見出し画像

167-車に轢かれる菜緒 Ⅴ

それから数日後、佐々木家の面々はそれなりに通常の生活を取り戻していた。

愛:おはよ~…

愛萌が2階から降りてくる。

〇:おはよ、今日はバイト?

愛:うん、しばらくお休みもらってたからね…

〇:気を付けていってらっしゃい

愛:……そうね…

〇:…あっ、他意はないよ?

愛:分かってる…(苦笑)

久:〇〇はいつ頃向こう戻るの?

〇:四月に健康診断もあるし、そのうち戻るよ

久:そっか……

美玖もリビングにやってくる。

美玖:…今日も病院行く?

久:どうする…?

〇:俺はいいかな、心が折れそう…

愛:私も…

久:美玖は行く?

美玖:行く

そしてお昼になると、愛萌はバイトに行くために、久美と美玖は病院に行くために家を出た。



(ピンポーン)

お昼過ぎ、〇〇がリビングでくつろいでいると家のチャイムが鳴った。

〇:は~い

〇〇が玄関に向かいドアを開けると、そこには彩花が立っていた。

〇:おぉ、どうした?

彩:お見舞いの品持ってきた、ICUだと家族以外お見舞い行けないだろうし…

〇:うん、まぁ今は一般病棟に移ってるけど…(苦笑)

彩:そうなんだ、良くなってはいるのかな…?

〇:どうなんだろ…?

〇〇は彩花が手に持っていた紙袋を受け取る。

彩:…みんな、だいぶ落ち着いてきた感じなの?

〇:うん、まぁ…

彩:そっか、あとは菜緒さんの意識が戻るだけか…

〇:まぁそこよな……

彩:うん、…じゃあ私もう帰るね

〇:おう、お見舞いの品ありがとな

彩:よろしく言っといて

〇:うい

そうして彩花は佐々木家を後にした。



陽菜:ただいま~

〇:おかえり

ひより:疲れた…

芽依:夜ご飯何?

夕方になると、末っ子組たちが帰ってきた。

〇:なんだろうね、久美姉ちゃんたちが何か買って帰ってくんじゃない?

末っ子組は手を洗うとすぐに上に上がっていく。

〇:……暇だな…

お見舞い組が帰ってくるまで、〇〇はスマホを見て時間を潰していた。

久:ただいま

史:夜ご飯買ってきたよ

〇:おかえり

美玖:ひなのと愛萌はまだ帰ってきてない?

〇:うん

〇〇は立ち上がり、ダイニングに向かう。

〇:姉ちゃんたちはもう食べたの?

久:食べた

〇:じゃあ…、いただきます

久:どうぞ

そして2階から末っ子組も降りてくる。

陽菜:お腹空いた~

美玖:買ってきたから

末っ子組もダイニングテーブルに着き、夜ご飯を食べる。

ひより:…菜緒お姉ちゃんはどうだったの?

久:…何も変わらないわよ、相変わらずの寝顔で寝てた…

ひより:ずっとこのままなのかな……?

〇:…さぁね……



そして全員お風呂に入り、各々が自分の時間を過ごしていた。

陽菜:お兄ちゃん、久しぶりにゲームしよ

〇:いいよ、向こう座り?

陽菜に誘われ、〇〇はゲームを起動する。

陽菜:……。

〇:……。

美玖:…なんで二人して無言になってるのよ(笑)

陽菜:集中してるから…

美玖:はいはい…(苦笑)

すると、

(プルルルッ、プルルルッ…)

家の固定電話が鳴った。

美玖:はい、佐々木です

医師📞:長崎中央病院の※※です

美玖:はい

医師📞:菜緒さんが意識を取り戻しましたので、病院の方に来ていただけますか?

美玖:えっ!?ほんとですか!?

〇:どうした…!?

美玖:…菜緒が、意識を取り戻したって……!

陽菜:ほんとに!?やった~!!

美玖:すみません、すぐにそちらに向かいます…!

すると、陽菜の声を聞いた人たちが2階から降りてきた。

久:どうしたの?

ひなの:まさか…

美玖:菜緒の意識が戻ったって…!

〇:病院行く準備して

史:分かった

全員素早く準備を整え、車に乗り込む。

美玖:戸締りオッケー、っと…

久美と史帆が運転手となり、病院に向かう。



久:よし着いた、駐車場に車置いてくるからみんなは先行ってて?

〇:分かった

病院に到着した〇〇たちはロータリーで車を降りる。緊急外来の出入り口から病院内に入り、用件を伝える。

〇:佐々木菜緒の家族です

職員:こちらのカードをお使いください

首からカードをぶら下げ、病室のある階までエレベーターで上がっていく。

〇:何号室?

ひなの:705号室

地図看板をもとに病室を見つけ、早歩きで向かう。

愛:あった……!

(コンコンコンッ…!)

愛:菜緒…!

ひなの:菜緒お姉ちゃん…!

病室のドアを開け、中に入ると……、

菜緒:……みんな…

ベッドの上に目を覚ました菜緒がいた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?