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#2407160

標高5,000メートルのチベットの村に暮らす羊飼いの話を、さっきからTVが映している。平均寿命45歳という過酷な環境の村で、彼は、もう十分に老人だった。

以前は興味のなかった類いの番組。でも大病を得て、最近はこんな映像ばかり見ている。おそらくは、もう見ることもない風景や、会うこともない人の映像を。

「いつかまたいつかそのうち人生にいつか多くていつかは終わる」。そんな誰かの歌をネットの海に投げ、Eさんは、明かりを消した。すぐ着信音がする。

「ケイさんがいいねしました」。こんな深夜に今起きている人がどこかにいるという気配。この形のない寂しさに共鳴している人がどこかにいるという気配。

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