江戸時代は「流」ではなく「座」と呼ばれていました)が、一番ずつ勤める、という意味もあったようです。現在、シテ方五流が揃う催しは、この「式能」だけです。

また、檜書店で扱っております「観世流初心謡本(上・中・下)」は、お稽古を始められた方用に五曲ずつ綴じた本です。

観世流初心謡本(上・中・下)

こちらも五番立と同じように、右から「脇能(鶴亀/竹生島/菊慈童)」「修羅能(橋弁慶/経正/田村)」「鬘能(吉野天人/羽衣/東北)」「雑能(大仏供養/小袖曽我/富士太鼓)」「切能(土蜘蛛/猩々/紅葉狩)」の順番に載っています。

■翁とは

「翁」は通常の能とは違い、人々の平和や安寧を祈る儀式の要素が強くなります。

翁役のシテは、舞台の数日前から別火(べっか・日常の穢れを忌んで、煮炊きする火を家族とも別にすること)をし、当日を迎えます。
当日は、揚幕の奥の「鏡ノ間(かがみのま)」で翁の面や鈴・お神酒や洗米・粗塩を置いた祭壇(翁飾りという)を設けます。
そこで出演者は、お神酒を飲み米をかみ、塩で身を清め、火打石で切火をして幕を出ます。

これだけでも特別だと分かりますね!

観客として「翁」を観る際も、翁の最中は途中入場退室不可になる等、通常とは違います。

「翁」とは能楽師だけではなく、観客も一緒に祈りを捧げる演目なのかもしれませんね。

「翁」を映像で見てみたい!もっと知りたい!という方は、ぜひ下記をご覧くださいね。

■DVD大和多武峰奉納〈翁〉

■DVD京都薪能

■翁の本01熊本・喜多流&翁の本02東京・観世流《非売品特典付き》




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