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第七話

合格発表のため、審査会場にやってきた私たち。心なしか空気がピりついている。

3列×8行に整列し、そのときを待つ。会場後方には候補者の保護者が待機している。

そしてついに、そのときが来た。

司会:これより、けやき坂46追加メンバー募集オーディション最終審査の合格者を発表します…!

合格者が一人ずつ名前を呼ばれていく。

司会:3番、河田陽菜さん

司会:5番、濱岸ひよりさん

司会:7番、金村美玖さん

司会:11番、松田好花さん

司会:12番、富田鈴花さん

司会:13番、丹生明里さん

司会:14番、~~~~さん

司会:15番、小坂菜緒さん

司会:16番、渡邉美穂さん

司会:18番、宮田愛萌さん

そして……、

司会:…以上になります

〇〇:……。

その瞬間、頭の中が真っ白になった。

〇〇:……。

スタッフ:…落選者は控え室に戻ってください

スタッフさんに背中を押され、正気に戻った私は控え室に向けて歩き始める。

※:ゔうぅ……(涙)

※:っ……(涙)

※:なんで……(涙)

控え室までの帰り道は地獄の様相を呈していた。

〇〇:……。

私は未だに現実を受け止めきれず、茫然としていた。

控え室に戻ると、スタッフさんに話をされた。

スタッフ:……みんな、お疲れ様…

スタッフ:二か月間、みんなはほんとによく頑張ってくれた

スタッフ:…今回は落ちてしまったけど、ここまで来れたこと、誇っていいよ…!

スタッフ:まだまだみんなの人生これからだから、この先も色んな挫折を経験すると思うけど、それはみんなの人生の糧になるから

スタッフ:最後にもう一度、…みんな、お疲れ様!!

スタッフさんの言葉に目から涙が溢れて止まらない。手の甲で涙を拭いながら、候補者全員が立ち上がる。

候補者:ありがどうございました~!(涙)

涙でぐっちゃぐちゃになりながらスタッフさんにお礼を伝える。

スタッフ:うん、…正直みんなと仕事したかったな……

私たちはお弁当の包み紙の裏側に、合格者へのメッセージを書くことに。カバンから筆箱を取り出し、ボールペンでメッセージを書く。

『合格したみんなへ

合格おめでとう
俺たちの分も頑張ってね、ずっと応援するからね

森田〇〇』

〇〇:ひぐっ…ゔぅ……(涙)

みんなが泣きながら荷物をまとめる中、私は椅子に座って泣き崩れていた。

スタッフ:森田くん…、ここまでよく頑張ったよ…

〇〇:ゔゔううぅ……(涙)

スタッフさんの肩を借りて立ち上がる。

何とか荷物をまとめ、スタッフさんに支えられながら外に出る。日没を過ぎ、仄暗くなった道路を歩く。

スタッフ:…ホテルどこ?

〇〇:ずびっ…溜池山王駅前です……(涙)

スタッフ:分かった…

そうして改札を通り、ホームまで送ってもらう。

スタッフ:じゃあ…、これからも頑張ってね…?

〇〇:はい…、ありがとうございました……(涙)

スタッフさんに感謝と別れを告げ、電車に乗り込む。
……………………………………………………
菜緒:連絡先交換したんはいいけど、結局連絡取らへんかったしなぁ…(苦笑)

〇〇:まぁそんなもんやろ(笑)現役メンバーに電話とか掛けづらいし…(苦笑)

菜緒:あれから他のアイドルのオーディションとか受けたん?

〇〇:いいや?合同オーデのシード権ももらってたけど使わんかった

菜緒:なんでよ、もったいない…

〇〇:だって、私からしたらあのオーディションが全てやったし……

菜緒:森田くん……

すると、

(コンコンコンッ)

今野:そろそろいい?

〇〇:はい

今野さんが入ってきた。

今野:森田くんには早速で申し訳ないんだけど、明後日からひな誕祭が始まるからそっちの応援に行ってもらっていい?

〇〇:専属の意味…!(笑)

菜緒:(爆笑)



そして翌日、6時出社で事務所の社用車に乗り込み、小坂さんを迎えに行く。

(プルルルッ…)

菜緒📞:はい、もしもし、小坂です

〇〇:マネージャーの森田です、あと10分ほどでそちらに着くので準備しておいてください

菜緒📞:分かりました

そして小坂さんのマンションに着き、もう一度電話する。

〇〇:…降りてきた

数分ほどで小坂さんが降りてきて、後方ドアが開く。

菜緒:おはようございます

〇〇:おはようございます、じゃあ出発します

シフトレバーを入れ、横浜スタジアムに向けて車を発進させる。

菜緒:…緊張する?

〇〇:そりゃあね、他の二期生が私のこと覚えているかとか…

菜緒:ハハハ……(笑)

菜緒:大丈夫だよ(笑)

そしてハマスタに到着すると、車を降りて関係者口に向かう。

菜緒:おはようございます

〇〇:おはようございます

スタッフ:おはようございます

スタッフ:おはようございます

小坂さんはメンバー控え室に、私は運営本部に向かう。

〇〇:おはようございます

今野:おはよう、だいぶ余裕持ってきたね

〇〇:遅刻するよりか何倍もマシですから…(笑)

そうして打ち合わせを終えたあとは、小坂さん以外のメンバーとの顔合わせになる。

今野:森田くん、一旦ここで待機

〇〇:はい

今野さんがメンバー控え室に入っていく。

今野:みんな、おはよう

メンバー:おはようございます

今野:今日も現場リハーサルをしていくんだけど、その前に今日から日向坂に配属となったマネージャーを紹介します

~続~

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