それが私たち三人の日常"だった"。
私には幼馴染が二人いる。
菜緒:〇〇、陽菜、おはよう!
〇〇:おぉ、菜緒、おはよう
陽菜:朝から元気だね〜(笑)
それが、この〇〇と陽菜の二人である。
菜緒:だって今日の給食、菜緒の好きな揚げパンだもん
〇〇:あぁ、そうだっけ?(笑)
陽菜:菜緒って食べるの好きだよね〜
菜緒:そういう陽菜だっていつも給食おかわりするじゃん
〇〇:分かったから俺を挟んで喧嘩するな!(笑)
陽菜:〇〇はどっちが食いしん坊だと思う?
〇〇:知らねぇよ(苦笑)
菜緒:絶対陽菜だね
陽菜:い〜や菜緒だよ
こんなたわいもない会話が私たち三人の日常"だった"。
◇
菜緒:〇〇、おはよ〜
〇〇:ふぁ〜、眠っ……
数年後、高校生に上がったとある冬の日の朝、私は登校中の〇〇を見つけ、隣を歩く。
菜緒:…今日むっちゃ寒いな……
〇〇:う〜わ、今日の最高気温3℃やん、死ぬて…(苦笑)
菜緒:そんなんで死ぬかよ…(笑)
そんなこんなしているうちに、学校に到着する。
陽菜:おはよう
菜緒:あっ、おはよう
〇〇:おう
陽菜とも合流し、教室に向かう。
陽菜:ねぇ、昨日の映画見た?
〇〇:見た見た、あれむっちゃ感動するよな
陽菜:うん、陽菜も泣いちゃったもん…(笑)
菜緒:え〜、菜緒見てない…
陽菜:今日、学校終わったらまた見ようよ
〇〇:いいね
菜緒:え〜、そんな気、使わなくていいのに…(苦笑)
するとチャイムが鳴り、全員が自分の席に座る。
◇
そして学校が終わり、各々が帰り支度を始める。
陽菜:準備出来た?
二人:出来たよ
陽菜:じゃあ行こ?
三人で昇降口を出て、そのまま陽菜の家に向かう。
〇〇:うわっ、雪降ってるじゃん…
陽菜:急げ〜!(笑)
菜緒:(笑)
二人が傘を差して駆け出し、私も二人の後を追う。
二人:お邪魔しま〜す
陽菜:どうぞ〜、今日夜まで両親いないから(笑)
〇〇:なんの報告だよ(笑)
菜緒:(爆笑)
そして陽菜の部屋に行き、テレビで録画番組を開く。
陽菜:え〜っと……、これだ
菜緒:え〜、面白そう…(笑)
陽菜:お菓子の準備は?
〇〇:バッチリ
陽菜:じゃあ、スタート!
そして2時間ほどの映画が終了し、私たちは感傷に浸っていた。
〇〇:すげ〜いい映画よな…
陽菜:うん……
菜緒:特にあの最後のシーン、むっちゃ泣けた…(笑)
袖で涙を拭う。
陽菜:……そういえば時間大丈夫?
〇〇:…あっ、ヤバっ
菜緒:ごめん、帰るね、お邪魔しました〜
〇〇:お邪魔しました〜
陽菜:また来てね〜
〇〇と並んで帰路につく。雪はすでに止んでいた。
〇〇:……なんか嫌なこと思い出すな…
菜緒:ん?あぁ…、そういうことね…
〇〇は、雪が固まってアイスバーンになっている地面に視線を落としていた。
菜緒:いつまで引きずってんだか……(笑)
〇〇:…さっさと帰ろ
菜緒:ういっ
そのまま私たちは早足で家まで向かった。
◇
そして、高校の卒業式の日がやってきた。
〇〇:……俺らも卒業か〜…
菜緒:寂しくなるね…
式典後、家の近くの公園のベンチに三人で座って感傷に浸る。
陽菜:大学は一人暮らしでしょ?
菜緒:うん……
〇〇:一人暮らし…
陽菜:落ち着いたら遊び行ってもいい?
菜緒:やだよ、来ないでよ(笑)
〇〇:なんか散らかされそうでやだわ(笑)
菜緒:(爆笑)
陽菜:人の家散らかさないから〜!(笑)
〇〇:よく言うよ、人ん家遊び来ておもちゃ散らかして帰ってたくせに…(笑)
菜緒:ほんとだよ、いつも菜緒たちが自分で片付けてたんだから…!(笑)
陽菜:まぁ?今は私も大人だから?(笑)
〇〇:変わってねぇくせに…(苦笑)
◇
それから10年の時が経ち、この日は〇〇と陽菜の結婚式が行われた。
菜緒:あの二人もついに結婚か〜(笑)
式が始まるまで、チャペル内で待機する。
牧師:…これから、新郎※※〇〇、新婦河田陽菜の、結婚式を、執り行います
後ろの扉が開き、〇〇が入場してくる。
菜緒:…なんで右手と右足が一緒にきてんねん(苦笑)
ド緊張している〇〇を苦笑いで見守る。
続いて、陽菜もお父様にエスコートされ入場してくる。
陽菜の手がお父様から〇〇に渡され、二人で聖壇を上がる。
牧師:新郎〇〇、あなたは陽菜を妻とし、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、妻を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?
〇〇:はい、誓います
牧師:新婦陽菜、あなたは〇〇を夫とし、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、夫を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?
陽菜:はい、誓います
誓約を終え、二人が指輪の交換を行う。
菜緒:……二人とも指が震えてる…(苦笑)
指輪の交換を終えた二人は、いよいよ誓いのキスへ。
〇〇:陽菜、綺麗だよ
陽菜:〇〇も
(……チュッ)
菜緒:……///
二人の熱さに、見ているこっちが恥ずかしくなってしまった。
その後、結婚披露宴も滞りなく終了し、私は式場を後にした。
◇
それから数ヶ月後、私たちはとあるお寺に来ていた。
菜緒:うわ〜、懐かし〜
〇〇:このお寺、よく三人で遊んでたよなぁ
陽菜:遊んだ(笑)そこのツツジの花の蜜吸ったりしてね(笑)
菜緒:あぁ〜、やってたわ〜(笑)
手水舎で桶に水を汲み、お墓に向かう。
〇〇:…時が経つのも早いもんだよなぁ……
菜緒:ほんと、もう20年近く経つんだもんね…
陽菜:向こうで元気にしてるかな〜?
〇〇:してるよ、きっと……
そう言って二人が手を合わせるお墓の石には『小坂家之墓』と彫られていた。
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