病室には
病室には「様」、火葬の際には「殿」の付いた札が掛けられます。他人が掛けてくれる表札は、いつもろくなことがありません。だから。
<自分の住む所には/自分の手で表札をかけるに限る。/精神の在り場所も/ハタから表札をかけられてはならない/石垣りん/それでよい>。
詩人は、そう言い切ります。自らの意思で生きていく決意がにじみます。「ウチダヒロシと名乗り続けていた男も、最後は自分の表札が欲しかったのかなぁ」。
半世紀近く指名手配中の爆弾犯は自分だ、と打ち明けた男が4日後の今日、死にました。末期がんを患い、死ぬ時くらいは本名で死にたかった、と言い残して。
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