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結婚式場のカメラマン

8月のとある真夏日、大学進学を機に一人暮らしを始めた私のアパートに一通のハガキが届いた。

〇〇:おぉ……、…マジか……!

それは好花さんのお姉さん、♡♡さんの結婚式・結婚披露宴の招待状だった。

〇〇:…しっかし京都か〜……

関東の大学に進学したため、京都までは往復で2,3万円はする。なのでお断りするか、と考えながら後ろをめくると、

〇〇:…およっ……?

下の方に♡♡さんの手書きであろう文字で『交通費や宿泊費はこっちで負担します!』と書かれていた。

〇〇:……行くか…(笑)

せっかく費用を負担してくださるということで参列することにした。
……………………………………………………
そして披露宴前日、私はキャリーケース片手に大学の講義を受けたあと、そのまま東京駅に向かった。

〇〇:え〜っと……

予め購入しておいた新幹線の指定席のチケットを頼りにシートに座る。好花さんと菜緒さんは新横浜から乗るらしく、今私の隣には誰も座っていない。

スマホを開くと好花さんからLINEが。

好花:『新横浜着いたよ😊』

〇〇:『了解です👍』

しばらくして新幹線が出発する。

そして品川を過ぎ、新横浜に到着する。

好花:〇〇くん、やっほ~

菜緒:久しぶり

〇〇:お久しぶりです

お二人が隣の席にやってくる。

菜緒:…窓際行きたいんだけどいい?(笑)

〇〇:どうぞ?(笑)

窓際の席を菜緒さんに譲り、間に好花さんを挟んで通路側に座る。

好花:…夜ご飯食べた?

〇〇:…食べました?

好花:私たちお弁当もらってきてるから…

〇〇:そうなんですね、まぁ私も駅でおにぎり買ってますけど(笑)

それぞれ自分のお弁当を開き、夜ご飯を食べる。

好花:…寝ていい?

お弁当を食べ終え、ゴミを片付けた好花さんがそんなことを聞いてきた。

〇〇:どうぞ?

菜緒:近くなったら起こして?

〇〇:了解です

お二人が目を瞑り入眠したところで、私はパソコンを開き妄ツイを書く。

〇〇:……そろそろ着きますよ?

京都駅接近のアナウンスが流れ、お二人を起こす。

好花:んっ…、ありがと……

菜緒:眠っ……

新幹線を降り改札を出ると、好花さんのご両親が待っていた。

好花:ただいま

好花母:おかえり

〇〇:お久しぶりです

好花父:久しぶり(笑)大きくなったな(笑)

好花母:じゃあ移動するよ?

そして、式場近くのホテルに到着した。

好花母:チェックインしてくるからちょっと待っとって?

好花:ん~

四人でソファに座り待機する。

好花母:お待たせ、これ菜緒ちゃんの部屋ね

菜緒:ありがとうございます

好花母:これが〇〇くん

〇〇:ありがとうございます

好花母:はい、お父さん

好花父:ありがと

鍵を受け取りエレベーターで部屋のある階に上がった後、四人と分かれ部屋の鍵を開ける。

〇〇:すげぇ……!

部屋に入ると、ビジネスホテルとは違う高級感あふれる内装に度肝を抜かれる。

(ガラガラガラッ)

窓を開けバルコニーに出ると、向こうにうっすらとだがチャペルが望めた。

〇〇:あそこか~……

部屋に戻り、翌日も朝が早いのでお風呂に入って寝る準備を整える。

〇〇:あとは着替えを袋に入れて……、よしっ、寝るか

寝る準備を整え終え、ベッドに入り電気を消す。
……………………………………………………
(🎶~🎶~)

〇〇:んっ……

翌朝六時、アラームの音で目が覚める。

〇〇:……着替えよ…

洗面所で歯を磨き寝癖を整えたら、洋服に着替えて軽くメイクをし、好花さんの部屋に向かう。

(🎶~)

好花:は~い…、おはよっ

〇〇:おはようございます…

部屋の中には菜緒さんがおり、二人で好花さんの準備を待つ。

好花:よしっ、二人ともビュッフェ行くよ

菜緒:ん~

一階のビュッフェ会場に降りると、入口で受付を済ませ席に案内される。

好花:じゃあ私たち家族はこっちだから

菜緒:じゃあ

菜緒さんと案内された席に向かい、荷物を置く。

〇〇:…取り行きます?

菜緒:もう行っていいんでしょ?

〇〇:じゃないですかね?

二人でビュッフェに並ぶ。すると、

♡♡:おっ、二人ともおはよう

二人:おはようございます

前に♡♡さんと新郎の☆☆さんが並んでいた。

♡♡:あとで改めて紹介するけど、私の夫になる☆☆さん

☆☆:初めまして

〇〇:初めまして、新婦妹の友人の〇〇です

菜緒:同じく新婦妹友人の菜緒です

しばらくして順番が来て、積み上がったプレートの前までやってきた。

♡♡:はいどうぞ

〇〇:ありがとうございます

♡♡:菜緒ちゃんも

菜緒:ありがとうございます

♡♡さんにプレートを取ってもらい、ビュッフェを盛り付けていく。

菜緒:〇〇くん、菜緒にもお願い

〇〇:了解です

スクランブルエッグを盛っていると、菜緒さんにお願いされたので菜緒さんのプレートにも盛る。

♡♡:みんな、パン焼く?

☆☆:私は大丈夫

〇〇:私も大丈夫です

菜緒:…二つお願いしていいですか?

♡♡:いいよ(笑)

菜緒さんと♡♡さんがトースターでパンを焼く。

〇〇:☆☆さん、バター取ってもらってもいいですか?

☆☆:あぁ、はい

〇〇:ありがとうございます

☆☆さんからバターを受け取りドリンクコーナーに向かうと、好花さんがいた。

〇〇:早っ(笑)

好花:荷物置いてすぐ来たからね(笑)

☆☆:好花ちゃん先注いでいいよ

好花:あ、すいません

好花さんがアイスティーをコップに注ぐ。

〇〇:二人、飲み物何にします?

♡♡:私お水

菜緒:菜緒は…、好花と同じアイスティーで

〇〇:了解です

お二人の希望を聞き、ドリンクコーナーに戻る。

☆☆:〇〇くんは?

〇〇:私もアイスティーです

☆☆:オッケー、…好花ちゃん先行ってていいよ、♡♡さんの分も持ってっちゃうから

好花:分かりました

私は自分と菜緒さんの分のアイスティーを注ぎ、菜緒さんの到着を待つ。

〇〇:…菜緒さん

菜緒:ありがとう

菜緒さんに飲み物を渡し、二人で席に戻る。

〇〇:……あっ、箸…

菜緒:菜緒もや(笑)

〇〇:取ってきます(笑)

菜緒:ごめん(笑)

箸を取り忘れていたので取りに戻る。

〇〇:お待たせしました

菜緒:ありがとう(笑)

席に着いて手を合わせる。

二人:いただきます

〇〇:……。

菜緒:……。

ただただ無言で食事をする私と菜緒さん。

菜緒:…なんか話題ないん?(笑)

〇〇:そう言うなら菜緒さんが振って下さい(笑)

菜緒:やだ(笑)

そんなことを話しながら私のプレートが空になる。

〇〇:おかわり取ってきます

菜緒:行ってらっしゃい

今度はビュッフェの前が空いていたのでスムーズに並ぶ。

〇〇:どれにしようかな〜🎶

♡♡:私が選んであげよっか?(笑)

〇〇:大丈夫です(笑)

後ろには♡♡さんと♡♡さんのお母さんが並んでいた。

♡♡母:今のうちにたくさん食べときな?披露宴が始まるの14時過ぎやから

〇〇:そうですね…(笑)

初めと同じくらいの量を盛り、席に着く。

菜緒:…菜緒も取ってこよ〜

〇〇:行ってらっしゃい(笑)



そして朝ごはんを食べ終え、部屋に戻る。

〇〇:ん〜!……着替えるか…

着ていた洋服を脱ぎ、スーツに着替える。ヘルニア持ちのため、初めにコルセットを巻く。その後、ワイシャツを着てズボンを履きベルトを締める。そして難関のネクタイである。

〇〇:…未だにネクタイ結べへん……(笑)

中高共に私服登校だったためネクタイを着ける機会が無かったのだ。Youtubeの動画を参考にネクタイを結び、なんとか形になる。そして最後にベストを着る。

〇〇:よしっ、…メイクやな

正装のため、普段以上にしっかりとメイクを施す。メイクを終えると前髪を留めていたピンを外し、髪のセットに移る。

〇〇:…髪型どうすっかな……

スマホで『結婚式 参列 髪型 男』と調べ、良さげな髪型を選ぶ。

〇〇:…アップバングでいいか

洗面所で髪を濡らし、ブローで形を作る。スタイリング剤で整え、スプレーで固める。

〇〇:…こんなもんかな……?

一度ジャケットを羽織り、姿見で全身を確認する。

〇〇:……オッケー…やな…

必要最低限の荷物をクラッチバッグに入れ、カメラを持ったらスーツケースを引いて部屋を後にする。そして好花さんにLINEを送る。

〇〇:『どこに向かえばいいですか?』

好花:『今着付けしてもらってるからエントランスで待ってて』

好花:『たぶん誰かしらいると思う』

〇〇:『分かりました』

エレベーターでエントランスに降りると、列席者らしき人達が集まっていた。

〇〇:…この辺か……

私は自販機に向かい飲み物を買う。

〇〇:(ゴクゴクゴク……)

〇〇:…ふぅ〜……

ソファで飲み物を飲みながら好花さんたちの到着を待つ。

すると、一人の男性が私の方へ歩み寄ってきた。

??:〇〇くん…だよね?

〇〇:あっ、はい

??初めまして、新婦従弟の※※です

〇〇:初めまして、本日はおめでとうございます

新婦従弟:ありがとうございます、…ちょっと〇〇くんのネクタイ直してもいい?(笑)

〇〇:あっ、お願いします…///

新婦従弟:…好ちゃんと同じ学校なんだっけ?そりゃネクタイなんて結び慣れてないわな(笑)

〇〇:お恥ずかしながら…(苦笑)

新婦従弟:…よしっ、オッケー

〇〇:ありがとうございます

♡♡さんの従弟さんにネクタイを結び直してもらい、好花さんたちの到着を待つ。

スマホを弄りながら数十分ほど待ったところで好花さんたちが降りてきた。

好花:お待たせ

〇〇:大丈夫です(笑)

菜緒:バッチリキメてんね(笑)

〇〇:冠婚葬祭ですから(笑)

スマホをしまい立ち上がる。入り口前のロータリーからタクシーに乗り込み、式場に移動する。



式場に到着し、クロークに荷物を預け、クラッチバッグからご祝儀袋の入った袱紗を取り出し受付に向かう。好花さん、菜緒さん、私の順番で受付を行う。

〇〇:本日はおめでとうございます、新婦友人の青野〇〇と申します

受付:青野さま…、ありがとうございます、ご祝儀お預かりいたします

〇〇:お願いします

袱紗からご祝儀袋を取り出し、受付の方に渡す。

受付:恐れ入りますが、こちらにご記帳をお願いいたします

芳名帳の前に促され、記帳を行う。

受付:こちら本日のしおりになります。中に席次表がございますのでご自分のお席をご確認ください。…それと、青野さまには新婦からの手紙もございますので、お受け取り下さい。お式開始まではチャペルの中でお待ちください

記帳を終えると、しおりと♡♡さん直筆の手紙を渡された。

〇〇:ありがとうございます

チャペルに入ると、まだ新婦親族と菜緒さんだけだった。チャペル内では生演奏と歌唱が流れていた。

♡♡父:〇〇くん、おはよう

〇〇:おはようございます、本日はおめでとうございます

♡♡父:ありがとうございます

菜緒さんの隣の席に座り、しおりを開く。表紙を開いてすぐに、新郎新婦の前撮りの写真が見開きで現れた。

〇〇:……ヤバっ、むっちゃ綺麗…!

…とここで、まさか…(笑)、と思い好花さんの方を見ると、

好花:……(涙)

案の定泣いていた。

〇〇:…まぁ泣くわな……(笑)

菜緒:ん?…あぁ……(笑)今日はいいんじゃない?(笑)



〇〇:…なんか緊張してきた(笑)

菜緒:なんでよ(笑)

しばらくして、ファミリーミートとベールダウンを終えた♡♡さんのお母さんがやってきた。

そして、ついに式が始まる。牧師さんが入場し、列席者が起立する。

牧師:…これから、新郎□□☆☆、新婦松田♡♡の、結婚式を、執り行います

司会:それでは、新郎さまのご入場です、拍手でお迎えください

後ろの扉が開き、☆☆さんが一礼後レッドカーペットをゆっくり聖壇前まで進み出る。緊張しているのか歩き方がぎこちない。

そして新郎入場完了後、新婦♡♡さんの入場に。

司会:続きまして、新婦さまのご入場です

また後ろの扉が開き、♡♡さんがお父さんのエスコートを受け入場する。私もスマホのビデオ撮影を起動し、胸元で撮影しながら自分の目にも♡♡さんの晴れ姿を焼き付ける。

〇〇:……ホンマに綺麗…

菜緒:……うん…

聖壇前に着き、☆☆さんが♡♡さんの手を受け取る。

♡♡父が席に行き、列席者全員で賛美歌の斉唱を行う。

(🎶〜🎶〜🎶〜🎶〜)

賛美歌斉唱を終え、席に座る。

そして、牧師さんが聖書の一部を朗読する。

牧師:Love is patient and is kind; love doesn’t envy. Love doesn’t brag, is not proud, doesn’t behave itself inappropriately, doesn’t seek its own way, is not provoked, takes no account of evil; doesn’t rejoice in unrighteousness, but rejoices with the truth; bears all things, believes all things, hopes all things, endures all things. Love never fails. But where there are prophecies, they will be done away with. Where there are various languages, they will cease. Where there is knowledge, it will be done away with.

そして、クライマックスの誓約へ。

牧師:新郎☆☆、あなたは♡♡を妻とし、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、妻を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?

☆☆:はい、誓います

牧師:新婦♡♡、あなたは☆☆を夫とし、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、夫を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?

♡♡:はい、誓います

牧師:…それでは、指輪の交換を

後ろの扉が開き、リングベアラーのワンちゃんがやってきた。☆☆さんが指輪を受け取り、ワンちゃんは帰っていく。♡♡さんもウェディンググローブをスタッフさんに外してもらい、待機する。

☆☆さんが♡♡さんの左手を取り、薬指にゆっくりと指輪をはめる。その後♡♡さんも☆☆さんの左手に指輪をはめる。

そしていよいよベールアップへ。私も再度スマホのビデオ撮影を起動する。

☆☆さんが♡♡さんのベールの裾を掴み、ゆっくりとベールを上げていく。後半もたついていたのは見なかったことにする。

牧師:それでは、誓いのキスを…

☆☆さんと♡♡さんの顔が少しづつ近づき、誓いのキスを交わす。

(……パチパチパチ👏)

自然発生的に拍手が起こり、新郎新婦が恥ずかしそうにする。

牧師:それでは、新郎新婦は、結婚証明書に、サインをしてください

お二人が署名台の前へ行き、結婚証明書にサインをする。続いて牧師さんが証人としてサインを行う。

牧師:これをもって、新郎☆☆、新婦♡♡は、夫婦となりました

(パチパチパチ……👏👏)

列席者は立ち上がり、新郎新婦に祝福の拍手を送る。

司会:それでは新郎新婦の退場です、皆さま拍手でお見送りください

(パチパチパチパチパチパチ……👏👏)

☆☆さんと♡♡さんが腕を組んで並んで歩いていく。

その後、牧師さんも退場していき、チャペルウェディングが終了した。

菜緒:…ホンマ綺麗やったな……

〇〇:そうですね〜……

しばらく余韻に浸った後、フェザーシャワーのためチャペル前に移動する。



菜緒:…式中泣いとったやろ?(笑)

好花:あんなん泣くわ…(涙)

〇〇:好花さん…(苦笑)

♡♡母:三人とも、これ

〇〇:あっ、ありがとうございます

フェザーの入った袋を受け取り、中身を取り出す。

(ガチャッ!)

チャペルの扉が開き、☆☆さんと♡♡さんが出てくる。

菜緒:おめでとうございま~す

〇〇:おめでとうございま~す

好花:お姉ちゃん、おめでと~

お二人めがけてフェザーを投げ上げる。

他の列席者も次々にフェザーを投げ上げ、辺りがフェザーまみれに。ただ、お二人はものすごい満面の笑みだった。

〇〇:……掃除大変そう…(苦笑)

♡♡父:式場の方が掃除してくださるみたいよ?

〇〇:…そうなんですね…

そしてブーケトスを行うことに。

司会:ブーケトスに参加される方はぜひ前の方に…!

〇〇:二人とも行ってらっしゃい

好花:(笑)行ってきます

菜緒:行ってきます(笑)

私はカメラを取り出し、シャッターチャンスを待ち構える。

♡♡:さすが(笑)バッチリよろしくね(笑)

〇〇:もちろん!(笑)

司会:それでは!新婦さま、ブーケトスをお願いします!

♡♡:いきま〜す!

♡♡さんが投げたブーケは綺麗な放物線を描き……、

(ポスッ)

新郎従妹の腕の中に収まった。

※※:取れた…!(笑)

司会:おめでとうございます!

そして記念撮影に移ると思いきや…、

司会:続いて、新郎さまによるブロッコリートスです!

〇〇:…なるほどね(笑)

ブロッコリートスを行うことに。

♡♡父:〇〇くん、GO!(笑)

〇〇:…行ってきます(笑)

好花:行ってらっしゃ〜い(笑)

好花さんに荷物を預け、階段を降りる。

私含めた未婚男性がチャペルの階段下に集まり、☆☆さんの投げたブロッコリーを掴まんと意気込んでいた。

〇〇:…男ってこういうの全力で楽しむ生き物よな……

※※:グフッ…!

※※:まぁそうね…(笑)

〇〇:あっ…///(笑)

私がボソッと呟いた独り言に、近くにいた新郎友人らしき方が反応してくれた。

☆☆:いきま〜す!

☆☆さんの放ったブロッコリーは私たちの頭上を通り抜け…そうになっだが、

〇〇:ほっ!

(パシッ!)

一番後ろでスタンバってた私が、ジャンプしながら全力で腕を伸ばしブロッコリーをキャッチする。

(フゥーー!!)

私のファインプレーに、周りにいた男性陣が雄叫びをあげながら私を取り囲む。

〇〇:…でしょうね!(笑)

そのまま持ち上げられ胴上げされる。なんなら途中で☆☆さんも混ざってきた。

〇〇:絶対やると思いましたよ…(笑)

胴上げから降ろされ、私はそう呟いた。

※※:なんでよ(笑)

※※:…そういやさっき『…男ってこういうの全力で楽しむ生き物よな……』って言っとったもんな(笑)

〇〇:聞いてたんすか?(笑)

※※:うん(笑)

☆☆:…〇〇くん、そのブロッコリー食べていいよ?(笑)

〇〇:今っすか?

☆☆:うん(笑)

〇〇:いや、いいです(笑)

一同:(爆笑)



そして、やっと記念撮影へ。

好花:〇〇くん、はい

〇〇:ありがとうございます

好花さんから荷物を受け取り、カメラを起動する。

(パシャッ)

好花:早っや(笑)

〇〇:オフショットです(笑)

始めに新郎新婦で撮影を行う。

カメラマン:いいですね、新婦さんもう少し新郎さんの方寄りましょっか

♡♡:はい

カメラマン:行きますよ〜、はいチーズ!

(パシャッ)

何枚か写真を撮ったら、次はリングベアラーのワンちゃんを♡♡さんが抱きかかえ、写真を撮る。

カメラマン:はいチーズ!

(パシャッ)

カメラマン:お次は、ご家族で撮りましょう!

先に新郎家族で記念撮影を行う。

好花:私、写真撮って大丈夫?顔とか…

〇〇:涙だけ拭いときます?

好花:うん

バッグからティッシュを取り出し、好花さんに手渡す。

好花:ありがと

カメラマン:それじゃ新婦さんとご家族の方、大丈夫ですか?

〇〇:行ってらっしゃい

好花:行ってきます(笑)

好花さんたちの記念撮影を見守っていると、好花さんが手招きしているのが目に入った。

〇〇:……私?

菜緒:じゃない?

小走りで駆け寄る。

〇〇:どうしたんですか?

好花:〇〇くんも写真撮って?(笑)

〇〇:…分かりました(笑)

カメラマンさんに場所を譲ってもらい、松田家の記念撮影を行う。

〇〇:行きますよ〜、はいチーズ!

(パシャッ)

〇〇:もう一枚行きま〜す、はいチーズ!

(パシャッ)

〇〇:はい、オッケーで〜す!

続いて両家で記念撮影を行う。

〇〇:どうぞ(笑)

カメラマン:ありがとうございます(笑)

そして最後に、

カメラマン:全員で記念撮影を行うので、皆さんご準備の方お願いします!

列席者全員で記念撮影へ。

スタッフ:皆さん、お荷物お預かりします

〇〇:すみません、お願いします

スタッフさんに荷物を預け、記念撮影に向かう。

好花:菜緒、〇〇くん、こっち

好花さんに呼ばれ、すぐ後ろにつく。

カメラマン:行きますよ〜、はいチーズ!

(パシャッ)

カメラマン:…じゃあ皆さん、お好きなポーズとってください!

好花:…どうする?

菜緒:『ヒ』ポーズでもする?(笑)

〇〇:いいですよ(笑)

カメラマン:行きま〜す、はいチーズ!

(パシャッ)

記念撮影を終え、私たちは披露宴会場に移動する。



〇〇:席どこやろ…?

菜緒:ん〜とね…、一番手前の右から2番目

〇〇:そこっすか?

菜緒:うん

席次表の通りに席に座り、披露宴の開始時間まで待機する。

〇〇:……というか、このトンボの飾り付けは何なん?(笑)

菜緒:…何やろ?(笑)

会場の壁にはトンボが飛び回っていた。

〇〇:……止まるときに尻が上がるから右肩上がり、ってことらしいです…

菜緒:へぇ〜……

そして、会場の照明が消灯し結婚披露宴が開式する。

司会:皆さま、大変お待たせいたしました!ただいまより新郎□□☆☆さま、新婦松田♡♡さまの結婚披露宴を開式いたします!

(パチパチパチ……👏👏)

司会:今回、司会進行を務めさせていただきます〜〜〜〜と申します

(パチパチパチ……👏👏)

司会:それでは早速、新郎新婦に入場していただきましょう!どうぞ!

天井のスピーカーから音楽が流れ始め、スマホのビデオ撮影を起動する。

会場後方の扉が開き、お二人がスポットライトに照らされながら入場する。

(パチパチパチ……👏👏)

お二人が高砂に到着し、着席する。

司会:それでは、主賓の方からお言葉を頂戴したいと思います、※※※※さま、よろしくお願いいたします

新郎側の主賓の方がマイク前に移動する。

※※:ん"っん、…え〜、☆☆さん、♡♡さん、このたびはご結婚おめでとうございます。両家のご家族やご親族の皆さまにも、心よりお喜び申し上げます

※※:私、ただ今ご紹介にあずかりました、☆☆さんの勤務先の上司の※※と申します。僭越ではございますが、ひと言ごあいさつさせていただきます

新郎側の主賓の方の祝辞が終わり、新婦側の主賓の方の祝辞に移る。

双方の祝辞が終わり、乾杯の挨拶へ。

〇〇:おっ、このパパ…!

♡♡さんのお父さんがマイク前に移動する。

♡♡父: 新婦の父、〜〜〜〜でございます。僭越ではございますが、両家を代表いたしまして、私から一言ご挨拶をさせて頂きます

♡♡父:皆さま、本日はご多用のところ、二人のためにお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

♡♡父: なにぶん、まだ未熟な二人でございますが、どうぞこれからも皆さま方のお力添えを賜り、温かく見守っていただければと思います

♡♡父:…ところで、この会場の壁に飾り付けられているトンボですが、枝などに留まる際に尾っぽが下がらないことから、このトンボのように右肩下がりの…右肩上がりの人生を二人には送ってもらいたいと思っております

(中略)

♡♡父:そして今回、娘♡♡の生まれ年である1997年のシャンパンを持ってきました

♡♡父:26年も経ってるシャンパンなんですけども、一度引っ越した時にワインセラーの電源が切れてしまった時期がありましたので、私の方で毒見をさせていただきます(笑)

(ハハハハハ……(笑))

そう言ってシャンパンの蓋を開けようとするが、

♡♡父:……あれ?おかしいな~…

26年経ったシャンパンは蓋がカチカチに固まっているようだった。

♡♡父:…ここは若手の力を借りましょう!ということでね、新郎の☆☆くんにも手伝っていただきましょう!

なんと、☆☆さんも一緒になってシャンパンの蓋を開けることに。

☆☆:…ほんとに開かないですね……

(スポンッ!)

♡♡父:…よしっ

にも関わらず、3本とも全てご自分で開けてしまった。

〇〇:…開くんかい(笑)

☆☆さんと♡♡さんがキャンドルサービスのように各テーブルを回り、列席者の席のグラスにシャンパンを注いでいく。

☆☆:シャンパンどうぞ

菜緒:ありがとうございます

♡♡:…〇〇くんはまだ飲めないのか

〇〇:そうですね(笑)

私たちのテーブルにやってきたお二人。♡♡さんがグレープジュースのボトルをスタッフさんから受け取り、私のグラスに注いでいく。

♡♡:二人ともまだまだ楽しんでね

二人:ありがとうございます(笑)

司会:それでは※※※※さま、乾杯のご挨拶をお願いいたします

※※:私、ただ今ご紹介にあずかりました新郎の友人の※※と申します。はなはだ僭越ではございますが、ご指名を頂戴しましたので、乾杯の音頭を取らせていただきます

※※:☆☆くん、♡♡さん、ならびに両家の皆さま、本日は誠におめでとうございます。新郎の☆☆くんとは中学時代からの長い付き合いで、お互いが生涯の友とも呼べる大切な存在です。本日は、無二の親友の晴れの日を、こうして迎えることができて感無量です

※※: こんな素敵な花嫁さんと出会えた☆☆くんを羨ましくも思いますが、それ以上に嬉しい気持ちでいっぱいです。☆☆、♡♡さんと二人で楽しい家庭を築いてください。

※※:それでは皆さま、乾杯のご唱和をお願いします。

グラスを持って列席者が立ち上がる。

※※:お二人の前途とご両家のますますの繁栄をお祈りしまして、乾杯!

全員:乾杯!

着席し、グラスを傾ける。

司会:それでは、ケーキカットに参ります

会場前方の扉が開き、ウェディングケーキが入ってくる。

司会: 新郎新婦のお二人にもケーキの前へとお進みいただきますので、是非ゲストの皆さまもカメラ・ビデオをご準備の上、ケーキのお近くへとお越しくださいませ

司会:お二人の大切なセレモニー、しっかりとお近くでご覧いただきたいと思います。ご遠慮なくお近くへとお越しください

司会:また、新郎新婦にはもちろんのこと、お二人のウェディングケーキにも是非ご注目ください

私はお二人の上手側に移動し、カメラを構える。♡♡さんがナイフを握り、その上から☆☆さんが握る。

司会:新郎新婦のお二人、準備はよろしいですか?

二人:はい

司会:それでは、お願いします!

お二人の握るナイフがケーキに入っていく。

(パチパチパチ……👏👏)

司会:沢山の皆さまに見守られる中、今お気持ちをひとつにナイフを入れていただきました。このお二人の表情、是非皆さまのカメラにもしっかりとお納めくださいませ

司会:新郎新婦のお二人は、是非ここもお気持ちを合わせて同じ方向のカメラに笑顔を向けて差し上げてください

しばらく写真撮影タイムが続いた後、

司会: さて、ケーキ入刀に続いては、お互いにケーキを食べさせ合っていただくファーストバイトのセレモニーです!

司会:お二人がナイフを入れられたこのウェディングケーキ、せっかくですのでまずはお二人に、皆さまの前で、食べさせ合っていただきましょう

スタッフさんが持ってきた巨大スプーンを☆☆さんが受け取り、ケーキを掬い上げる。

☆☆:あ〜ん…

♡♡:んっ、美味しい…

続いて♡♡さんがケーキを掬い上げる。

〇〇:むっちゃ掬うやん…(笑)

到底☆☆さんの口に入る大きさではないが、♡♡さんは面白がって無理やり食べさせる。

(ハハハハハ……(笑))

それを見ている列席者の間にも笑いが起きる。カーペットに養生が貼られている辺り、式場側もこうなるのを分かっているのだろう。

司会:それでは、ご歓談タイムとさせていただきます、皆さまお食事をお楽しみください

スタッフさんによって料理が運ばれてくる。

〇〇:美味そう……

菜緒:(笑)

〇〇:いただきます

菜緒:いただきます

〇〇:ん〜、美味っ!

菜緒:ほんとだ、美味しい…!

しばらく食事を堪能していると、

好花:〇〇くん、菜緒、高砂行こ?

好花さんに呼ばれ、三人でグラスを持って高砂に向かうことに。

好花:お姉ちゃん

♡♡:好花〜、二人も、お食事楽しんどる?

〇〇:えぇ、とても美味しいです

♡♡:それは良かった

好花:お姉ちゃんホンマに綺麗やな…

♡♡:ありがと(笑)…チャペルで式中、泣いとったやろ(笑)

〇〇:大丈夫です、しおりの前撮りの写真で泣いてますから(笑)

好花:ちょっと…!(笑)

♡♡:嘘やろ!?(笑)早っ…!(笑)

菜緒:でもホンマに美しいですもん…(笑)

♡♡:そう?(笑)…じゃあ私も好花の結婚式で号泣してやろうかな(笑)

〇〇:じゃあ楽しみにしてますね(笑)

♡♡:こら(笑)

後ろに並んでいる人がいたので、私たちはこの辺でお暇した。

その後もしばらく料理を堪能していると、新郎新婦が一度中座することに。

司会:ここで新婦さまはお色直しのため ご中座をさせて頂きます。ご一緒にエスコートをしてくださる方を新婦さんにご指名いただきます!

♡♡:…好花〜

♡♡さんのエスコート役として好花さんが指名される。

好花:えっ…!

〇〇:行ってらっしゃい(笑)

好花さんが恐る恐る♡♡さんのもとへ向かう。

司会:お姉さんのエスコート役に選ばれましたが、いかがですか?

好花:えっ?…えっ!?

♡♡:(笑)

司会:♡♡さまは、どんなお姉さんですか?

好花:ん~、そうですね…、まぁ結構お姉ちゃんは両親から叱られたりしてる、怒られてるイメージが強くて、だから私はそんなお姉ちゃんを見て、これをしちゃ怒られるんだ、とかそういった参考にして、お姉ちゃんのこれをしちゃいけない、ってことを学んで育ってきた人生でした(笑)

(ハハハハハ……(笑))

好花:お姉ちゃんのおかげで、しっかりしなきゃって、結構お姉ちゃん怒られてたから、妹の私はしっかりしなきゃ、っていうので過ごしてこれました(笑)

司会:そうなんですね、…お姉さんのドレス姿はいかがですか?

好花:そうですね……、あの~、実はなんですけど…、受付で配られたしおり?あるじゃないですか、あれ開いたときの☆☆さんのタキシード姿とお姉ちゃんのウェディングドレス姿を見て泣いてしまって……(笑)『大人になったんだなぁ…』って(笑)

司会:確かに、バラエティでも泣いたときに『泣いてないです』って言われてましたもんね

まさかの、司会の方が好花さんの仕事ぶりを知っていらしたのだ。

司会:じゃあ最後に、お姉さんにお祝いのコメントをお願いいたします

好花:お姉ちゃん、結婚おめでとう

好花さんが♡♡さんにお祝いコメントを伝えながら、次第に泣き始める。

司会:……泣いてらっしゃいます?(笑)

好花:泣いてないです…(笑)

(ハハハハハ……(笑))

司会:それでは、好花さまのエスコートでお進みいただきましょう。皆さま、どうぞ大きな拍手でお見送りください!

(パチパチパチ……👏👏)

拍手の中、♡♡さんが好花さんと腕を組み退場していく。

☆☆さんもお父様のエスコートで退場し、その間にお二人のプロフィールムービーが流れる。

菜緒:……なんか分かんないけどこみ上げてくるね…

〇〇:えぇ……

♡♡さんの人生のほんの6/26だが、♡♡さんに良くしてもらっていた私と菜緒さんの心にはこみ上げてくるものがあった。



司会:皆さま、大変長らくお待たせいたしました。装い新たな新郎新婦さまを会場にお迎えしたいと思います。

司会:新郎新婦、入場です!大きな拍手でお迎えください!

(パチパチパチ……👏👏)

新郎新婦の入場後、フォトラウンドの時間に。

司会:さて、これより新郎新婦のお二人が皆さまのテーブルへご挨拶に伺います。お二人がテーブルへ伺いましたその際には、テーブルごとの皆さまと記念のお写真撮影をさせていただきますので、皆さまお二人を素敵な笑顔で囲んで差し上げてください。

そして、私たちのテーブルにやってきた。

♡♡:やほ〜(笑)

※※:♡♡、むっちゃ綺麗よ

♡♡:ありがと(笑)

〇〇:☆☆さんも、イケメン度に拍車がかかってますね

☆☆:どうも(笑)

お二人を囲み、記念撮影を行う。

カメラマン:はいチーズ!

(パシャッ)

♡♡:〇〇くんも撮る?

〇〇:いや、大丈夫です(笑)お二人のことは先ほど撮ったので(笑)

フォトラウンドを終え、お二人は高砂に戻る。

司会:さて、新郎新婦をメインテーブルにお迎えいたしましたところで、ここからのお時間はゲストの方にもご登場いただき、お二人へのお祝いをいただいてまいりましょう。

ということで、余興タイムに突入した。と言っても私は余興に参加しないので、新郎新婦の友人による余興を食事しながら見ていた。

余興が一段落したところで、祝電の披露に移る。

司会:本日お越しの皆さまから沢山の祝福をいただいているお二人でございますが、お二人にはご祝電も頂戴しております

司会:ここで、新郎新婦にいただきました祝電をご紹介させていただきます。順不同でのご紹介となりますこと、どうぞお許しくださいませ

祝電が一人ずつ紹介されていく。

司会:以上、新郎新婦にいただきました祝電をご紹介いたしました

(パチパチパチ……👏👏)

司会:さて、こうして皆さまとご一緒に過ごしてまいりましたお二人の結婚ご披露宴も、どうやらお開きの時が近づいてきたようでございます

司会:ここで、新郎新婦のお二人からご両家の親御様へ、今日だからこそ伝えたい特別な想いをお伝え頂きましょう

司会:ご新婦♡♡さま、今日は1通のお手紙をしたためてこられましたので、ご自身からお読みいただきたいと思います

♡♡さんが手紙を取り出し、マイクを持ってご両親のもとへ向かう。

司会:それでは、花嫁からのお手紙です。

♡♡さんが便箋を開き、手紙を読み始める。

次第に、会場内に鼻をすする音などが聞こえ始める。当の私たちも、

〇〇:……ダメだ…(涙)

菜緒:っ……(涙)

涙腺が暴走してしまっていた。

そして、♡♡さんが泣きながら手紙を読み終えた。

(パチパチパチ……👏👏)

司会:ご新婦♡♡さま、今の素直なお気持ちをお伝え頂きました。

司会:……それでもやはり、言葉には尽くせない思いがここにあります。

司会:これよりは、その溢れるお気持ちをお花束に乗せて、お父様お母様へしっかりとお渡しいただきましょう。

☆☆さんと♡♡さんが花束を持ってご両親に歩み寄る。

司会:それではお父様お母様方、お二人からのお気持ちです。どうぞお受け取り下さい!

お二人がご両親に花束を渡し、そのまま熱いハグを交わす。

司会:ご両家親御様、今お二人からのお気持ちをしっかりと受け取って頂きました

新郎新婦とご両親が整列する。

司会:今ここに、新たなご家族の誕生でございます!本日は本当におめでとうございます!

(パチパチパチ……👏👏)

司会:それではここで、ご両家を代表いたしまして、新郎お父様よりご挨拶がございます

☆☆さんのお父様がスタッフさんからマイクを受け取り、話し始める。

新郎父:ただいまご紹介にあずかりました、新郎の父〜〜でございます。両家を代表いたしまして一言御礼のご挨拶を申し上げます

新郎父:本日は皆さまご多用中にも関わらず、☆☆、♡♡両名の結婚披露宴にご列席頂き、誠にありがとうございます。その上数々のご教訓や温かい励ましのお言葉を頂き、新郎新婦をはじめ、両家親族一同、感謝の気持ちで一杯でございます

新郎父:本日両名は晴れて夫婦となりましたが、この先いつの日も順風満帆というわけには参りません。ご列席の皆さまにおかれましては、今後ともどうか末永く両人を見守り、ご指導ご鞭撻を賜りますよう、謹んでお願い申し上げます

新郎父:本日はご光臨を賜りながら、何かと不行き届きの点もございましたが、何卒ご容赦ください。皆さまの今後ますますのご繁栄・ご健勝を切にお祈り申し上げまして、両家代表のご挨拶とさせて頂きます。本日は誠にありがとうございました!

(パチパチパチ……👏👏)

司会:…新郎お父様からのご挨拶でございました

司会:それでは、このご披露宴の結びのお言葉と致しまして、ご新郎☆☆さまより、お礼のご挨拶です

☆☆さんが、お父様からマイクを受け取る。

☆☆:本日はご多用の中、私たち二人のためにお集まりいただき、ありがとうございます。皆さまより励ましやお祝いのお言葉を頂戴し、感謝しております。

(中略)

☆☆:上司の皆さま、家族を守るため、今後一層、気を引き締めて業務に励む所存です。

☆☆:友人の皆さま、これからも仲良くしてください。そしてもし、私たちだけで解決できない問題に直面したときは、手を貸してもらえたら嬉しいです。

☆☆:親族の皆さま、小さい頃から面倒を見てくださってありがとうございます。頂いた恩は、これから少しずつお返ししていきたいと思います。

☆☆:そして、今日まで育ててくれたお父さん、お母さん、これからは自分が大黒柱となり、人に「これがうちの家族です」と誇れる家庭を築いていきますので、見守っていてください。

☆☆:まだまだ未熟な二人ではございますが、二人で認め合い、高め合い、絆を深めていきたいと思います。さらなるご指導、ご鞭撻を賜りますよう、今後ともよろしくお願いします

(パチパチパチ……👏👏)

今日一番の拍手が新郎新婦を包み込んだ。

司会:只今のご挨拶を持ちまして、お二人の結婚ご披露宴をお開きとさせていただきます。☆☆さん、♡♡さん、本日は本当に、おめでとうございます!

(パチパチパチ……👏👏)

司会:それでは、新郎新婦のお二人には一足お先にお進みいただきます。お二人にとっての新たな人生の第一歩、皆さまどうぞ今日一番の大きな祝福でお見送りください!おめでとうございます!

(パチパチパチ……👏👏)

拍手の中を新郎新婦が退場していく。

(パチパチパチ……👏👏)

やがて、新郎新婦が退場を終え会場の扉が閉まる。

司会:…皆さま、本日は誠におめでとうございました。これよりは、新郎新婦のお二人とご両家の親御様、ゲストの皆さまをお見送りさせていただくこととなります。

司会:ご準備の整いましたところでご案内申し上げますので、皆さまはどうぞお帰りのお仕度を整えていただきながら、今しばらくお席にてお過ごしくださいませ。

しばらく席で待機していると、会場後方の扉が開いた。

司会:それでは皆さま、お二人と親御様のご準備が整ったようでございますので、お支度の整いました方からどうぞ扉口へとお進みくださいませ。

司会:これよりは、新郎新婦のお二人とご両家の親御様、皆さまをお見送りさせていただくお時間となります。お忘れ物などなさいませんようご確認の上、どうぞ扉口へとお進みください。

司会:本日はお二人のご披露宴にお越しいただきまして、誠にありがとうございました。どうぞお気をつけてお帰り下さいませ。

私たちは同じテーブルの方々に会釈を返し、そのまま会場に残った。



ゲストの方々が全員帰られたところで好花さんと合流し、新婦親族控室に通された。

♡♡父:二人とも今日はありがとうね

〇〇:いえ、皆さん、今日は本当におめでとうございます

菜緒さんと二人で深々とお辞儀をする。

♡♡父:…ありがとうございました

親族の皆さんも私たちに対してお辞儀を返してくださった。

すると、♡♡さんが立ち上がって私たちの方に歩いてきた。

♡♡:…〇〇くん、菜緒ちゃん、今日は来てくれてありがとね

♡♡:二人が来てくれて、本当に嬉しかった

〇〇:……私たちも、♡♡さんの結婚式に参列できて、とても嬉しかったです…(涙)

♡♡:あぁ…(笑)

♡♡さんからの言葉に涙が溢れる。

♡♡:ティッシュ要る?

〇〇:すみません……(涙)

♡♡:菜緒ちゃんもティッシュ要る?

菜緒:…すみません、もらいます……

涙が落ち着いてきたところで、

♡♡:…じゃあ、次は好花の結婚式かな…?

〇〇:…お子さんが産まれた時にでも、また会いに来ますね(笑)

♡♡:そうね(笑)菜緒ちゃんも…

菜緒:はい…(笑)♡♡さんもまたライブに遊びに来てください

♡♡:うん、またお邪魔するね

〇〇:…最後になりますけど、本日は本当におめでとうございます…!

全員でお辞儀をする。

〇〇:では、私たちは失礼しますね

♡♡父:うん、今日はありがとうございました

私たちは最後に一礼をして、部屋を後にした。

クロークでスーツケースを引き取り、会場を出てタクシーに乗り込み、京都駅に向かう。

〇〇:……今日の結婚式、一生忘れないと思います…

菜緒:…そうね……

新幹線に乗り、東京駅で菜緒さんと別れた後、在来線でアパートまで帰った。

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