後の祭りの告白
私、松田好花には片思いしている先輩がいる。それは……
〇:それでさ~、…おっと、松田さん、わりぃ
好:いえ……
たった今すれ違った、一つ上の〇〇先輩だ。
好:はぁ~……
菜:どうしたん?おっきなため息なんかついて
教室に戻って自分の机に突っ伏していると親友の小坂菜緒が話しかけてきた。
好:…別に?
菜:大方、〇〇先輩に話しかけられたのに上手く返せへんかったんやろ?
いつから私の親友は超能力者になったのだろうか。
好:…どうしたらええと思う?
菜:う~ん、せやな~、思い切って告白してみたら?当たって砕けろ、的な感じで
好:そんなことできたらとっくにやってるし、そもそも何で砕ける前提なん?
菜:はよせんと、他の人に先輩取られんで?
好:うん……
校内でも絶大な人気を誇る〇〇先輩。いつ他の人に取られてもおかしくない。
そもそも私が〇〇先輩を好きになったきっかけは、去年の入学式まで遡る。
―――――――――――――――――――――――
好:…ここどこだ?
入学式の日、広大な学校の敷地内で迷子になっていた時、
〇:あの…、新入生?
好:はい?
〇:昇降口逆側やけど…
好:え?あ、すみません
〇:ふふっ、おもろいな
好:?
〇:正門からまっすぐ行けばたどり着く道のりで、横に逸れて迷子になるなんて(笑)
好:笑わないでください...//
〇〇先輩のおかげで初日から遅刻という愚行を行わずに済んだのだ。
―――――――――――――――――――――――
菜:もうすぐ文化祭やし、例の恒例行事で告白しちゃいなよ
菜緒の言う恒例行事とは文化祭後夜祭で毎年行われているステージに上がっての公開告白のことだ。
好:あほなんちゃう⁉フラれた後の私の学校生活が終了するわ!
菜:フラれることを計画に入れる馬鹿がどこにいますかお嬢さん
好:はいはい、そうですねー(棒)
某海賊漫画の名言をパロる親友に呆れながら、先輩への思いを募らせる。
そして、後夜祭当日。
好:ありがとうございました~!
所属している軽音楽部の演奏を終え、舞台袖に戻ると、
〇:松田さん、ナイス演奏やったで
好:あ、えっと…、ありがとうございます
舞台袖にいた実行委員の〇〇先輩に褒められた。
菜:〇〇先輩何やって?
楽器を片付け、観客席の菜緒のもとへ行くと突拍子もないことを聞かれた。
好:は?
菜:〇〇先輩実行委員やから、舞台袖におったやろ?
好:……「松田さん、ナイス演奏やったで」って言われた
菜:ふふっ、この後の公開告白が楽しみやな
不敵な笑みを浮かべる菜緒。
好:私、エントリーしとらんけど
菜:うん、知っとる
好:やったら何で?
菜:ヒ・ミ・ツ
好:何やねん
そして公開告白の時間がやってきた。
司:まずは二年三組の~、××△△君です!告白相手は誰ですか?
△:同じクラスの□□さんです
司:それでは壇上に上がっていただきましょう!
△:□□さん、好きです!付き合ってください!
□:…こちらこそよろしくお願いします...//
司:カップル成立です!皆さん盛大な拍手を!
観客:👏👏フゥ~~~!!
好:何か初々しいなぁ
菜:これぞ青春って感じ?
一組目のカップルは無事に成立した。
司:続いては一年六組の※※☆☆さんです!告白相手は誰ですか?
☆:三年の〇〇先輩です...//
好:えっ!
菜:これは大波乱の予感やな…
なんと〇〇先輩が公開告白の相手に選ばれてしまったのだ。
司:それでは〇〇さん、壇上の方へどうぞ
〇:まじか……
司:それでは告白の方をどうぞ
☆:あの、〇〇先輩のこと初めてお会いした時からずっと好きでした、私と付き合ってもらえませんか?
全員の視線が〇〇先輩の方へ向く。
〇:……ごめん、俺この公開告白で告白したい人がいるんだ
観客:あぁ~……
司:あぁ~っと、残念ながらフラれてしまいましたね、〇〇さんの告白したい相手とは誰なんでしょうか?
〇:二年の松田好花さんです
好:…………は?
私の名前が呼ばれた?
司:松田好花さん、壇上の方へどうぞ
好:……。
菜:好花?
好:……ん?
菜:好花、壇上に上がらないと
好:あっ
菜緒の言葉で正気に戻り、恐る恐る壇上への階段を上る。〇〇先輩の前に立つと、観客の注目を集めているのがよくわかる。
司:それでは告白の言葉をどうぞ
〇:え~っと…、松田さん、好きです
好:…はい
〇:僕と付き合ってもらえませんか?
その瞬間、全員からの視線が痛いほど突き刺さる。
好:……私、恋愛にはものすごく奥手だし、自分を出すの苦手だし、ついでに方向音痴ですけど…、そんな私で良ければよろしくお願いします。
〇:ふふっ、良かった
司:カップル成立です!!
観客:👏👏👏フゥ~~~~~!!!!!
観客席からは今日一の歓声があがった。〇〇先輩…、いや〇〇さんの顔は今までに見たことないほどの笑顔を浮かべていた。
数年後、とあるチャペルでとある夫婦の結婚式が挙げられるのはまた別のお話。
to be continue...
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?