消しゴムに書かれたおまじない
私の隣の家には同い年の幼馴染が住んでいる。
〇〇:好花、おはよう
好花:おはよう、…朝から元気やな〜
〇〇:だって今日からプール開きやん!
好花:あぁ〜……、
ある日の朝、幼馴染の〇〇と一緒に登校する。
〇〇:…好花は朝から元気ないなぁ
好花:だって暑いんやもん…
〇〇:ん〜、じゃあ俺の帽子貸してやるよ
好花:いいよ汗臭いもん…(苦笑)
〇〇:うるせぇ!(笑)
〇〇に無理やり帽子を被せられ、私は帽子を目深に被り直す。
好花:(こういうとこ紳士なんやから…///)
◇
そして学校に到着し、授業が始まる。
好花:……あれ…?
〇〇:どうした?
好花:消しゴム忘れたかも…、
〇〇:あぁ〜…、俺の一個貸してやるよ
好花:ありがとう
私は家に消しゴムを忘れ、〇〇に借りることに。
好花:(……ん?)
すると、私は消しゴムに何か書かれていることに気づき、カバーを外す。すると消しゴムには
『小坂』
と書かれていた。
好花:(…菜緒のこと好きなんや……)
私はそっとカバーを戻し、何事も無かったかのように過ごした。
――――――――――
それから数年後、私たちは高校生になり、ずっと腐れ縁を続けていた。
〇〇:…そういやもうすぐ花火大会やな
好花:うん、…今年も※※たちと行くの?
〇〇:かな〜?
好花:女の子誘ってけば?菜緒とか…
〇〇:いや〜、菜緒は無理やろ、出不精やし…
好花:(男なら好きな人くらい誘えんでどうすんねん…(笑))
好花:じゃあ諦めてむさ苦しい集団でも作ってろ(笑)
〇〇:やかましいわ(笑)
◇
そして花火大会当日、私は菜緒と陽菜と三人で浴衣を着て花火大会に行くことに。
好花:菜緒、お待たせ〜
菜緒:大丈夫、まだ陽菜も来てないから(笑)
好花:まぁあの子はそういう子やから(笑)
そしてしばらくして陽菜もやってきて、三人で会場に向かう。
陽菜:あづ〜い…!
菜緒:はいはい、人多いからはぐれないでよ?
好花:陽菜こっち
そうして私たちは人混みから離れた小高い丘の上の展望台にやってきた。
陽菜:下駄で石段は登るもんじゃない…(苦笑)
好花:(笑)大丈夫やった?
私たちは近くの切り株に腰かけ、下駄を脱ぐ。
好花:ふぅ〜……、
すると、石段の方から話し声が聞こえてきた。
※※:やっと着いた〜、…って小坂たちやん
菜緒:やほ
やってきたのは〇〇たちだった。
〇〇:好花たちもここに来たんやな
好花:まぁ毎年ここは人少ないからな
〇〇たちも別の切り株に腰かける。
※※:そういや三人は屋台行ってないの?
陽菜:行ってな〜い、人多いとこやだし…
〇〇:じゃあなんで花火大会来たんだよ(苦笑)
全員:(爆笑)
すると、
(ヒュ〜〜…、パァーーーン!!)
花火の音が鳴り、全員がそっちを向く。
※※:おぉ〜、すげぇ〜!!
陽菜:綺麗〜!
菜緒:…こういう景色、恋人の隣で見たらもっと綺麗なんだろうなぁ〜
好花:……(笑)
私は菜緒の言葉に、〇〇を一瞥する。
〇〇:…ん?どうした?
好花:何も?
〇〇と目が合ったが私ははぐらかす。
◇
そして花火大会もクライマックスに入り、私たちは立ち上がって展望台の柵の方に向かう。
※※:すっげぇ数…!
陽菜:音も凄いね〜!
そうして花火に釘付けになっていると、急に〇〇に手を引かれた。
好花:どうしたん?
〇〇:…好花の横顔が可愛すぎるな、と思って……///
好花:アホ……///
〇〇:こっち行こ……!
私はそのまま〇〇に手を引かれ、三人とは離れた展望台に向かう。
好花:どうしたん?急に…
〇〇:……告白してもいい?…///
好花:…何を……?
〇〇:俺、小学生の時からずっと好花のこと好きやったんね?…///
〇〇:…だから俺と付き合って欲しい……///
好花:え、だって、消しゴムは……?
〇〇:消しゴム…?
好花:消しゴムに『小坂』って…、
〇〇:…たぶん父親のお下がりのやつ、母方の旧姓『小坂』やから…
好花:……///
〇〇:可愛ええな(笑)
好花:〇〇のアホ……///
〇〇:返事、聞いてもええ?
好花:…よろしくお願いします……///
〇〇:こちらこそよろしくお願いします…///
自然と〇〇の顔が近づいていき……、
(……チュッ♡) (ヒュ〜〜…、パァーーーン!!)
地面には愛を確かめ合う二人の影が写し出された。
Fin.
※※:……あれ?〇〇は?
陽菜:好花もいな〜い
菜緒:……(笑)
菜緒:二人とも、退場規制入る前に帰るよ
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