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「飛び地のジム」イッキ読みのために

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長編小説を公開しながらも、読みにくかったですね。。。すみません。せめて一覧にしてみました。少しわかりやすくなりましたか?
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『飛び地のジム』(完全版)公開します

第6回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作であった、石立ミン『飛び地のジム』を初公開しま…

『飛び地のジム』プロローグ

 プロローグ  その少年は生まれつき不幸だった。  そこには何の不思議もなかった。  未だ…

『飛び地のジム』第一部 1

1  西の空が黒ずんだ雲にすっぽり覆われ、遠い昔に使われなくなった錆びた電線が風に揺れ、…

『飛び地のジム』第一部 2

2  ジム・シモンズは西暦2×××年、今から二三年前にユタ州ソルトレイクシティに生まれた…

『飛び地のジム』第一部 3

3  学校に上がる年になっても、ジムがなかなか言葉を発しないことは周りに様々な問題を生じ…

『飛び地のジム』第一部 4

4  ジムはその後短期間のうちに、驚くほどボキャブラリーの量を増やしていった。  もちろ…

『飛び地のジム』第一部 5

5  ジーナ・シモンズがそれに気づいたのは、ある晴れた日の午後のことだった。  遮光カーテンの隙間から入ってくる木漏れ陽に目をしかめ、ジーナはこめかみを指で軽く揉んだ。モニターはデータのダウンロード終了を知らせる緑色のインジケーターを点滅させ、次のデータに備えて待機状態であることを教えていた。  ジーナは立ち上がって伸びをすると、モニターに向かって命じた。 「フィルモグラフィを検索して」 「性別、名前?」モニターのコマンドが尋ねる。 「エルドン・テイラー、男性」とジーナがい

『飛び地のジム』第一部 6

6  その日、ジーナ・シモンズは市内まで足を延ばし、ダウンタウンにある図書館に行った。 …

『飛び地のジム』第二部スタート

「飛び地のジム」第一部が終わりました。応援してくださった皆様、お付き合いいただいた皆様、…

『飛び地のジム』第二部 7

7  葬儀の日は雨だった。  二、三日前からポートランド市内に居座りつづけた雨降虫のせい…

『飛び地のジム』第二部 8

8  クラーク・ハマーシュタインが取引先に疑問を感じ始めたのは、かれこれ二年ほど前からだ…

『飛び地のジム』第二部 9

9  前世紀末、グレイハウンドバスの路線は全部で二五〇を数えていた。ところがその後の二十…

『飛び地のジム』第二部 10

10  ハマーシュタインが目を覚ましたとき、医師のアーノルド・ブルンヴァン博士はちょうど回…

『飛び地のジム』第二部 11

11  その山はグラン・ヘレナと呼ばれていた。  そこはかつてこの地域一帯を支配していたアメリカ先住民の一部族の聖地だった。部族の長は代々このグラン・ヘレナに、巫女の家であるチリンガという建物を置いた。チリンガは平たい石板と木切れを組み合わせてつくる粗末な掘っ立て小屋で、そこで巫女は様々な占いを立てた。  今から数百年も前のこと、このチリンガの巫女のひとりが、奇妙な託宣を受けた。  コヨーテの脛骨で作った占盤は、煤でいぶされた古ぼけたものだったが、奇妙なひび割れで見るその相