58-課題に集中する美玖
久:ご飯出来たよ〜!
夕方7時、夕飯の支度ができ、久美が全員を呼ぶ。
陽:…美玖お姉ちゃん降りてこないね……
史:ホントあの子は……(苦笑)
美玖の課題制作も佳境を迎え、部屋から出てこなくなる。
菜:ちょっち呼んでくるわ
久:よろしく
菜緒が2階の美玖の部屋へ行く。
(コンコンッ)
菜:美玖〜、出てこい〜!
しかし、中からの返事はない。
菜:入るよ〜
菜緒が部屋の中に入ると、美玖は机に向かっていた。
菜:…イヤホンしてんのか……
菜:美玖〜
菜緒が背中を叩くと、ようやく美玖が顔を上げた。
美:おぉ、どうした?
菜:ご飯できた
美:あぁ〜…、いいや
菜:…そんなにギリギリなの?
美:まぁ、うん……
菜:はぁ〜……、分かった…
菜緒は諦めて1階に降りた。
久:ん?美玖は?
菜:要らないって…
久:はぁ……
ひなの:大変だね~……
久:ごめん、先食べちゃってて…?
陽:いただきます!
久美は台所に立ち、美玖用のご飯を用意する。
〇:俺も手伝うよ
久:ありがと
〇:いつも大変でしょ?
久:気にしなくていいのに…(笑)
大皿の中のおかずを取り皿によそう。
〇:陽菜と菜緒姉ちゃんストップ、美玖姉ちゃんの分とるから
陽:ん~
菜:フライパンにおかわりないの?
〇:メンドい
菜:おい!(笑)
ご飯をお茶碗に盛り、お盆に乗せて美玖の部屋に運ぶ。
(コンコンッ)
〇:美玖姉ちゃん、入るよ~
美:……。
美玖は変わらずイヤホンを付けて作業に没頭している。
〇:ここ置いとくよ~
本棚の上に置いて部屋を出ようとしたとき、
美:あっ、〇〇、ありがと
〇〇に気付いた美玖が顔を上げた。
〇:あんまり根詰めすぎないでよ?
美:うん、ありがと
美玖は机に向き直り、〇〇も邪魔しないように外に出た。
史:どうだった?
〇:まぁ普通に、って感じ
久:ほんと誰に似たんだか……
美玖の性格を知るがゆえに心配する史帆と若干呆れ気味な久美。
芽:💤💤
ひなの:芽依、ソファで寝る前にシャワー浴びて?
菜:運動部は疲れるわな…(苦笑)
愛:菜緒も一応運動部でしょ?野球部のマネージャーなんだから…
〇:マネージャーなのに泥まみれになってたもんな(笑)
久:ほら、全員ぱっぱとシャワー浴びる!
順にシャワーを浴びて、寝る準備を進める。
〇:美玖姉ちゃんの夜食どうする?
久:う~ん、持ってく?
〇:どっちでも
久:…どうせ遅くまで作業してるんだろうし、持ってってあげるか
〇:じゃあ11時くらい?
久:そうね、そのくらいに持って行くか…
そして23時ごろ、美玖の夜食を作る。
久:ホットサンドでいいかな?
〇:良いんじゃない?
食パンの耳を削ぎ落とし、チーズやハムを挟んだら金型に入れ、オーブントースターで焼き上げる。ついでにコーヒー用のお湯もケトルで沸かす。
陽:なんかいい匂いする~
久:明日も朝から部活でしょ?早く寝なさい?
陽:は~い
〇:…俺が出て行ってから姉ちゃんのストレス増えた?
久:…どうだろうね?でも、怒る頻度は増えたかも…
〇:なんかごめんね?
久:〇〇は気にしなくていいの、それより前期の成績はどうだったの?
〇:フル単いぇい!(笑)
久:さすが(笑)
(チンッ)(カチッ)
オーブントースターとケトルが同時に鳴り、ホットサンドとコーヒーが完成する。
(コンコンッ)
久:美玖、起きてる?
美:うん、大丈夫
今回はイヤホン越しでも聞こえたようで、美玖が顔を上げる。
久:夜食持ってきたけど、体壊すようなことはやめてよね?
美:うん、わざわざありがと、お姉ちゃんも卒論頑張ってね?
久:ふふっ(笑)お互いね?
なんだかんだ美玖を応援する久美です。
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