167-車に轢かれる菜緒 Ⅴ
それから数日後、佐々木家の面々はそれなりに通常の生活を取り戻していた。
愛:おはよ~…
愛萌が2階から降りてくる。
〇:おはよ、今日はバイト?
愛:うん、しばらくお休みもらってたからね…
〇:気を付けていってらっしゃい
愛:……そうね…
〇:…あっ、他意はないよ?
愛:分かってる…(苦笑)
久:〇〇はいつ頃向こう戻るの?
〇:四月に健康診断もあるし、そのうち戻るよ
久:そっか……
美玖もリビングにやってくる。
美玖:…今日も病院行く?
久:どうする…?
〇:俺はいいかな、心が折れそう…
愛:私も…
久:美玖は行く?
美玖:行く
そしてお昼になると、愛萌はバイトに行くために、久美と美玖は病院に行くために家を出た。
◇
(ピンポーン)
お昼過ぎ、〇〇がリビングでくつろいでいると家のチャイムが鳴った。
〇:は~い
〇〇が玄関に向かいドアを開けると、そこには彩花が立っていた。
〇:おぉ、どうした?
彩:お見舞いの品持ってきた、ICUだと家族以外お見舞い行けないだろうし…
〇:うん、まぁ今は一般病棟に移ってるけど…(苦笑)
彩:そうなんだ、良くなってはいるのかな…?
〇:どうなんだろ…?
〇〇は彩花が手に持っていた紙袋を受け取る。
彩:…みんな、だいぶ落ち着いてきた感じなの?
〇:うん、まぁ…
彩:そっか、あとは菜緒さんの意識が戻るだけか…
〇:まぁそこよな……
彩:うん、…じゃあ私もう帰るね
〇:おう、お見舞いの品ありがとな
彩:よろしく言っといて
〇:うい
そうして彩花は佐々木家を後にした。
◇
陽菜:ただいま~
〇:おかえり
ひより:疲れた…
芽依:夜ご飯何?
夕方になると、末っ子組たちが帰ってきた。
〇:なんだろうね、久美姉ちゃんたちが何か買って帰ってくんじゃない?
末っ子組は手を洗うとすぐに上に上がっていく。
〇:……暇だな…
お見舞い組が帰ってくるまで、〇〇はスマホを見て時間を潰していた。
久:ただいま
史:夜ご飯買ってきたよ
〇:おかえり
美玖:ひなのと愛萌はまだ帰ってきてない?
〇:うん
〇〇は立ち上がり、ダイニングに向かう。
〇:姉ちゃんたちはもう食べたの?
久:食べた
〇:じゃあ…、いただきます
久:どうぞ
そして2階から末っ子組も降りてくる。
陽菜:お腹空いた~
美玖:買ってきたから
末っ子組もダイニングテーブルに着き、夜ご飯を食べる。
ひより:…菜緒お姉ちゃんはどうだったの?
久:…何も変わらないわよ、相変わらずの寝顔で寝てた…
ひより:ずっとこのままなのかな……?
〇:…さぁね……
◇
そして全員お風呂に入り、各々が自分の時間を過ごしていた。
陽菜:お兄ちゃん、久しぶりにゲームしよ
〇:いいよ、向こう座り?
陽菜に誘われ、〇〇はゲームを起動する。
陽菜:……。
〇:……。
美玖:…なんで二人して無言になってるのよ(笑)
陽菜:集中してるから…
美玖:はいはい…(苦笑)
すると、
(プルルルッ、プルルルッ…)
家の固定電話が鳴った。
美玖:はい、佐々木です
医師📞:長崎中央病院の※※です
美玖:はい
医師📞:菜緒さんが意識を取り戻しましたので、病院の方に来ていただけますか?
美玖:えっ!?ほんとですか!?
〇:どうした…!?
美玖:…菜緒が、意識を取り戻したって……!
陽菜:ほんとに!?やった~!!
美玖:すみません、すぐにそちらに向かいます…!
すると、陽菜の声を聞いた人たちが2階から降りてきた。
久:どうしたの?
ひなの:まさか…
美玖:菜緒の意識が戻ったって…!
〇:病院行く準備して
史:分かった
全員素早く準備を整え、車に乗り込む。
美玖:戸締りオッケー、っと…
久美と史帆が運転手となり、病院に向かう。
◇
久:よし着いた、駐車場に車置いてくるからみんなは先行ってて?
〇:分かった
病院に到着した〇〇たちはロータリーで車を降りる。緊急外来の出入り口から病院内に入り、用件を伝える。
〇:佐々木菜緒の家族です
職員:こちらのカードをお使いください
首からカードをぶら下げ、病室のある階までエレベーターで上がっていく。
〇:何号室?
ひなの:705号室
地図看板をもとに病室を見つけ、早歩きで向かう。
愛:あった……!
(コンコンコンッ…!)
愛:菜緒…!
ひなの:菜緒お姉ちゃん…!
病室のドアを開け、中に入ると……、
菜緒:……みんな…
ベッドの上に目を覚ました菜緒がいた。
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