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163-車に轢かれる菜緒

店:佐々木さん、もう上がっていいよ

菜:分かりました、お先失礼します

店:はい、お疲れ様

ある日のこと、菜緒はバイトのシフトを終えて更衣室で着替えていた。

菜:🎶~🎶~

そして、バイト先から歩いて駅に向かっていた。

菜:今日の夜ご飯は何かな~

ちょうど交差点の歩行者信号が赤になったので、スマホを取り出してL〇NEを開く。

菜:…メッセージは特に無しか……

すると信号が青になったので、スマホをカバンにしまい横断歩道を渡っていたそのとき、

菜:……えっ…?

(ドンッ…!!)

乗用車がノーブレーキで菜緒に突っ込んできた。

(キャーー!!)(誰か救急車呼べ…!!)

菜:(…マジか……)

そして菜緒はその場で意識を失った。



ちょうどその頃、陽世も学校が終わって家の最寄り駅まで帰ってきていた。

ぱ:……?

駅の出口から外に出ると、少し先の交差点が騒がしくなっているのが見えた。

ぱ:…事故でもあったんかな……?

野次馬根性で陽世は人だかりのもとに向かった。

そして現場に到着した陽世が見たものは……、

ぱ:……菜緒…さん…?

血だまりの中に横たわる菜緒の姿だった。

ぱ:菜緒さん…!!

陽世はすぐに菜緒に駆け寄る。

ぱ:菜緒さん!菜緒さん!

※:君…!動かしちゃダメだ!

通行人が陽世を菜緒から引き剥がす。

そして、警察と救急車が現場に到着する。

警察:みなさん、離れてください…!

救急:女性をすぐに搬送します…!

警察:お願いします

救急隊員が菜緒を救急車の中に入れ、すぐに発進する。

すると、警察が手を血で染めた陽世に気付く。

警察:…その子は?

※:女性の知人のようです…

当の陽世は、

ぱ:はっ…はっ…はっ…はっ…

あまりのショックに過呼吸を引き起こしていた。

警察:大丈夫、ゆっくり息を吐いて…

女性警官に背中をさすられながら、陽世が呼吸を整える。

ぱ:はぁ……はぁ……

警察:大丈夫?もしよかったらあの女性の情報を教えてもらえる?

ぱ:……佐々木菜緒さん、姉の友人のお姉さんです…

警察:佐々木菜緒さんね、…そのお姉さんのご友人に連絡って取れる?

ぱ:菜緒さんの家の電話番号なら…

警察:分かった

陽世はスマホを取り出し、佐々木家の電話番号をその警官に教える。

警察:ありがと、ちょっとご家族に連絡するね

警官が立ち上がり、佐々木家に電話をかける。



(プルルルッ、プルルルッ…)

〇:俺が取るよ

久:お願い

コタツで本を読んでいた〇〇が、鳴っている固定電話を取る。

〇:はいもしもし、佐々木です

警察📞:もしもし、長崎市中央警察署の※※といいます、佐々木菜緒さんのご自宅でお間違いないでしょうか?

〇:はい…、佐々木菜緒は私の姉です

〇〇の言葉にリビングにいた全員が〇〇の方を向く。

警察📞:つい先ほど菜緒さんが交通事故に遭い、救急搬送されました

〇:……!?

警察📞:つきましては、ご家族の方にこちらまでお越しいただきたいのですが…

〇:分かりました、すぐに向かいます…!

〇〇が受話器を置き、立ち上がる。

久:何があったの?

〇:菜緒姉ちゃんが交通事故に遭ったって…!

愛:えっ……

久:全員…いや史帆は陽菜たちが帰ってきたら一緒に来て、それ以外は全員家出る準備して

ひなの:分かった



その頃、菜緒を搬送している救急車は受け入れ先の病院に到着し、処置を受けていた。

医師:マズいな…、出血量が多すぎる……

医師:視野が確保できない…、ここ吸引して

医師:はい…!

十数人体制で出血箇所の縫合が行われていた。

看護師:サチュレーション80切ってます…!

医師:もってくれよ……

看護師:ご家族到着しました

すると、〇〇たちが病院に到着する。

医師:待っててもらって

看護師:はい

医師:…ご家族が待ってるよ~



その頃、病院に到着した〇〇たちは警察から事故当時の状況を聞いていた。

警察:よそ見運転をしていた運転手は、赤信号にも横断歩道を渡っていた菜緒さんにも気付かず、そのまま轢いてしまったと証言しています

〇:よそ見運転、って……

警察:現在、署で詳しい状況を調べていますが、恐らくながらスマホによるものだと思われます…

久:そんな下らない理由で菜緒は轢かれた、っていうんですか…?

警察:恐らく……

全:……。

その場に重たい空気が流れる。

ひより:……菜緒お姉ちゃんは…?

すると、末っ子組と史帆、バイト終わりの美玖も病院に到着する。

〇:まだ分からない……

陽菜:菜緒お姉ちゃん……

愛:…陽菜たちは向こう行ってよ?

妹たちの心理状態を危惧した愛萌が末っ子組を離れた待合室に連れて行く。

ひなの:……。

ひなのはソファに座り込み、頭を抱える。

〇:……外の空気吸ってくる

久:私も行く…

〇〇と久美は外の空気を吸いに行く。

残された人たちは、処置室の『手術中』のランプを見つめていた。

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