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ひととき

ひととき。今の2時間に当たる。「一時」を辞書で引けば、そう教えてくれます。でも、正確にいえば、「一時」は、2時間とは限りません。

日の出(明け六つ)から日の入り(暮れ六つ)までの昼と、日の入り(暮れ六つ)から日の出(明け六つ)までの夜をそれぞれ6等分した時間が一時でした。

それは、季節によってゴムのように伸び縮みする時間。「そんないい加減な定義で、よく時間を共有できたな」と感心します。

対して現代。セシウム133という原子が91億9263万1770回振動する時間を1秒と定義する正確な(けれど実感から遠い)時間の中で、私たちは、暮らします。

時間に関して語り出すと、すべてがいかがわしい。多分人間の言葉は、時間を語るのに適していないのだろう。

中島義道『観念的生活』)


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