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店を出て

店を出てぎこちなく歩き始めます。普段より背筋を伸ばし、そこに注がれる視線を感じながら。曲り角まで来て、今月も迷います。「ここで振り向くべきか」。

素知らぬ振りで角を曲がる方が客として上等のようにも思いつつ、今月もおもむろに振り向けば、案の定、今月も彼等が店の前でまだ見送ってくれています。

一般論としては、入店の際に愛想のよい店より別れ際に気遣いを見せる店の方に、一層の恐縮と愛着を感じたりもします。けれど、背筋が過度にこそばゆい。

「出迎え三歩、見送り七歩」という彼等のギョーカイの気遣い(あるいはマニュアル)を、私は、今月も持て余します。

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