168-車に轢かれた菜緒 Ⅵ
菜:……みんな…
愛:菜緒~(涙)
ひなの:良がっだ~(涙)
愛萌とひなのが真っ先に菜緒に駆け寄る。
ひより:菜緒お姉ちゃんの馬鹿…!(涙)
〇:…ほんとに無事で良かった……(涙)
〇〇とひよりも菜緒に歩み寄り、涙を流す。
そして他の人たちも病室にやってくる。
美玖:菜緒……!…生きてる~!(涙)
陽菜:菜緒お姉ちゃ~ん(涙)
久:もう~、心配したんだから~(涙)
菜:ごめん……
史:生きててよかった…(涙)
芽依:もう~!(涙)
すると、医師が病室にやってきた。
医師:菜緒さんの現在の状態についてお話があるので、ご家族の方どなたか診察室の方にお願いします
久:…私行ってくる
〇:俺も行く
久美と〇〇は医師に続いて診察室に入る。
医師:菜緒さんの現在の状態についてなんですが、内臓損傷と骨折に加えて、やはり下半身に麻痺がでているのと、一部記憶障害があるとみられます
〇:記憶障害…?
医師:えぇ、ご兄弟に関する記憶はあるのですが、ご友人や過去の出来事などの記憶がかなり失われているようです…
医師:それと……、ご両親に関する記憶も……
〇久:っ……!?
医師から告げられた宣告に二人は言葉を失う。
久:…そうですか……
二人は診察室を後にし、病室に戻る。
史:おかえり…
久:史帆……
史:…大丈夫、私たちも菜緒から聞いた…、パパたちの記憶がないって……
菜:ごめん……
〇:ううん、謝らなくていい……
病室には重たい空気が流れる。
〇:……下肢の麻痺はどうなの?
菜:…上手く力が…入らない感じ……
〇:そっか……
菜緒は力なく笑う。それを見て〇〇たちは返す言葉を見つけられなかった。
〇:……意識を失う前の記憶ってある?
菜:いや……
愛:…彩花ちゃんや好花ちゃんのことも覚えてないんだもんね……
菜:うん……
全:……。
〇:……もう帰ろっか、菜緒姉ちゃんも意識戻ったばかりで混乱してるだろうし…
美玖:〇〇……
普段とは違う姉の姿に、この場から逃げ出したくなる〇〇。
久:…そうね、帰ろっか、菜緒もゆっくり休んでね
菜:うん……
窓口でカードを返して車に乗り込むと、〇〇はアームレストに肘を置いて頭を抱えてしまう。
ひより:お兄ちゃん…
久:…出発するよ
そうして家に着くと、〇〇は2階の元自室に向かう。
〇:はぁ……
〇〇はクッションに寝転がり、思案を巡らせる。
(コンコンコン…)
史:入るよ…
〇〇:……。
史帆が部屋に入ってきて、〇〇の隣にしゃがむ。
史:〇〇…、知らない菜緒の姿に動揺したよね……
〇:……。
史:…今後記憶が戻る保証も、足が戻る保証も無い……
史:でも、それでも、菜緒は私の妹で、〇〇のお姉ちゃんだよ……?(涙)
〇:……(涙)
〇:……ごめん…(涙)
史:ううん……(涙)
史帆は〇〇の頭を優しく撫でて、部屋を後にした。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?