グラレコで効果的に情報を伝えよう

この記事では私が毎週参加するデザインの勉強会で登場したトピックについて、参加した回ごとにまとめていきます。今回は初回の「グラレコで情報を伝えよう」の回です。

この勉強会では参加者が持ち寄ったグラレコやフライヤー、発表スライドなどのデザイントピックを題材に、「どうしたらよりよく伝えられるか」「デザインとは何か」などについて学びあっています。

グラレコの基本

グラレコと呼ばれるものには行う人によってさまざまな定義がありますが、この記事では「ある出来事の記録を図とテキストでまとめたもの」として扱っていきます。

記録場面で内容は変わる

グラレコがよく使われる場面として「ディスカッション」や「講演会」などがあります。

様々な人が入れ替わりで話すディスカッションでは、ひたすら言葉を拾うことが大切です。脱線してしまったり、本来の目的を見失ってしまったり、聞き逃しを確認するためにも言葉を記録しておくことが必要になります。

講演会などでは資料が提示されることが多いです。そうした資料があるときは資料以外の話者の話している言葉を拾いましょう。また、あらかじめ話者とどんな流れで話をするのかを打ち合わせておくと、より記録がスムーズになります。

伝えたい部分が目立つように記録する

並べ方

横書きの紙面では、視線の流れは「上から下」「左から右」になります。そのため目立つのは左側・上側です。そのため、目立つ図を左側におき、説明を右側に置くことで視線の流れをスムーズに誘導することができます。

まとめた内容にタイトルをつける

例えばこの記事のタイトルも「グラレコ勉強会-第1回-」では何について書かれたものなのか伝わりません。タイトルを読んだだけで内容が予想できると中身に興味を持ってもらうことができます。

レイアウト

目立たせたい場所と話の流れを意識してレイアウトを行うことが大切です。例えばあるトークセッションを記録した時の要素として「トークタイトル」「話者」「話者の情報」「話の内容1~4」「フリートーク」があるとしたときに記録したものとそれを再構成した例が以下のようになります。

1レイアウト

タイトルは左上に周囲に大きく余白をあけておくことで、小さくても目立たせることができます。また、話の内容は一番目立たせたい情報のため中央に大きく塊で配置しています。情報をまとめることで類似した内容であることを示すことができます。また再構成前の横並びのレイアウトでも、情報が「並列」であることを示せます。こうした並べ方が与える関係性については視覚言語の項で詳しく説明していきます。

情報の目立たせ方(視線の誘導方法)

レイアウト

1.余白

余白がなかったり、整理されていない紙面はどこに目を向ければいいのかわかりにくくなってしまいます。情報を整理してどこを見てほしいかを余白で示すことで、見る側の負担を減らすことができます。

2.大きさ

小さいものよりも大きいものの方が目立ちます。当然と言えば当然ですが、意識せずにかくとあまり重要でないものが大きくなってしまうことがあります。情報を整理するときには大きさにも意識を向けてみましょう。

3.線の太さ

文字でも図でも線の太さは太い方が目立ちます。アナログで書くときは、選ぶペンの太さを細いものと太いものを用意して、太さに違いを出せるよう意識しましょう。デジタルの場合、とくにイラスト系のソフトの場合は拡大縮小で線の太さが変わってしまいます。コラムごとに線の太さが違うと認知負荷がかかってしまいます。ベクターレイヤーを使ったり、テキストはフォントを使うなどで対応しましょう。

視覚言語

視覚言語とは図解における文法のことを指します。図は関係性を視覚化することができるため、様々な関係性の示し方を理解しておくことでよりわかりやすく情報を伝えることができるようになります。

状態を表す基本形

画像4

画像のように関係性ごとに効果的な図解表現があります。また、これらの図解は図の内容を文でも説明することができます。ここで大切なのは矢印などを含めた図の一つ一つに説明が必要なことです。ここの説明が変わることで全く意味が異なる図になってしまいます。

色の使い方

色を使う目的

色を使う目的には大きく「装飾」と「注意をひくため」の2種類があります。

装飾は挿絵などに色を付けることです。過度に目を引いてしまうため、過剰に入れすぎると本当に伝えたいことがかすんでしまいます。余白があるからと言って、スタンプ感覚で無駄に挿絵を増やさないように気をつけましょう。

画像5

注意をひくためであっても使い過ぎがNGなのは同じです。例えば話題が3つあって、どれも大事だから区別して色を付けたいと思っても色が増えれば増えるほど情報は煩雑になってしまいます。どれも大事ならいっそ色を付けないで余白や大きさ、線の太さなど別の手段で強調してみましょう。

黒の使い方にも注意が必要です。黒はとても強い色のため、本文で使いすぎると紙面が重たい印象になり、読んでいても疲れてしまいます。本文はグレーなど彩度を落とした色を用いて、強調すべきところで黒を使うだけでも有彩色を数多く使うよりも効果的に強調することができます。ちなみにこの記事で載せている画像のテキスト色も青っぽいグレーを用いています。

色の組み合わせ

色組み合わせ

色の組み合わせ方でも印象を変えることができます。補色という正反対の色を用いると注意をひきたいところをわかりやすく示すことができます。イラストソフトなどを使う方であればなじみ深いカラーサークルで、2色であれば正反対の位置、3色であれば正三角形の頂点に近い色を組み合わせることで補色の組み合わせを簡単に選ぶことができます。また、ここで選んだ中で一番目立たせたい色は彩度を上げ、それ以外は落とすなどの工夫でより効果的に印象付けが行えます。

隣り合う同系色では、まとまり感のある紙面を作ることができます。ただし、注意をひく力は弱いため、同系色の中に補色を用いることでもまとまりをもたせつつ目を引かせる紙面にすることができます。

まとめ

初回の勉強会では色や余白など、素朴すぎて描くときに意識していないものも工夫次第では与える印象を変える力があることが分かりました。グラレコというよりもグラフィックデザインの基礎のようなまとめになってしまいましたが、これらを意識して使いこなすことができれば描いて満足で終わらないグラレコをすることができるはずです。描いた側も描かれた側も嬉しくなるグラレコを目指して表現の幅を増やしていきましょう。

次回はもう少し実践的な図解方法についてまとめていきます。

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