産業機器でのAI活用事例

AI技術が生産技術の人に注目され始めてから感覚値で10年くらい。はたしてどの程度産業機器機器に浸透しているか調べてみた。
基本的にはコンポーネント単体でAI技術を使用しているというのが定義。言い方を変えれば、専門家で無く、コーディングもあまりできないおじさんが使える機器。とりあえず日本に限定。

KEYENCE

産業機器といえばキーエンス。画像認識からセンサー、レーザーマーカーまでなんでもあり。

AI搭載 画像判別センサ
IV2シリーズ

https://www.keyence.co.jp/products/vision/vision-sensor/iv2/

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カメラ、LED照明、CPU、イーサネット通信、産業ネットワーク準拠(Ethernet/IP, EtherCATなど)、IP67と何も悩む必要無く選択できるように全て準備済みという感じ。

さてAIをどう使っているか。

AIによる自動設定。だから、知識・経験が不要
従来は検出設定を完了するまでに、OK/NG画像の大量登録や高性能PCの準備などが必要でした。IV2シリーズは有無・判別に特化した学習済みのAIを搭載。最低1枚ずつのOK/NG画像を登録するだけで設定が完了します。 また、高性能CPUを搭載した小型アンプで設定が可能なため、高性能PCが不要です。

アプリケーションによって中の画像認識プログラミングを切り替えて使うイメージ。
例えば

検出方法:標準モード(直径)[形状判別/位置補正/多品種]

円形の製造品に対して、その大きさが異なることを検出したい場合はこれ。

検出方法:標準モード(OCR)[OCR機能/位置補正/多品種]

賞味期限などの文字を検出してちゃんと印字されてるか確認したい場合はこれ。

今までの産業機器向け画像認識ではどうしてもエンジニアがシーケンスを自分で組む必要があった。
0.画像認識開始トリガ
1.撮像設定(シャッタースピード、感度)
2.画像前処理 その1 (2値化、色フィルター)
3.画像前処理 その2 (回転、画像基準点移動)
4.認識処理 (ピーク検出など)
5.閾値判定計算(画素数から実際のサイズを計算比較)
6.判定処理通知

これがこの画像センサーなら2から4まで画像読み込ますだけで出来る可能性あり。
もちろん認識精度は実機を使ってテストしないとわからないが、画像認識ユニットのノウハウがないエンジニアが作った画像認識プログラムよりは良さそうな気がする。

沢山の学習データを読み込んで認識する場合ではなくて、ある程度シーン別に作り込まれたプログラムを使って、追加学習を行ってるイメージ。

AIというキャッチーな言葉、画像認識を設定する難しさを軽減する方法、標準化された産業機器要求対応。本当に商品力がある。

OMRON

こちらも有名。日本のメーカーにしては欧州規格などを積極的に取り込んでるイメージ。
対応規格も先見の明がある。
Ethernet/IP インフォメーションレベル
EtherCAT フィールドネットワークレベル
IO-Link センサーレベル

画像処理システム FHシリーズ

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https://www.fa.omron.co.jp/product/promotion/fh_ai/
標準の画像認識コントローラーにAIライブラリを搭載?

AI専用の環境構築不要
AI導入のためのハイペックなハードウェアも、それぞれの現場環境に合わせたシステムに仕上げるためのAIエンジニアも不要です。生産現場での使用実績を多数持つ汎用画像処理システムでAIを簡単に導入できます。

こちらもAIエンジニアなしでできることを売り文句にしている。

「人が傷と感じる画像の特徴」をあらかじめ学習させた画像処理フィルタです。従来手法では自動化の障壁となっていた
「予測できないサイズ・形・色」等の傷の定義をしなくても、AIが傷の特徴を判断し抽出します。
学習データには、オムロンがこれまでの蓄積した画像も含まれており、加工面の上にある欠陥など、従来手法では
判別しにくかった不定背景上の欠陥も検出が可能です。

AI活用はフィルターと位置補正。
そして画像登録などをアシストする機能もこちらには搭載。

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マシンオートメーションコントローラ
NXシリーズ
https://www.fa.omron.co.jp/product/special/sysmac/featured-products/ai-controller.html

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PLC(Programable Logic Controller)と呼ばれる産業機械独特のコントローラー。プログラム言語は、ST言語、ラダー言語を使用。
IEC 61131-3に準拠しており、ヨーロッパで使用されているコントローラー等と同様のプログラム言語でプログラミングできる。
昔は各社独自のラダー言語で構成されており、その都度独特の癖を習得する必要があった。(実際には各社ツールが異なるためIEC61131-3に準拠していても、まったく一緒ではない)

こちらは予防保全というテーマで、このコントローラーに内蔵されたAIライブラリを使用することで、いつもと違う異常を検出する。

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超高速AIエンジン搭載
リアルタイム処理に最適な機械学習エンジンIsolation Forestをベースにオムロン独自の高精度化チューニングを行い、高速性と高精度検出の両立を実現しました。また、多峰性を持ったデータに適用可能なアルゴリズムで、多品種生産等、複数の動作モードが必要な装置にも適用可能です。

特集サイトでは上記のように説明されているが、実際のコントローラーの説明書には詳しい記載はなく、まだ開発中?
この辺りは実際に購入しメーカーとともに実装する必要がありそう。

まとめ

センサやコントローラー単体でのAI活用は非常に少ない。
やはり画像認識での活用は、実例も含めある程度実績がありそう。
センサから得られた情報から別のハードウェアでAI処理を行う、ロボットに搭載されているカメラから得られた画像に関してAI処理を行い物体認識するなど、ソリューションとして提供されている案件は複数みられた。

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