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第十三話

菜緒:森田くん、

〇〇:はい

菜緒:ひかるちゃんといちゃつきすぎ…!

〇〇:へっ…?

菜緒:いくら従姉弟同士でもあれはアカン…!

〇〇:はぁ…、すみません……

菜緒:むぅ……

私にはなんだか小坂さんが……、

〇〇:……あの、

菜緒:何?

〇〇:嫉妬してます…?

菜緒:なっ、そんなわけないでしょ……!?

〇〇:本当は?

菜緒:…ちょっとだけ……

〇〇:やっぱり…

菜緒:そらそやろ、森田くんは菜緒の専属マネージャーやのに…!

〇〇:…小坂さん、

〇〇:きつい言い方になるけど、私と小坂さんはあくまでメンバーとマネージャーよ?

〇〇:もちろん、ひかるの行動を肯定するわけやないけど、小坂さんが嫉妬する必要もないで?

菜緒:まぁ、そうやけど……

小坂さんは納得はしていない様子だったが、明日もライブがあるので部屋に帰らせることにした。



そして翌日のライブ後、片付けをしているとどこからかメンバーの話し声が聞こえた。

声の方に行ってみると、廊下の端の方で小坂さんと松田さんが何やら話していた。

好花:……まぁ、その話は昔聞いたことあるけど……

菜緒:やっぱダメなんかな……

好花:うちには分からんけど、思い伝えるだけでも何か変わると思うで?

菜緒:でも……

好花:伝えるかどうかは菜緒に任せるよ、うちから出来るアドバイスはこれだけやから…

そう言って松田さんがこちらにやってきたので、私は急いで自分の仕事に戻った。



そしてホテルに戻った後、シャワーを浴びていると部屋のインターホンが鳴った。

〇〇:誰や…(笑)

シャワー中で応対できないので諦め、シャワーから上がり着替えて服を着てからドアの方に向かうと、

〇〇:何か貼ってある…

ドアに付箋が貼ってあり、

『506号室まで来てください 小坂』

と書かれていた。

〇〇:小坂さん…?

私は付箋に書かれていた通り、506号室を訪れる。

(ピンポーン)

菜緒:はい

〇〇:来たよ

菜緒:ありがと、中入って?

小坂さんに中に通される。

菜緒:森田くん、

〇〇:どうしたの?

菜緒:…やっぱひかるちゃんに嫉妬するよ

〇〇:……。

菜緒:ずっと言ってなかったけど私……、

〇〇:⁇

菜緒:オーディションのときから森田くんに一目ぼれしてて…、

菜緒:ずっと片想いしてたの……!

〇〇:小坂さん…?

菜緒:別に付き合おうとか考えてない、

菜緒:でも森田くんのことが好きだから…、

〇〇:小坂さん、

〇〇:もうええよ、小坂さんの気持ちは分かったから…、

菜緒:…ごめん……(涙)

小坂さんが謝りながら顔を手で覆う。

〇〇:……小s…菜緒さん、顔を上げて?

菜緒:森田くん…

私はしゃがみ込んで菜緒さんと目線を合わせる。

〇〇:なんでオーディションのとき、菜緒さんに連絡先訊いたと思う?

菜緒:えっ……?

〇〇:一目ぼれしてたのは菜緒さんだけやないで?(笑)

菜緒:…〇〇くん……

私は菜緒さんの手を取り、二人で立ち上がる。

〇〇:菜緒さん、卒業したら私と付き合ってください

菜緒:〇〇くん…、こちらこそよろしくお願いします……(涙)

再び涙を流す菜緒さんをそっと抱きしめ、涙が収まるまで一緒にいてあげた。



そして数年後、日向坂を卒業した菜緒と交際を始めた。

菜緒:今日記念日やからな?

〇〇:分かってる(笑)ちゃんとレストランも用意してるから(笑)

菜緒:行ってきま~す

〇〇:行ってらっしゃい、気ぃつけてな?

とある年の記念日、私はとある計画のために数か月前から動いていた。

〇〇:…はい、はい、よろしくお願いします

計画の最終調整を行い、決行時間を待つ。

そして夜、菜緒と予約していたレストランに向かう。

店:いらっしゃいませ、お待ちしておりました

レストランの窓際の席に案内され、席に着く。

店:ただいま、お料理お持ちいたします



そしてディナーを終えた私たちはお店を後にし、ある場所へ向かう。

〇〇:…ここも懐かしいな……

菜緒:菜緒にとってはひらがな時代からの思い出の場所やからな…

私たちがやってきたのは、みなとみらいグランドセントラルタワーの屋上だった。

〇〇:…菜緒、渡したいものがあるんだ

菜緒:はい…、

私は懐から小さな箱を取り出し、両の手で持つ。

〇〇:菜緒、私と結婚してください

そう言って、小さな箱に入った指輪を菜緒に差し出す。

菜緒:よろしくお願いします

菜緒が指輪を受け取り、深々とお辞儀をする。私もつられてお辞儀をする。

菜緒:長かったな~…(笑)

〇〇:ほぼ15年やしな(笑)

私たちはタワーのスタッフさんに祝福されながら階段を降りていき、家に帰った。

~続~

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