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14時46分(1)

14時46分、明治以来最大規模の地震があった夜、JRは、早々に終日運休を決め、私鉄の類の運転再開の目処も立ちませんでした。

「都心に留まれる人は、留まれ」という政府の呼び掛けにもかかわらず歩いて郊外に向かう人の流れは、日付が変わる頃になっても途切れませんでした。

顔に疲労の色が隠せず、ある人は、ハイヒールに痛め付けられた足で、それでも西を目指して歩いていました。帰り着く場所、帰り着く人を目指して。

安否を尋ねる着信もなく、安否が気になる相手もいない彼は、あのとき、駅前広場で群衆の流れを見送っていました。


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