思い出の入道雲
毎年、入道雲を見ると思い出すあの暑い夏の日。
今から10年以上前の話…………
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陽:〇〇〜、遊ぼ〜
〇:いいよ〜、どこ行く〜?
陽:河川敷で水切りしよ
〇:よっしゃ、今回は負けねぇからな
当時小学4年生だった俺と幼馴染みの陽菜。夏休みは毎日のように一緒に遊んでいた。
ある日、俺が近所の公園へ行くと、陽菜がブランコに乗っていた。
〇:陽菜〜、今日は何して遊ぶ?
陽:あ、〇〇…実は話があるの
〇:どうしたの?
陽:お父さんの転勤で引っ越すことになったの……
〇:え…そんな……
陽:だから夏休み明けにはここを離れるの
〇:……。
俺はその日陽菜と遊ぶ気分になれず、家に帰って部屋に篭った。
〇母:〇〇、夕飯食べないの?
〇:要らない…
〇母:…扉の前に置いておくからお腹が空いたら食べなさい
その日から数日、外に出ることは無かった。
そして陽菜が引っ越す当日。
〇母:〇〇、陽菜ちゃん見送りに行かなくていいの?
〇:ううん、行く
そうして数日ぶりに外に出た。
陽:〇〇…
〇:陽菜、なんか久しぶり
陽菜の家に行くと、ちょうど陽菜がトラックに荷物を運んでいた。
陽父:お父さんたちがやっておくから、〇〇くんと話してきな
陽:うん
〇:ごめん、あの時帰っちゃって
陽:…〇〇と離れたくないよ……😢
〇:俺も陽菜と離れたくない…!
陽:…〇〇……絶対にまた会おうね
〇:あぁ、絶っっっ対だ!
そして、陽菜は遠くへ引っ越していった。
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そして今、県外の大学に通っている俺は、夏休みで地元に帰省していた。
〇:懐かしいなぁ…陽菜、元気にしてっかな〜
駅の改札を抜け、駅前を実家へ向かい歩いていると、
?:…〇〇?
〇:へ?
すれ違った女性に名前を呼ばれた。
?:髪伸びたから気付かないかな?
〇:…陽菜!?
俺を呼び止めたのは、髪を伸ばし大人っぽくなった陽菜だった。
陽:〇〇、久しぶり!
〇:陽菜、会いたかったよ
陽:陽菜も!
〇:大人っぽくなったな、昔は半袖短パンで走り回ってたのに
陽:〇〇だって、パンツ一丁で川に飛び込んでた人と同一人物とは思えないよ
〇:うるせぇ(笑)
陽:改めて、ただいま
〇:おかえりなさい
俺たちは10年越しに約束を果たすことが出来た。
to be continue…
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