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けやき坂46追加メンバー募集オーディション

2017年8月13日、坂道の歴史が動いた。

この日、SME乃木坂ビルではけやき坂46追加メンバー募集オーディションの最終審査が行われていた。

No,11:あのね?芦田愛菜だよ?マネージャーが、使えないの

No,12:忍者じゃなくて、1のマトリョーシカ

No,16:運動神経とメンタルの強さにはとても自信があります

No,15:自分はすごい人見知りで、こう沢山の人の前に立つのが、すごく苦手だったんですけど、そういう自分をかえたいなぁ、と思って…

さすが坂道の最終審査なだけあって逸材ぞろいだった。

そんな中、私だけ浮いた存在だった……。

No,24:このけやき坂46は、私が初めてアイドル歌手という存在を知るきっかけになったグループで…

なぜなら過去に前例のない男子の候補者だったからだ。

最終審査が終わり、ついに合格者の発表に。

司会:3番、河田陽菜さん

司会:5番、濱岸ひよりさん

司会:7番、金村美玖さん

司会:11番、松田好花さん

司会:12番、富田鈴花さん

司会:13番、丹生明里さん

司会:14番、~~~~さん

司会:15番、小坂菜緒さん

司会:16番、渡邉美穂さん

司会:18番、宮田愛萌さん

次々と合格者の名前が呼ばれ、壇上へ上がっていく。そして、

司会:24番、藤宮(ふじのみや)〇〇さん

私の名前も呼ばれ、壇上へ上がる。壇上の平台には11人の合格者が並んだ。

最終オーディションが終わり、合格者の写真撮影のため移動する。

愛萌:藤宮…さんでしたっけ?

待ち時間、前にいた宮田さんに話しかけられた。

〇〇:はい、宮田さんですよね

愛萌:お互い頑張りましょうね

〇〇:はい(笑)よろしくお願いします

無難なやり取りに変な笑いがこみあげてしまった。

全員での集合写真の後、会議室のような部屋に順番に入りSHOWROOMでのお礼配信を行っていく。

〇〇:みなさんこんばんわ〜、改めて自己紹介させていただきますね?

〇〇:大阪府出身、中学1年生12歳、エントリーナンバー24番の……、藤宮〇〇です

〇〇:けやき坂46追加メンバー募集オーディション、無事合格することが出来ました、みなさんありがとうございます、これからも応援よろしくお願いします

全員がお礼配信を終えたところで、控室に戻ることになった。3つに分かれた控室にそれぞれ入ると、お弁当の包み紙に何か書いてある。そこには、落選してしまった他の候補者たちからの応援メッセージが書かれていた。

愛萌:…すごい、みんな悔しいはずなのに…

〇〇:お守りにしないと…

応援メッセージに一通り目を通した後、母親に合格したことを電話で報告する。

〇〇:もしもし

母親:もしもし、結果はどうだったの?

〇〇:合格

母親:おぉ!すごいじゃん!おめでとう!じゃあ明日気を付けて帰ってくるんだよ?

〇〇:うん

そういって電話を切ると、帰る準備を始める。

しばらくしてスタッフさんがやってきて解散の指示が出たので、荷物を持って会場を後にした。

ホテルに着いてスマホを開くと、既にオーディションのことがネットニュースになっていた。SNSには私について賛否両論の意見が飛び交っており、私は怖くなってスマホの画面を閉じてシャワーを浴びに行った。

頭を拭きながら幼馴染やクラスメイト、小学校の同級生達から来ているメッセージを確認する。

『〇〇、おめでとう!!』

『ニュース見たぞ』『すげぇな』

『よくアイドルになれたな』

『やっぱり転校すんの?』

『ハーレムじゃねぇか、この女たらしが(笑)』

『藤宮が坂道にいるとかやだわ』

『さすが××中の貴公子やな(笑)』

肯定的なメッセージにだけ返信をしてベッドに入った。

次の日、新幹線に乗って大阪に帰った。

〇〇:ただいま~

母親:お疲れ様

〇〇:ねぇ、いまだに実感無いねんけど(笑)

母親:(笑)頑張りなさいよ?

〇〇:分かってる(笑)

家に着くと、姉や京都に住む祖母、いとこたちが出迎えてくれた。

琴音:おかえり

祖母:〇ちゃん、おめでとう!

紫織:まさかホンマに合格するとはなぁ

〇〇:まぁねぇ……

そのときの感情はなんとも言葉にしづらいものだった。

伯父:ほんなら、そろそろお祝いパーティーの準備するか

〇〇:何それ(笑)

祖母:〇ちゃんの合格祝いのパーティーよ

〇〇:はぁ…(苦笑)

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