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父と

父と言い争いをして家を飛び出した向田邦子は、不動産屋の車でアパートを探し回っている途中で、明治通りの横丁からオリンピックの開会式を眺めました。

聖火台にともされる火を見ていた彼女は、泣いていました。「オリンピックの感激なのか、三十年間の暮しと別れて家を出る感傷なのか、自分でも判ら」ずに。

57年を経て、私たちも開会式の目撃者となります。「アンダーコントロール」に始まり、盗作、贈賄、蔑視、開催強行。様々いわくの付いた祭典の幕開けです。

でも、知っています。忘れっぽい私たちは、そんな祭典からもたやすく勇気や感動をもらっちゃう、ってことを。そしてそれが「彼等」の思うツボってことも。

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