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やってらんねーけどやってやる、そんな気分に添える鴉のロック

混沌とした世の中にあっても、音楽は一つの希望と言えるだろう。
音を楽しんだあとには心が落ち着いて、息がしやすくなる。
たったそれだけで、目の前の世界は広がる。
今日はそんな音楽について、ひとつ。

鴉の音楽は、不条理に立ち向かうお供

降りかかる不条理。理不尽。やってらんねー。
けど諸般の事情でやるしかないし、やってやる。やってやるんだ。
そんなときのお供に日本のロックバンド・鴉(からす)のロックは好ましい。
小気味いいリズムと、激しい歌唱。心を揺さぶるけれど、戻ってくる芯は硬くて強かなのだ。
こちらの気分を盛り上げたあとは、さらりと去っていく。

逆境や苦難や、そこまでいかずとも気が向かないことに立ち向かうとき、"何か"をお守り代わりに持つ人は多いだろう。
私は大学生時代のどうしようもなかった一時期、通学BGMはずっと鴉だった。
どうしようもないけど、大学には行くしやっていくしかない。
精一杯の意地で、いつも小さめの音量を一つだけ増やして。
そんな気分に添えていた鴉の曲たち。

♪巣立ち -沈ませて、鎮ませて

咲き乱れし夜の街に 真昼間の眼

始まりの一節を、他人事のように口ずさむ。
ぴたっと音がハマる感じが心地良い。
本当の"この世の終わり"とは真昼間に落ちる影なのかもしれない。

私はこの曲を「再起への準備」だと感じている。
歩みを始めるためには、一度立ち止まることが必要だ。
膝を抱え涙を流す人々へ。
爽やかなメロディでとことん沈ませて、鎮ませて。
さらば、と"巣立ち"を見送る。もうあなたはここから巣立った、飛び立ったんだと。

MVでは老若男女が立て続けに涙を流している。
誰も彼も泣くような絶望を抱えているのだと、当たり前の事実に気付く。

TVドラマ「闇金ウシジマくん」においても起用されたので、耳にしたことのある方も多そうな一曲。「鴉と言えば」な曲とも言える。

♪劣等星 -劣等でも、光る

いつかどこかで感じてしまう、"劣等生"である自覚。
私なんかしょっちゅうある。どうしようもない。
自分が他の人と比べて劣っているんだろうな、とわかってしまう感覚。
悲しげなメロディに、心のざわめきがギラリと光る。
それでも。

自分自身描いたのさ
名付けて劣等星

"劣等星"として輝き続けよう。
自嘲に聞こえるだろうか。開き直りかとも受け取れるだろうか。
それでも、できることで光るんだ。

「どうせ私なんか……」の口癖を洗い流してくれる一曲。
どうせ私だけど、私だからやるんだよ。
どこか懐かしさを感じる星空のイメージも美しい。

♪翼 -いける、飛べる

翼広げて飛んでいけ

こちらは真っ直ぐに、いけるぞ、やれるぞと背中を押してくれる一曲。
私が思い起こすのは、やはりカラスが飛び立つ様だ。
不条理な世界で生きている、熱い血の通った鳥。黒い翼を広げ空に向かう。
"淡い夢"も、"夢じゃない"から置いてゆく。素敵な理論だ。

とにかくラスサビに向けた音の盛り上がりが最高。
ベースとドラムが強めに刻むリズムで、鼓動を高める。
さらにギターとボーカルで皮肉と熱さが混じる。

ラストの"翼広げて飛んでいけ"で飛び立つ準備はいいか。

*

やってらんねーような不条理にあっても輝く音楽たち。
特に心強く、ぜひ携えていたいな、と思う曲をピックアップした。

まだまだあるのだけど、一先ずここまで。
興味が沸いたら、再生ボタンを押してみてね。
鴉の曲は比較的短くサクッと聞けるから。

ちなみに鴉と、鴉の音楽についてはこちらのnoteでも書いていた。
昔から、今も彼らの音楽が好きなんだ。

また4月に鴉はワンマンライブ「学者に贈る歌」を開催した。
所謂「無観客ライブ」だが、無観客じゃない、画面の向こうに観客がいるから。そう言える強さ、優しさがが格好良い。
このライブはアーカイブ視聴可能だ。


*

久々にnoteを書いた気がする。何でか「書く」感覚がよくわからなかった。
仕事のメールや、自分だけが読む日記は毎日書いているのに。
決して巧くはないのだろう。
だけれども、素直に、誠実に、私が思ったことを思った言葉で書いた。
これからもそうするつもりだ。

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