見出し画像

明日は二度来る/人生リハーサル

あらすじ

友也はごく普通のサラリーマンのように見えて、人とは違った人生を送っている。月月火火というように一日が二回あるのだ。最初のリハーサルのような日に起きた失敗を本番の二日目で取り返せる利点がある。おかげで仕事ではミスがないと評判!

しかし、その一方で友也は人生に真剣味を感じなくなっていた。本来なら、かけがえのない一日となるはずなのに、やり直しが効くのだから当然かもしれない。

ところがある日、大きな失敗をしてしまったのに、本番がやってこない。本番日で取り返そうとしていたので、焦りまくる友也の前に同僚の福田治が「お前もリハーサル日があるのか!」と言ってくる。

実は福田もリハーサル日を持つ人間だった。ただ治は友也と違って、今回に限って三回ループしているという。もしかしたら、本来友也にあるはずの一日が福田に移ったのかもしれない。

などと考えていると、福田は「のんびりしている暇はないぞ、お前、このままだと今日死ぬ!」と言われるのだった。しかも、治は二回目を使って、止めようとしてるのに、それが叶わなかったという。

リハーサル日が消えた友也は、もう二度とリハーサル日はないかもしれないので、今日という日がラストチャンスと考えた方がいい。どうにかして今日を本気で生きてみようとする奇妙なふたりの生き残りをかけたチャレンジングな一日が始まる。

つづく

〇オフィス(朝)

早朝に出勤したため、オフィスには友也と福田のふたりだけがいる。

友也「いや、でも、俺の経験からしたら、例え一日が繰り返しても、人の寿命だけは変えられなかったはずだ」

福田「俺もそう思ってたんだけど、どうも違うようなんだ。実際、俺は一度死んでる」

友也「ええっ!」

福田「けど、二度目の日に死を回避できたんだよ。つまり、リハーサル人生をしている者は死を避けることができる」

友也「良かった……で、俺は今日、どうやって死ぬんだ? 交通事故か? それとも心臓発作とか?」

福田「それが、お前、いきなり会社にやってきた女に刺されるんだ」

友也「なんだそれ? 俺、殺されるほどの恨みをかった覚えなんてないぞ」

福田「きっとその女の思い込みだろうな。お前、イケメンだから」

友也「いや、それほどでも……って、それよりも、どうやって避けたらいんだ? とりあえず早退か?」

福田「それはもうやってみた。けど、女がやってきて、お前を刺すんだ。だからそれ以外をやってみないといけない」

友也「あ、俺、なんか嫌な予感がした。ここにふたりもリハーサル日を持ってる人間がいるなら、もしかしてその女も」

福田「そうなんだ。女もリハーサルをしている可能性がある。友也を殺すための殺人リハーサルを」

友也「だから、そこまで恨まれる筋合いはな……ああっ! もしかして、取り返せなかった昨日の失敗が関係してるかもしれないっ!」

つづく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?