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上京

そして出発の日。

母親:〇〇、トラック来たよ〜

〇〇:了解

自分の部屋にあるダンボールを1階の玄関に下ろしていく。

業者:荷物はこれで以上ですか?

〇〇:はい

母親:よろしくお願いします

業者:お任せ下さい

トラックが走り去っていく。

瑞桜:〇〇…

紅葉:お見送りに来たよ

瑞桜と翼、紅葉ちゃん、姫乃ちゃんが見送りに来てくれた。

姫乃:〇〇くん、はいこれ

そう言って姫乃ちゃんが手渡してくれたのはお守りだった。

〇〇:……翼、姫乃ちゃんに頼まねぇで自分で渡せや(笑)

翼:ええやろ別に…

そのお守りには汚ったない字で『頑張れ』と書かれていた。

瑞桜:…東京行っても頑張ってな?

〇〇:うん、ありがとう

翼:心折れた時はいつでも帰ってこい

〇〇:……。

翼:あんだよ?

〇〇:…なんか変な薬でも飲んだ?

翼:飲んどらんわ!

全員:(爆笑)

母親:……じゃあ、そろそろ行こっか

〇〇:うん

玄関に置いておいたリュックとスーツケースを持って、母親の車に乗る。

瑞桜:……ホンマにいつでも頼ってええからな?

〇〇:分かった、そん時は5時間ぐらい電話したるから(笑)

紅葉:さすがに長すぎじゃ(笑)せめて1時間くらいにしとき?

翼:(笑)じゃあ、お達者で

〇〇:👋

そのまま京都駅まで向かう。

紫織:〇ちゃん、やっほ〜

京都駅に着くと、紫織たちが見送りに来ていた。

祖母:〇ちゃん、しっかりやんねんで?

〇〇:うん

すると、松田一家がやってきた。

好花:〇〇…

〇〇:好花……(笑)なんで既に涙目になってんねん(笑)

好花:そういう〇〇だって物悲しそうな顔しとるやん(笑)

すると、向こうから私と好花の親友が集まってくる。

好花友1:好花〜

好花:おぉ〜、ありがと

秀将:〇〇来たったで〜

〇〇:あんがと

俊喜:あんま泣いとらんな、期待して損したわ

〇〇:なんでや(笑)

好花友1:好花は泣いとるけどな(笑)

好花:ええやろ?寂しいんやから

好花友2:や〜ん♡

好花父:2人ともそろそろ時間だよ

好花:分かった…

秀将:改札の前まで見送るよ

〇〇:ありがと

全員で駅構内へ入る。

〇〇:じゃあ秀将と俊喜、ありがとね

秀将:おう、あんまり抱え込みすぎんなよ?

俊喜:メンバーさんを頼れなかったら俺たちを頼れ?

〇〇:秀将はともかく俊喜を頼るのはなんか不安だわ(笑)

俊喜:なんでや!(笑)

好花友1:好花も、たまにはこっち帰ってきなさいよ?

好花:うん……

秀将たちと別れ、改札をくぐりホームへ向かう。

母親:……もう行っちゃうのか……

〇〇:(笑)

琴音:……(涙)

〇〇:(笑)泣くなや…

琴音:だって~…(涙)

〇〇:もう~…(苦笑)

好花母:好花、しっかりやんねんで?

好花:分かってる

紫織:東京に遊びに行く時はよろしくな?

〇〇:はいはい

〇〇:たーちゃんもバイバイ

逞磨:あ〜…?

新幹線がホームに入ってくる。

〇〇:じゃあ、行くね?

母親:うん

好花父:好花、いつでも帰ってこいよ?

好花:分かった……

2人で新幹線に乗り込み、新大阪から乗っている菜緒に合流する。

菜緒:おはよう

〇〇、好花:おはよう

新幹線の窓からこちらに手を振る家族たちの姿が見える。

家族:👋

〇〇、好花:👋

ふと、母親が目を押さえ顔を背けるのが見えた。

〇〇:……。

やがて新幹線が出発する。

アナウンス:今日も新幹線をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車はのぞみ号東京ゆきです。途中の停車駅は、名古屋、新横浜、品川です。

外の景色が流れていき、京都の市街地を離れていく。

〇〇:……ふぅ〜…………

好花:(ポンポン)泣きたい時は泣いてええねんで?(涙)

〇〇:……(涙)

菜緒:……親元離れる決断したからには頑張らんとな

〇〇:……やな(涙)

周りの迷惑にならないように静かに涙を流す。



そして東京に到着する。

〇〇:……。

菜緒:〇〇、東京着くよ

〇〇:んっ…、

荷物を持って新幹線を降りる。

好花:大手町って丸の内の方やんな?

〇〇:たぶん

大手町から東西線に乗り、西葛西駅まで行く。20分ほど歩いたところで、寮に到着した。

3人:お邪魔します

MG:お、到着したか

3人:おはようございます

寮母:おはよう、みんなの部屋は2階の左側奥5部屋ね

3人:はい

2階に上がり部屋を確認する。

好花:関東組ってどこいます?

MG:分かんないけど、どっか遊び行ってんじゃない?

菜緒:とりあえず陽菜とひよたんの到着を待つ?

〇〇:うん

約1時間後、2人も寮に到着する。

ひより:やほ〜

〇〇:おはよ

菜緒:部屋決めるから上行こ…

陽菜:あぁ〜

5人で改めて2階に上がる。

好花:ここから1番奥までが私らの部屋らしい

菜緒:菜緒1番奥がいい

〇〇:じゃあ俺はその手前

ひより:ひよたん1番手前がいい

陽菜:陽菜はひよたんの隣

好花:じゃあ私が真ん中で決まりだね

すると、寮母さんが2階に上がってきた。

寮母:みんな1階にベッド届いてるから運んで?

5人:はい

実は遡ること数週間前、
……………………………………………………
私たちは寮で使うベッドを買いに家具屋に来ていた。

陽菜:ベッド何にする?

好花:シンプルでいいんやない?

美穂:シンプルって何?

陽菜:机と一体型の方が便利だったりしない?

菜緒:寮出たあとも使うこと考えたら一体型は不便そう…

鈴花:ベッド単体だとこっちの方?

そこには様々なベッドフレームとベッド本体が売られていた。

陽菜:シンプルの方がいい感じ?

菜緒:でもこういう可愛い感じのフレームも良くない?

〇〇:枕元に棚が付いてた方が便利そう…

そんなこんなで私は棚付きの木製フレームとスプリングベッド、掛け布団と枕とマットレスを購入した。
……………………………………………………
陽菜:重〜い!

〇〇:(笑)陽菜、一緒に運ぶよ

協力してそれぞれの部屋にベッドを運び入れ、組み立て作業に移る。

〇〇:……ここを留めたら、目隠しシールを貼って…

約30分かけて、自分のベッドのフレームを完成させる。同じ棚付きのベッドフレームを購入した好花の様子が気になり、部屋を訪ねる。

(コンコン)

〇〇:好花、進捗はどう?

好花:菜緒に協力してもらって何とか進めてる

菜緒:〇〇は終わったん?

〇〇:フレームは完成して、あとはベッドを開封して乗っけるだけ

好花:じゃあヘルプ

3人がかりで好花のベッドを完成させて、自分のベッドの取り付けに戻る。

〇〇:あ〜、疲れた〜

あまりの疲れに食堂のダイニングテーブルに突っ伏す。一足先に寮に入寮し、遊びに行っていた鈴花と美穂も帰ってきた。

美穂:お疲れさん(笑)

ひより:〇〇と好ちゃんは棚付きだったから大変だったでしょ(笑)

好花:もう明日筋肉痛になりそう

寮母:ご飯出来たよ〜

7人:はい

ご飯とおかず、飲み物を受け取り席に着く。

7人:いただきます

夕食を完食後、お風呂に入る。

好花:お先〜

〇〇:行ってらっしゃい

数十分後、お風呂が空く。脱衣所で服を脱ぎ、ハンドタオルを片手に浴場に入る。

〇〇:……寂し……

大人数が入ることを想定し大きめに造られている浴場をたった1人で持て余していた。備え付けのシャンプーとボディソープで身体を洗い、湯船に浸かる。

〇〇:はぁ……

改めて上京したことをこの身に体感する。頬を伝う水滴が露なのか涙なのかは分からない。

30分ほど湯船に浸かったところでお風呂から上がる。洗面所の備え付けのドライヤーで髪を乾かす。

(ガチャッ)

自分の部屋の中にはベッドと家から持ってきた荷物だけがポツンと置かれていた。

〇〇:……。

ベッドに横たわり天井を見上げるが、別に何かある訳でもなく、気付くとそのまま眠りについていた。

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