月は銀色でmoonは金色な気がする。なんでだろう

前の投稿で10代を看取る準備云々と言った割にはその方法が見つからず、気づけば年の瀬。20歳まではあと20日少々。そんなもんだね、私は三日坊主がデフォルトです。

3日前に、六本木ヒルズ森アーツセンターギャラリーで開催されているカードキャプターさくら展に行った。私はカードキャプターさくらが大好きで、好きな漫画は?と聞かれたら迷わずさくら!と答える。10年前に出会ってからずっとずっとさくらの世界に心を奪われている。

私にとってのさくらを語るには、多分私の小学生時代についても語る必要がある。私は小学校が嫌いだった。あんなにツマラなくて常にストレスまみれのところによくもまあ毎日通ったなと思う。同じクラスに仲の良い子はほとんどいなかったし、今思うと子供じみた、だけど当時の私には悪意がぐさりと刺さるような嫌がらせもされた。あの頃の教室は低俗と悪意の極みだったと今でも思う。二度と戻りたくない。けれどそんな時に、私はカードキャプターさくらに出会った。アニメの再放送を見かけたのがきっかけだったけれど、アニメが後半に差し掛かった頃になけなしのお小遣いが貯まってBook-offで全巻大人買いした。今思うと200円×12巻の大したことない出費だけど、背表紙の色あせた漫画を手に入れた瞬間が忘れられない。誰にでも優しいさくらちゃんと真っ直ぐな小狼くん、聡明で愛情深い知世ちゃんに、全ての登場人物がやさしくて愛に溢れた世界を思い出した。私はやっと、人の善意を信じられるようになった。そして人生ではじめての恋をした。月城雪兎の真の姿、カードの守護者である月(ユエ)。彼(ユエに性別はないが、ここでは便宜上彼と呼ぶ)に恋してからの私は、それはもう無敵になった気分だった。何か嫌なことがあっても彼のことを考えるだけで頑張れる気がしたし、家に帰ってイラスト集を捲るだけで幸せな気分になれた。

ここまで読んで、さくら展に行った方はお気づきかもしれない。今回のさくら展、後期はこのユエが音声ガイドを務める月ガイドが800円で借りられる。(え?安すぎない?もっと払いますよ?) るんるんうきうきで、やっと空いた火曜の夕方を使ってさくら展へ乗り込んだ。平日なのに老若男女たくさんの人がいて、私まで嬉しくなる。
そして音声ガイドを耳につけてボタンを押した瞬間……目から涙が溢れてしまい自分でドン引き。でも、今になって冷静な頭で考えても仕方なかったのだろうなと思う。10年前に恋をして、ずっとずっと好きだった相手の声が耳元で聞こえる。おまけに(音声ガイドだから当たり前だが)私のことを認識している!ボロボロ泣いてしまって、誤魔化すのに必死でした。彼が私の初恋で良かったなあと心から思った。当時から変わらずユエに魂を吹き込んでくださっている緒方恵美さんにも心から感謝。本当にありがとうございます。
もちろんガイドだけでなく、展示も素晴らしかった。まだまだ展示は続いているしつい先ほど大阪での開催も発表されたので詳しくは話さないが、さくらファンなら絶対に損しない場所だと思う。カードキャプターさくらは、さくらちゃんのはにゃーんとなるような可愛さや戦いのシーンの格好良さ、毎回のコスチュームなど様々な魅力があるけれど、やはり1番の魅力は「すきを否定しない」ところだと思う。今回のさくら展でもたくさんフィーチャーされていた、色んな性別・国籍・立場の人たちの色んな「すき」を、誰一人として否定しない。恋は叶ったり叶わなかったりするけれど、けれど「すき」という気持ちを持つことは自由なのだと私たちに教えてくれる。同時に、私たちが自分で光ろうとする星であるかぎり「絶対大丈夫だよ」と無敵の呪文を与えてくれる。私がこの世の中で曲がりなりにも生きてゆけているのは、間違いなくカードキャプターさくらという作品のおかげだなと、この作品に心底救われたのだなと改めて実感した。薄っぺらい言葉だけど、いつまでも好きです。一生だいすきです。

ユエさん、私に恋を教えてくれてありがとう。

#カードキャプターさくら展 #CLAMP #カードキャプターさくら #エッセイ#ひとりごと

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?