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53-図書館で自習する好花

好:……。

図書館で絶賛受験勉強中の好花。

好:(…気、張ってんなぁ……)

周りにもたくさんの受験生が机に向き合っており、緊張が張り詰めていた。すると、

※1:ママ~!こっち~!

※2:しー!静かにして

3歳くらいの女の子とそのお母さんらしき人が、好花たちの後ろを通り過ぎていく。

好:(お母さんも大変だ(苦笑)あの年頃の子どもは騒がしいから)

すると、横に座っていた男子高校生が舌打ちをした。

男高1:チッ…!

自習していた全員の視線がその男子高校生に向く。

男高1:…あんだよ?

※2:すみません……!

好:ふぅ……

好花がため息をつくと、その男子高校生が席から立ち上がる。

男高1:あ?

好:うるさい、静かにして、ここ図書館

男高1:あのガキの方がうるせぇだろ…!

好:…未就学児と自分並べて恥ずかしくないんやろか……

(クスクスクス……)

男高1:…チッ……

周りから失笑が起こる。恥ずかしくなったのか、その男子高校生はおとなしく席に着いた。

※2:すみません、ありがとうございます

好:……、勉強中ですのでお気になさらず…

好花はペンを止めることなく、その母親に声をかける。

※2:すみません…

好:……。

しばらくして、その男子高校生はいたたまれなくなったのか、荷物を持って帰ってしまった。

好:……。

男高2:…これ良かったらどうぞ

好:えっ?

突然、逆隣に座っている男子高校生がチョコレートを1ピースくれた。

男高2:かっこよかったですよ?

好:すみません…(苦笑)

もらったチョコレートを口に入れて、再びペンを走らせる。

好:……。

職員:…良ければこちらどうぞ

そう言って職員さんが紙コップに入ったお水を持ってきた。

好:すみません、ありがとうございます

どうやら自習をしている全員に水を渡しているようだ。

しばらくすると、隣から紙コップが流れてきた。

男高2:すいません、向こうに流してもらえます?

好:いいですよ

自分の分の紙コップを重ね、2つ隣の席に渡す。

好:これ、向こうまでいいですか?

女高1:あっ、分かりました

紙コップを渡し、席に戻る。

男小1:…隣いいですか?

好:…えぇ(笑)空いてますから

男小2:ありがとうございます

すると、隣に自由研究で図書館に来たらしい男子小学生が2人やってきて、机の上に宇宙関連の書籍が積みあがる。

男小1:何について書く?

男小2:…この『相対論的宇宙論』っていうのについて書いてみる?

好:(無理やろ…(苦笑))

男小1:何て書いてあんの?

男小2:…何言ってんのか全っ然分かんねぇ……!

好:(でしょうね…!(笑))

周りからは笑いを堪える声が聞こえる。

小学生たちが帰ったところで、自習スペースは再び受験生の空間となる。

好:……。

(ピピピピッ…ピピピピッ…)

全員:⁉

不意に電子音が鳴り、音のする方を向く。

女高2:すみません…!

男高3:…おぉ!ナイスタイミング!

女高2:えっ?

壁の時計を見ると、閉館15分前だった。

女高1:…片付け始めますか!

男高2:忘れ物しないように…!

好:そうですね…!

男高4:アラームありがとね

女高2:いえ、そんな…!

女高1:お礼に飴ちゃんどうぞ

女高2:そんな、大丈夫です…!

男高2:そんなこと言わずにさ?

男高3:そうだ、君にもあげるよ!

好:えっ?

投げられてきたグミをキャッチする。

男高3:邪魔者を撃退してくれたお礼

好:ありがとうございます…(笑)

女高1:はい!私からも!

好:ありがとうございます

好花と女子高校生2に次々とお菓子が渡される展開に。

男高4:ほんじゃ、帰りますか!

職員:いつも綺麗に使ってくれてありがとね?

女高3:いえこちらこそ、いつも使わせていただいてありがとうございます

職員:…私も15年前はみんなみたいに必死に勉強してたわね〜……

女高1:どこの大学だったんですか?

職員:日向大学

男高3:一緒だ!

男高5まぁ、日向大に行く人は多いでしょうね

女高1:私、青鷗です

女高4:県外志望の人〜!

好花含め何人かが手を挙げる。

女高2:私マロニエ女子大です

男高2:へぇ~!頭いい~!

男高3:君は?

好:私ですか?……ひらがな大学です

女高4:えっ、やっば、天才じゃん!

女高1:もしかして皇海学園?

好:はい…(笑)

女高1:どうりで(笑)

そんなことを話しながら図書館を後にする。

好:あ~、疲れた~!

両手を伸ばしながら空を見上げる好花です。

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