見出し画像

【鏡の向こう、月の裏側 公式ライブレポート】Koyoi 2nd Anniversary Liveで見た1つの物語。

2021年10月31日(日)、東京都池袋HUMAXシネマズ シネマ1にて”ウタとコトバを届けるバーチャルアーティスト”小宵(こよい)のリアルライブイベント”Koyoi 2nd Anniversary Live「鏡の向こう、月の裏側」”が開催された。

イベント翌日に活動2周年を迎える小宵が魅せた「月の裏側」への物語、本記事ではその公演の模様をお届けする。




開演時刻になると、小宵本人から「これより開始」となるアナウンスが。しかし、所々ノイズが混じっており、この瞬間から”公演”が始まっていることが実感できた。

画像1


スクリーンの映像が切り替わると、ピアノの音とともに小宵の語りがあり、流れるように朗読が始まった。語りのうしろで流れるピアノの音、耳に入る小宵の朗読により、ライブの世界観へと一気に引き込まれるようだった。

「こんばんは、小宵です」という挨拶とともに1曲目『ローレライが呼んでる』のイントロが始まった。まず目を引くのが山葵音楽学校プロジェクトが参画企業とともに開発した、等身大アバターライブシステム「Monolis(モノリス)」であろう。映画館のスクリーンの前にMonolisを介して映し出される小宵の姿が、目の前で演じられているライブのリアルさにさらなる厚みをもたらしているようだった。映像演出を背後に歌声を届ける彼女の姿に会場にはある種の緊張感が生まれたように感じた。

続けて『呼吸機械と林檎の心臓』、文章と音楽で構成される小宵の企画”アガルタ・マカブラ”から『信仰の対価』を披露。激しめの音楽としっかりとした歌声を届け、企画の一篇であった楽曲のまた違った色をみせ、物語のページを進めていった。

少しの間をあけ、先程までの疾走感のあるテンポを少し落とし披露したのは『あたしが愛したつみびとたちへ』『透明な身体』。幻想的な映像とともに繰り広げられるパフォーマンスはどこか幻想的な印象を受けた。

画像2

画像3


そして物語は次の朗読へ。「だってぼくはあの真っ暗な月の裏側から来たんだ」という言葉が終わると、新曲『月の裏側』を披露。爽やかで、しかしどこか寂しげなギターの音とともに遠くへと投げかけるかのようなポエトリーと歌声には心中の熱のようなものが内包されているようにも思えた。同じくポエトリーから始まる『みなづきに灼ける』へと続く。「あなたのところへ」という歌詞へと込められた思いも、さらに多層になっているようにも感じられた。

しばらくの時間のあと、疾走感のあるイントロともに始まったのは『愚かな電気羊は革命と救済の夢を見る』、そして畳み掛けるように『永遠のレプリカ』を披露した。会場の空気をさらに飲み込んでいく中、歌われた『さよならルルー』。小宵から紡がれる言葉と歌声からは真に迫るものを感じ、「あなたを忘れてわたしは遠く、」という言葉には会場全体が息を呑んだようにも思えた。

画像4

画像5


また物語は進み、朗読を挟み別れの時へ。『無上の空論』を続けて披露し、次曲の『青の骸と夢の跡』と合わせ、離れていく寂しさに近しいものを感じつつ、悲しすぎない「別れ」を感じるかのようでもあった。穏やかなギターの音とともに優しげな歌声のもと披露されたのは『夏は死の匂い』。そして『月に落ちる』へと続き、過ごした時間を思い返すかのように届けられる歌には包まれるような温かさと寂しさのようなものを感じられた。

画像6

画像7


物語は終わりに向かい、最後の朗読へ。問いかけるような「ねえ、わたしたち、月の裏側から来たんでしょう?」とともに向けられた小宵の視線からは不思議な魅力を感じた。しばらくの静寂のあと、流れるギターの音から始まったのは『漂程』のLive Arrange。このライブのためにアレンジされた『漂程』からは、原曲とはまた違った魅力があった。曲前に綴られた手紙のような言葉を受けての「君にはもう会えないね」という歌詞には様々なこの物語での思い出と感情がこもっているように感じた。

抜けるような歌声とアウトロのあと、「またお会いしましょう」という言葉とともに「鏡の向こう、月の裏側」の物語は幕を閉じた。

画像8

画像9


全体を通して感じたこととして、MCはなく、朗読とポエトリー・歌で紡がれたこのリアルライブイベントは”ライブ”であり、”1つの物語”であり、”舞台”だったということである。1つの重厚な映画を見たかにも思えるこのライブは、”ウタとコトバを届けるバーチャルアーティスト”を体現してるとも言え、”小宵らしさ”にあふれたライブとして形を成していた。

ひとつの世界観を一貫し、公演を走り抜けた小宵というアーティストのこれからこれからも期待していきたい。



画像10




文・写真:日向キタロー



・セットリスト

1.「跋:鏡の森」
2.朗読①
3.ローレライが呼んでる
4.呼吸機械と林檎の心臓
5.信仰の対価
6.あたしが愛したつみびとたちへ
7.透明な身体
8.朗読②
9.月の裏側
10.みなづきに灼ける
11.愚かな電気羊は革命と救済の夢を見る
12.永遠のレプリカ
13.さよならルルー
14.朗読③
15.無上の空論
16.青の骸と夢の跡
17.夏は死の匂い
18.月に落ちる
19.朗読④
20.漂程(Live Arrange)


・Koyoi 2nd Anniversary Live「鏡の向こう、月の裏側」開催概要

イベント名:Koyoi 2nd Anniversary Live「鏡の向こう、月の裏側」
日時:2021年10月31日(日) OPEN18:00 START18:30
会場:池袋HUMAXシネマズ シネマ1
チケット料金:4500円


・アーティスト情報

小宵(こよい)
ウタとコトバを届けるバーチャルアーティスト。
オリジナル曲の歌唱・作詞の他、文筆活動を行う。
目標は自分が作り出すミームで世界を征服すること。
Twitter:@Koyoi_1101
YouTubeチャンネル
BOOTH


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?