見出し画像

【アムニェカインタビュー】1st『Leguit』発売記念。音楽活動についての想い。

初めましての方は初めまして、そうでない方はお久しぶりです。日向キタローです。


インタビュー企画第22弾はジャズギターお姉さんVsingerのEmnyeca(アムニェカ)さん。

画像1


2021年7月1日にリリースした1stアルバム「Leguit」のお話や、ご自身の音楽に関してのお話などたくさんお聞きしてきましたのでお楽しみ。




・バーチャルな存在としての活動の中で感じてきたことや考えてきたこと、自分の内面的なこととか、あとは世界観的なものをテーマにして作曲をしています。



ー 早速ではありますが、自己紹介を兼ねまして普段どういった活動をなさっているのかお聞かせください。


普段はジャズギターお姉さんVとして活動をしているアムニェカです。

ギタリストとしてはオールラウンドなプレイスタイルで他のアーティストさんのサポートをしながら、自分でも作詞や作曲をして歌ってオリジナル曲やカバー曲などを制作して発表しています。

ギタリストとしては超絶技巧派というよりかは歌心のあるフレーズをモットーにしています。専門はジャズで、そういった複雑な音楽とかも結構好きでやっていたりもしますね。そういった音楽の理解などから曲の世界観を理解するっていうのが得意かなと思っています。

今回リリースしたアルバムも含めてオリジナル曲では、バーチャルな存在としての活動の中で感じてきたことや考えてきたこと、自分の内面的なこととか、あとは世界観的なものをテーマにして作曲をしています。


ー ありがとうございます。先日、活動1周年も迎えたということですが、このバーチャルの界隈で活動を始めたきっかけなど教えていただけますか?


直接のきっかけは私の友人の朝水雫月(あさみしずく)さんという方に背中を押してもらったことですね。

そこに至るまでにもいろいろあって、7月1日YouTubeの方でアップを初めているんですけど、それまでにもnanaという音楽コミュニケーションアプリで歌を出していたんです。そこでずっと続けていたんですけど、もう少し活動を広げたいなと思った時に友人がVをやっていたので相談したという形でした。


ー では、Vtuberというものを知ったきっかけもそのご友人になるんでしょうか。


Vtuberというものを知ったのはもう少し前ですね。存在自体を知ったのは2年ほど前くらいで、そのVっていうものを知った1年後くらいに朝水雫月さんと出会いました。そこで活動しているのを聞いて”身近に活動している人がいるんだな”と。その10ヶ月後くらいに自分の生活とかが変わったりとかもあって、活動してみようっていう手段の選択肢として”Vというもの”があると思って相談したという経緯になります。



・やっぱりVの世界って独特というか、好きなことをしてもがきながらもみんな頑張っている世界なんだなということを感じてきた1年でしたね。


ー この1年間、音楽活動をなさってきたということですが、音楽経験自体はどれくらいになるんでしょうか。


数えてみたらかなり長くやっていますね。途中やっていない期間もありますけど。数年前から今の活動を始めるくらいまでは、気が向いた時にうっすらやっていた程度で…っていう。

ギタリストとしては、最初はいわゆるJ-POPのバンドをやっていたんですけど、途中からブルースとかそっちにいったんです。私のおじさんが「サンタナ」っていうギタリストのCDをくれて、聞いてみたらギターの音色にびっくりして…”これがギターなの?”って。そこからいろいろ調べてみたら「ジミ・ヘンドリックス」とか「エリック・クラプトン」とか、そういうブルースな人たちに入っていって、実はジミヘンもジャズっぽいところがあるとか、エリック・クラプトンもジャズに傾倒しているみたいな情報を耳にして、ジャズの方も気になりだしたんですよね。

そしたら友人のお父さんがジャズギタリストのプロだったので、そういう縁からちょっと教えてもらいにいって、高校生の時からジャズギターをやっているんですよね、大学のジャズ研にも出入りしたり。そこから数年経って、ジャズクラブとかで演奏したりもしていました。


ー かなりの年数やっていらっしゃるんですね…。とてもざっくりとした質問にはなってしまうんですが、この1年間活動してきていかがでしたか?


私もざっくりとした答えになるんですけどすごかったですね(笑)びっくりしました。そういった活動の中での感想も全部曲にしていたりしているんですよね。

始める前、最初はやっぱり自分自身の戸惑いみたいなのはありました。”Vってなんだろう”っていう。そこから7月1日にデビューして、友人の朝水さんの周りとかと知り合ってやりとりしたら、もうみんなすごく優しくて…。”なんて素晴らしい世界なんでしょう”って思いました。私をすぐに受け入れてくれて仲良くしてくれて…。朝水さんがその周りから何故か知らないんですけど「牛」って呼ばれていて、その朝水さんに最初にモデリングしてもらったから周りに「子牛だ!」って言われて、それが今でも続いて私のマークがギターと牛なんですよね(笑)そういった形で周りがフレンドリーにしてくれて。

そこからしばらく活動していくと、1ヶ月くらい経って少しずつなんか”闇”みたいなものも感じてきました。それくらいのタイミングで『ルウ・ラナ』っていう曲を作ったりもしました。Vの人っていろいろ抱えたりしている人とか、伸び悩んでいる人とか、辞めちゃう人とか…そういう話とかを聞いたり、実際に辞めちゃったことに対して悲しむツイートを見たりだとかをして、”優しくてキラキラ輝いているだけの世界じゃないんだな”と感じたりもして。でもやっぱりVの世界って独特というか、好きなことをしてもがきながらもみんな頑張っている世界なんだなということを感じてきた1年でしたね。


音楽関係に関してだと、すごい人たちがごろごろいるんですよね。Vに限らずですけど。私はVっていうくくりにこだわらずに見ているので、SNSとかで好みの音楽をしてる人を見つけるとチェックしているんですけど、そうするとその周りにもすごい人がもっとたくさんいたりして繋がりが出来ていくっていうのも楽しかったですね。そういう繋がりが今回のアルバムにも繋がって来るんですけど。



・音楽にバーチャルもリアルも関係ないとも思っているので。自然に接してきた中で出会ってきた人たちで今回のものが出来た、という感じです。


ー お話にもありましたが、今回のアルバムに関わっている方々も多岐に渡るといいますか…。ジャンルも国もバラバラで幅の広いアルバムかなという印象ですよね。


そこに関しては私もそう思いますね。というかそれが必然的というか、音楽にバーチャルもリアルも関係ないとも思っているので。自然に接してきた中で出会ってきた人たちで今回のものが出来た、という感じです。


ー このお話の流れでアルバムについても触れていきたいと思います。アルバムの発表自体は2021年の5月頭ですが、アルバム自体はいつ頃から動き出していたんでしょうか。


アルバムを作りたいなと思い始めたのが3月くらいで、ちょうど『Dancing Petals Fall』という曲をアルバムリリース予定のティザーと一緒に出した頃ですね。その後サボり期間があって…4月の中旬くらいに”そろそろ動かないとやばい”と思っていろんな人に声をかけて、ある程度企画がまとまった時に5月の頭くらいにプレスリリースを出して自分が逃げられないようにして…っていう感じですね。



ー 今回のアルバムに参加されている方々についてもお話いただければと思います。先程も触れましたが、ジャンルや国なども多彩なこの方々にどういった経緯で声をかけていったんでしょうか。


アルバムの中に既存曲が3曲あって、まずアメリカのボカロPのCoraさんも作曲している『おそとは今日も晴レ』がそのうちの1つで、そういう関係で名前が並んでいます。


ぴゅら子さんと三露采市(みつゆさいいち)さんの2人は同じ曲で演奏をお願いしていて、その関係で親交も深くなっていてアルバムの中の何曲かを弾いてもらっています。

Somelさんはリアルで活動されている方で、私がデビューした時に出した歌ってみたの作曲者さんなんです。その後も仲良くさせていただいて、私の活動の中ではキーパーソンになっている方です。なので1周年のアルバムということでなにか一緒にやりたいなと思って声をかけさせていただきました。

Salty IanさんはAZKiさんチーム主催の「音楽を止めるな」ですごくジャズっぽい音楽の便器に座った動画を出していて、それに一目惚れしてTwitterとかで声をかけて友達になって、一緒にセッションしたりする仲になった方ですね。台湾の音楽系Vtuberの方なんですけど、今回はイラストで参加していただいています。イラストだけの参加になっているので、また一緒に何かやりたいなって思っています。

Ponénné(ポネンネ)さんはTwitterで深夜の2時間DTMっていう企画が音楽家さんの中で行われているんですけど、その中でも個人的にすごい音楽をその2時間の中で作っている方で、目をつけていた方ですね。音楽性もジャズ寄りで私の好みにも近い感じなんですよね。そういう流れで声をかけさせていただきました。

橙ミャオさんは、同じ時期にデビューしたPHAZEっていうバンドのSHELLさんやバーチャルサックスプレイヤーの初吹音(そぶね)さきさんとかと仲良くさせていただいていたんですけど、その方たちが橙ミャオさんを推していたんですよね。それでミャオさんの曲とかを聞き始めていて、音楽性的には違うというかミャオさんはなんでも出来る方なんですけど、結構激しい音楽も出来るミャオさんと一緒に出来たら面白いことが起こるんじゃないかなと思って声をかけました。

ボーナストラックで参加していただいているゐつぺゑさんは先程も言ったSHELLさんの繋がりで、私の『ルウ・ラナ』っていう曲をカバーしてくれていたんですよね。そのカバーがものすごくよくて、その時はワンコーラスだったんですけど、ぜひともフルコーラスで聞きたいと思っていたのでこれを機にお願いしました。

莉々衣 lily(リリィ)さんはろいさんという方が主催している「VTV」という音楽番組ところに私が曲とかを出し始めた時に、その番組繋がりで知った方ですね。リリィさんは生粋のVsingerさんで歌唱力もあって、9月10月くらいの時期にココナラというサイトで「ボーカルをします」ってコミッションを募集していたんです。その時はただ純粋に”『ルウ・ラナ』を誰かに歌って欲しいな”と思って歌って欲しいなと依頼したんですよ。そして返ってきたトラックをどこで出そうかなと思って悩んでいたんですけど、今回のアルバムに入れさせていただけないかなと相談したら快諾していただいた形です。


ー ここまでが音楽関係の方々ですよね。


そうですね。

そして3Dモデリングとコスチュームデザインをしてくれている綿雪ひぃさんとUSANさんのお二人はセットというか、私が活動を始めた時からすごく優しくしてくれている先輩方がいるんですけど、その繋がりで仲良くなったのがこのお二人なんですよね。

USANさんは素敵な写真をたくさんアップしていて、”『ルウ・ラナ』っていう曲に出演してください”と頼んで出ていただいたんですよ。そこから仲良くなって、綿雪ひぃさんにも繋がった形です。私はVカツというものをずっと使っていたんですけど、もっと幅を広げたいなと思ってVRoidを使いたいとなった時にUSANさん伝手で綿雪ひぃさんにお願いしたんですよ。そこから仲良くなりまして、VRoidの時は必ず綿雪ひぃさんの衣装を着てMVを撮ったり、VRchatに行く時も着たりしていたら、綿雪ひぃさんも私の音楽を好きでいてくれていたんです。なので、今回のアルバムのリーフレットにも載るので”クレジットしてもいいですか?”とお伺いしたらOKしてくれたという形です。


ー 参加なさっている方々のお話もお聞き出来たので、曲についてもいろいろお聞きしていきたいと思います。先程と同じように各トラックごとにお聞きしていってもよろしいですか?


『かがやいて』という曲はVになってすぐのキラキラした世界のことを歌ったものがYouTubeにショートバージョンとして上がっているんですよ。それがこの1年間の中でいろいろ思いとかも変わったり、”輝いてるだけじゃない”というのが分かって、その後フルバージョンを作ったんです。なので1年を凝縮したような曲になっていますね。その1年の中での大きな出来事というのが、きっかけをくれた朝水雫月さんが引退しちゃったことなんですよね。それを受けてショートバージョンの歌詞や構成を変えて、輝いているだけじゃないし、悲しい事もあって、朝水雫月さんもVとしてはもう目には見えない存在にはなるけど、どこかで輝いている存在ではあるっていう。それは他の方も一緒だし、Vでありながら他の生活もしているっていうところで、「輝いている」っていうのもそうだし、「輝いて」っていう投げかけみたいなものをこの歌に込めました。


2曲目の『くるりんぱ』はPonénnéさんの作曲ですね。これはPonénnéさんの曲のイメージに引っ張られて私がテーマを決めた曲です。ポップで明るくてキュートな作風がPonénnéさんの特徴だと思ったので、それがぴったり合うようなテーマとしてヘアスタイルの「くるりんぱ」というのに決めました。「くるりんぱ」っていうのは語感もかわいくて、セットも楽なんですけどおしゃれに着飾ったりも出来るヘアスタイルなので、曲にぴったりだなと思って、これをキーワードとしてPonénnéさんにお渡ししまして、その後私が歌詞をつけた形になります。この曲は、背伸びしないで等身大で、前を向いて、時には凹んだり休んだりしながら進んでいこうっていう前向きな曲です。

3曲目の『Dancing Petals Fall』はこの曲だけちょっと特殊なんですよ。これはとあるゲームのキャラクターをイメージして、その方の生き様みたいなのについて歌いつつ、春の桜の花が散るっていうのをイメージした曲です。キャラクターが結構壮絶な人生を歩んでいる方で、恨みとかそういったものが結構入っている曲です。この曲はバーチャルの生活とか感じたこととかからは、少し離れてるような感じになります。曲調や雰囲気がこの中で合うかなと思って入った曲です。

4曲目の『ルウ・ラナ』は私にとって代表曲かなって思っている曲ですね。最初の方にもお話した、Vの世界は明るくて輝いているだけじゃなくて、推しの引退…いわゆる”Vの死”と言われているものをテーマにして書いた曲です。私の書く曲って基本的にはネガティブで終わらない曲が多いんですけど、この曲も「Vの命を繋いでいく」っていうのが込められています。推しが引退しちゃったとしても、この界隈って推しを推している人とかもVになったりしてる方がいたりするじゃないですか。推しがいなくなっても自分が活動してその人の存在を繋いでいくことが出来たりもするし、誰かの心には残って、Vっていう世界の中では繋がっていってるっていうのを表現した曲です。

5曲目の『Sandbox』は橙ミャオさんと一緒に作った曲です。この曲は、私とミャオさんで曲に詰め込んでるメッセージが違うんですけど、私はVである私の二面性や非対称性みたいなのをテーマにしています。「Sandbox」というのはIT用語で、なにかソフトウェアを開発する時に他の場所にリスクを加えないように隔離された空間で開発をするっていう時に使われる言葉なんですよ。Vをやるっていうことが、自分の分身みたいな存在であるVっていうものをどこかに隔離して演じ続けるみたいな状況ってある人はあると思うんですよね。そういうものをここではテーマにしています。隔離しない場所でVをやるっていうことは自分とVが感情的にも入れ込んでしまうので、活動が上手くいかなかったりするとしんどくなっちゃうことが多くなるんですよね。それで苦しんでいる人たちもたくさん見てきましたし。じゃあどうするかっていうと、完全に隔離された空間…つまり”これは私じゃないよ”っていう意識で活動をするっていうのが選択肢の1つとしてあると思うんですよ。それが「Sandbox」っていう言葉で語られているんですけど、ただやっぱり”本当にそれでいいの?”っていうことも私にはあって。結果を言うと”Vであることの意味”って自分でもあるし、自分ではない誰かでもあるし、その中間でもあったりする一方で、その2つを俯瞰で見る立場もある。そういうのが”Vであることの意味”で、そこで揺れ動いているからこそやっている意味があるんじゃないかなと思っていて、隔離するわけでもなく入れ込みすぎるわけでもなく、自分と自分が作ったVっていう存在と対話したりとか喧嘩したりとかを続けて、人として成長していくっていうものを目指したいなっていう思いが入っている曲です。だから最後にSandboxを2人で抜け出すっていう話になるんですよ。私としてはそういう思いを込めた曲です。


6曲目は『おそとは今日も晴レ』ですね。ここでの「おそと」っていうのは、自分の活動の外というか…要するに他の活動者さんへの妬みをテーマにしている曲です。”自分はこんなに伸びてないのに、他の人はすごい伸びてるな”っていう風に見えちゃってる状態っていうのが”おそとはこんなに晴れてるのに、私はどうして家の中に閉じこもってどんよりしてるんだろう”っていうのですね。この曲のメッセージは「好きなものを好きなまま続けていくのは難しいことだよね、それが出来ることは当たり前じゃないし、それが出来るっていうのはすごいことなんだよ」っていうのを伝えたくて作った曲なんですよね。私の周りでもおそとと比較して悩んでる人とかもいたりして、その一方ですごいと思う人にちゃんと好きとかすごいっていう伝えられる人もたくさんいて、そういう方たちって素敵だなって思っているんですよね。活動者さんもリスナーさんも。

周りの人がすごくて自分が伸びてないって中で、周りの人を妬みながらも「この人やっぱり好きだな」って思ったり、それを行動として出せたりしている人たちがいて、そういう風になりたいなって思う気持ちも入っているんですよね。だから”そういう風になってみない?”っていう投げかけというか提案というか…。妬みもあるけど、妬んでる相手もすごいし私はその人のことが好きだっていうことに気づいて前を向いて進めるかどうかっていうのをテーマにした形で。なので、最後は「おそとも今日も晴れ、自分の心も晴れてる」っていう感じになっています。

7曲目の『Puppetry』はSomelさんとの共作ですね。この曲の他と違うところは、他の曲みたいに私だけが歌詞を書いたんじゃなくて、歌詞もメロディもアレンジも全部がSomelさんと共作になっています。Somelさんはリアルで活動されている方なんですけど、この1年間で「Vになろうかな」って言っているのを見ていたんですよね。私から見たら”リアルでそれだけ活動が出来ていて評価されていたので、ならなくてもいいんじゃないかな?”という感じだったんです。逆にSomelさんは「Vっていいな」って思っていると思うんですよ。そういう2人の思いとかをそれぞれ持ち寄って作った曲です。私はSomelさんがリアルでいられることを羨ましく思っているし、Somelさんは私がVとして活動していることを羨ましく思っているというのを1番と2番でそれぞれ歌っています。でも結果的にこの1年間お互いいい関係で、こうして一緒に音楽を作れてるよねっていう、リアルとかバーチャルとかってそこにある友情とかには何も関係なかったねって最後に確認する形でサビが入ってくるんです。リアルの憧れやバーチャルへの憧れっていうのはあるけど、そういうのは音楽とか友情とかにはそんなに関係なかったねていうのを歌っているものになりますね。


ー アルバムに収録されている曲に関して、たくさん解説いただきましたが、CD版とダウンロード版には各々別のボーナストラックが収録されていますが、そちらに関してもお聞きしてもよろしいでしょうか?こちらは元々ある曲をアレンジしたものだったり、ボーカルを別の方が担当されたりしているわけですが。


CDのボーナストラックなんですけど、私は最高に好きなアレンジです。元の曲調がダンス寄りの4つ打ちで、こちらは少しゆっくりなテンポになっているんです。ゐつぺゑさんのアレンジってノリがいいんですよね。スムーズな中にノリのあるビートが刻まれているっていう感じの中で、元の曲の感じもコーラスとかで表現されていてホントにカッコいいアレンジだなって最初にカバーしていただいた時に思っていたんですけど、フルでアレンジしていただいてもそれは変わることはなかったですね。結構ギターも暴れやすくて(笑)

ダウンロード版はリリィさんにボーカルをしていただいたんですが、ボーカルが変わるだけでかなり印象が変わりますよね。私の歌って、どちらかというと平坦でのっぺりした感じになるんですよ。一方で生粋のVsingerであるリリィさんになると、とても感情的で情熱的で、中音域が豊かでパンチのある歌声で。そういう声で『ルウ・ラナ』を歌うと、歌詞の中の1つ1つの変わっていく情景の表現の幅が広がっているなって感じました。あと、これは私がリリィさんへ依頼して、引き受けていただいたあとに気がついたんですけど、依頼したココナラのページにリリィさんの音域表が載っていたんですよ。この曲ってその音域表に収まってないんですよ。それなのに引き受けてくれたっていうのがプロ意識を感じました。音域も一つや二つ高いというレベルではないのに、返ってきたトラックを聞いたらしっかり歌えているんですよね。よく歌っていただけたな…っていうのが音楽家として尊敬しました。


ー 『ルウ・ラナ』は高い部分はかなり上の域ですもんね…。


そうなんですよ。それでもしっかり歌っていただけて、リリィさん本当にすごいですよね…。



・活動の姿勢としては、とにかく自分が楽しいと思うことをやるっていうのを大切にしていますね。


ー 今回のアルバム制作や、この1年間の活動の中でいろいろと刺激を受けたかと思いますが、これからアムニェカさんご自身はどういう風に活動をしていきたいなどはありますか?


そうですね…。VRの方には結構関心があって、そちらの方の活動も広げていきたいと思っています。最近、VRでの音楽シーンっていうのも盛り上がってきていると思うんですよ。バンドとか歌とかをしている方はたくさんいるんですけど、個人的に出来たらいいなと思っていることはギタリストとしてVRの方で活動してみたいなというのは思っています。

いわゆる現実だとアーティストさんをサポートするバックバンドっていうのがあるわけじゃないですか、そういうのがこれからVRの方でアーティストさんがライブをするってなった時に、そのサポートバンドっていうのが必要になるかなって思ったんです。私も一応音楽の経験はそれなりに長いですし、サポートバンドみたいなことをやっていたこともあったので、演奏としての技術面的にはある程度問題ないかなとは思っているんですけど、VRでステージとして魅せる技術がまだないので、そういった方面の技術をもっと身につけて、”ライブやるんだったらこの人にギターを頼めば間違いないな”っていうような存在になれたらいいなと思っています。

他にはオリジナル曲や自分の関係するリリースについては、もう少しジャズの方に寄せた作品を出したいなって思っています。今回のアルバムはいろんなジャンルがあるんですけど、ジャズっぽいものって少なくて、私のジャズギターも1曲目のアウトロくらいしかしっかり出てこないんですよ。せっかくジャズギターお姉さんを名乗っているのでやっていきたいし、今回のアルバムには入っていないんですけど、ジャズ関係ですごいクリエイターさんが私の周りでたくさんいるので、そういった方たちとジャズの方でもいいものを出していきたいと思っていますね。

活動の姿勢としては、とにかく自分が楽しいと思うことをやるっていうのを大切にしていますね。私はどちらかというと伸びることに関してはあまり注力していないというか、あんまり目に見える数っていうのは気にしていないんですよね。私の活動を支えてくれているのは私のことと私の音楽を好きでいてくれている人たちで、私が好きなことを楽しんでやっているっていうことを見せながら、そこに集まってきてくれた人たちとの繋がりを大切にして、自分らしくやっていきたいなと思っています。

音楽関係でやりたいことっていうのがその時その時で出てくるんですよね。


ー その時に見聞きしたものやタイミングなどに左右されたりろいうような形でしょうか。


そうですね。他にはこういう世界だと技術の発達とか発展とかもすごく関わってきていて、私の場合だとVRのギタリストになりたいっていうのも、指のトラッキングとかの技術の発展もこれから来そうだなというのもあります。そういうのにも影響されたり、この世界自体の流れというか速度が早すぎて…。その中で揉まれながら自分のやりたいことっていうのも見つかってったり変わっていったりするので、そういう面でも面白いですよね。



・EMN Recordsっていうブランドをなんとなく作ったのですが、興味がある方がいればそのブランドを使って何か一緒にできちゃうかもしれません。


ー ここまでたくさんお話をお聞きしてきましたが、改めて告知などはありますか?アルバムに関しては今回大きく取り上げさせていただきましたが、他にもなにかあればお聞かせください。


アルバムを作るにあたって、急遽ブランドというかEMN Recordsっていうレーベルみたいなものを作ったんですけど、実際に私がこうしてCDを出すと、上手く出来てるなって思ってくれているのか、周りからも「EMN RecordsからCD出したい」っていう声が出てきているんですよね。そういう1つのサークルみたいな感じで、アルバムを作ったり音源を作ったりを今回は私1人でやってそういうノウハウは溜まったと思うので、他の方にも活かせるかもしれないなと思っています。”レーベルに所属してください”とまでは言いませんが、EMN Recordsっていうのがなんとなく出来るかもしれないので、そういうところに興味があったりする方がいれば本当に出来ちゃうかも?っていうのはあります。ロゴもかわいいものが出来たので、一緒にやる人この指止まれ、な感じで(笑)

画像2


先程言っていたジャズアルバムに関しては、年内に動き出すつもりなので、そちらも乞うご期待ということで。

あんまりまだ次のこと考えてなかったんですよ…(笑)


ー 1度大きいことをやると次のことを考えるのって大変ですしね。


まだ出したばかりで落ち着いていないっていうのもありますけどね(笑)今回出したアルバムに関しては、ポストリリース活動っていうのはこれからも続けていきたいと思っています。どこかの音楽番組で紹介していただいたりとか、DJさんとかに使ってもらったりだとか。そういう機会があるのであれば、誘っていただければ私はどんどん出ますので、お声がけしていただければと思います。

あとは8月22日から29日でろいさんという方が主催する「VTuber SONIC FESTIVAL(Vソニ)」の3回目が開催されるんですが、そちらに今回のアルバムの曲のMVを1つ出す予定なのでよろしくお願いします。こちらの企画全体も楽しくて、みんなで盛り上がれるものなのでおすすめです!



Emnyeca(アムニェカ)
ジャズギターお姉さんVとして活動する日本のVTuber。
ギタリストとして他のアーティストのサポートをしながら、自身のオリジナル曲やカバー作品を制作・発表している。
2021年7月に初のフルオリジナルアルバム「Leguit」をリリース。幅広い音楽性と確かなテクニックで好評を博している。
Twitter:@emnyeca
YouTubeチャンネル
BOOTH
アルバム特設サイト


日向キタロー
アニメとゲームと特撮とバーチャルが好きなオタク。
Twitter:@HinataHuto




取材・文:日向キタロー

記事に関して何かございましたら、日向キタローまでご連絡ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?