171-トラウマを抱える陽世
ぱ:……。
事故以来、トラウマから部屋に籠るようになった陽世。
(コンコンコンッ…)
み:陽世、入るよ
ある日の朝、美玲が朝ご飯を持って陽世の部屋にやってきた。
ぱ:……。
み:いただきます
ベッドに寝ている陽世をよそに、美玲はテーブルの上に朝食を並べて手を合わせる。
ぱ:…ここで食べないでよ……
み:嫌だったらご飯はちゃんと食べて、心配だから…
ぱ:……。
陽世はゆっくりとベッドから起き上がり、テーブルの前に着く。
ぱ:…いただきます……
み:召し上がれ
すると、
ぱ:……。
み:…陽世?
ぱ:ゔっ……
陽世の脳裏にあの光景がフラッシュバックする。
み:陽世、ゆっくり深呼吸しよ
ぱ:ゔん……
深呼吸して心を落ち着かせる陽世の背中を優しくさする美玲。
み:ゆっくりでいいからね
ぱ:……。
み:自分の呼吸に意識向けて…?
ぱ:……。
そうして落ち着いてきた陽世。
み:…ご飯食べれそう?
ぱ:…後で食べる……
み:分かった、別のご飯持ってくるね
◇
朝ご飯を食べた陽世は、再びベッドに横になる。
その頃、美玲もリビングのソファで横になっていた。
み:はぁ……
ストレス反応を抱えた妹への接し方に悩む美玲。PTSDの診断を受けるには一か月かかり、その間のケアをどうすればいいのか分からないでいた。
佐母:…じゃあ、お母さんパートに行ってくるから陽世のことよろしくね
み:分かった…
母親がパートに出かけ、家には姉妹二人でいる状態に。
み:……。
美玲がソファでスマホをいじっていると、階段を降りてくる足音がした。
み:…陽世、どうしたの?
ぱ:お菓子……
み:(笑)買ってこないと無いよ(笑)
二人は上着を羽織って、家を出る。そしてそのまま歩いてコンビニに向かう。
店:いらっしゃいませ
二人は店内を物色して回る。
み:何買う?
ぱ:ベッドの上で食べれるもの
み:そうね〜…、グミとか?
ぱ:うん…
二人はお菓子をいくつか手に取り、お会計に向かう。
店:いらっしゃいませ、商品お預かりします
店:9点で、お会計が1,256円になります
み:d〇comoで
店:かしこまりました
お会計を終えた二人は店を出る。
店:ありがとうございました
二人は道の端を並んで歩く。
み:いただきます
ぱ:もう食べんの?
み:大丈夫大丈夫、こぼさなきゃいいんだから
ぱ:(苦笑)
み:…あったかくなってきたね……
ぱ:そうね……
ぱ:花粉飛びまくってるけど…
み:大丈夫、お姉ちゃんが花粉から守ったるから
ぱ:……お姉ちゃんの方が花粉症酷いくせに…
み:…っくしゅん!
ぱ:言ったそばから……(苦笑)
そうして家に戻ってきた二人。陽世の部屋でお菓子の袋を開封する。
ぱ:……。
み:…陽世?
ぱ:……大丈夫
み:深呼吸ね?
ぱ:うん…
まだまだ道のりは長そうな陽世です。
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