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【七草くりむインタビュー】これまでの活動と曲に込めた想いを盛りだくさん聞いてきました

初めましての方は初めまして、そうでない方はお久しぶりです。日向キタローです。

インタビュー第15弾はバーチャルトラックメイカーの七草くりむさんです!もうじき活動3周年を迎える七草くりむさんから楽曲の話や活動の話などお聞きしてきましたのでお楽しみに。

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・”バーチャルトラックメイカー”というものが前に来て、”Vtuber”というものが後に来るという形の肩書をしています。


ー 今回はお声がけいただきありがとうございます。早速ではありますが、自己紹介を兼ねまして普段どういった活動をなさっているのかお聞かせください。


いろんな方向でやっているんですけど、”バーチャルトラックメイカー”というものが前に来て、 ”Vtuber”というものが後に来るという形の肩書をしています。

バーチャルトラックメイカーとしては楽曲を作る…例えば『ぱすたすきゃっと』とかもそうですし、最近『Quilala(キララ)』という曲を出したりしました。あとはリミキサー的なものとして『sheep in the light』のRemixをアップしたり、紫彩アメちゃんというバーチャルシンガーの方がいるんですが、その方の楽曲の手伝いやミックスの手伝いをしています。ほかにもVtuberの状態に合わせたような使いやすい規約のBGM素材を配布したりもしています。

Vtuberの肩書の方としては、最近サブチャンネルの方に寄せたんですが、毎週火曜の21時半から1時間~1時間半くらいの長さで定期配信をしています。一応”30分だけ”という話なんですが、毎回延びちゃってそれくらいの長さの雑談配信をしています。コメントと話したり最近あったこととかの話をしていますね。あとはゲーム配信ですね。そういったようないわゆるVtuberらしい活動もしています。

バーチャルトラックメイカーとVtuberというところでいうとそんな感じですね。

他にも、Vtuber的ではなく企画的なものとしてやっているものとして「週末dig部」があります。



・”音楽シーンをどうにかして作ろう””いろんな人がいるということを知ってもらおう”というのがスタートで、そこからモチベーションが出来ていったというような形です。


ー そちらの方もかなり力を入れて活動しているイメージは個人的にはありますね。


元々の発端としては、天鳥ココロさんが2019年に「V夏フェス」というものに参加させていただいたんです。そこで今私の身の回りにいるキヌちゃんとか樫野創音(かしのつくね)さんとかIURA TOI(イウラトイ)さんとか覆面忍者さんと知り合うきっかけにもなったんですけど、2019年の「V冬フェス」にも参加させていただいた時に、参加している人のチャンネル登録者数を集計して平均値をとってみたんです。すると音楽Vtuberの方々ですごい音楽がたくさん並んでいたんですけど、全体の平均が300人いかないような感じだったんです。もっと言えば2人ぐらいが1500あたりで突き抜けている人がいて、それを除いて集計すると平均が150人くらいになったんですよね。その時すでに企業あたりの人たちから登録者が10万人くらいの人が出てきていた時期で、”これは由々しき事態だな”と思いまして。界隈全体として見れば10万人という登録者の方がいる一方、バーチャルトラックメイカー・作曲Vtuberというところで比較するとかなり規模が小さくなっている。そういう面で”盛り上がりとして、シーンとして何が足りないのか”と思って、もっと強い”場・シーン”が必要だと思い、”音楽シーンをどうにかして作ろう””いろんな人がいるということを知ってもらおう”というのがスタートで、そこからモチベーションが出来ていったというような形です。

そしてそういう時に参考にしたのが「ニコニコ動画のタグ検索」だったんです。タグ検索って、新着とかでもタグで検索すると有名無名関係なくばーっと並ぶじゃないですか。あれをやりたいなと思って。ただYouTubeにはそういう機能がなくて…あるにはあるんですけど、そこに飛んだとしても同じ確率で表示されるかと言ったらそうではなくて、「あなたへのおすすめ」っていうのが挟まって結構邪魔されちゃうんですよね。加えて伸びているものだけが上に出てしまうので、どうしても「伸びる人は伸びる、伸びない人は伸びない」みたいな構図が出来上がってしまっているような感じになっていると思ったんです。ニコニコみたいに”発掘”っていうのが少ないというのは、他の要素もいろいろ比較したうえでそういう機能がないからなんじゃないか?というのが差なんじゃないかな、と。”だったらそれを作っちゃおう”と。ただプログラミングとかの技術は私にはないので、”今できる範囲のこと”というのを考えた時に配信でやっちゃおうと思ったんです。Discordとかでもできるんですけど、それだと閉じちゃうんですよね。


ー 確かにそれだと”ぱっとすぐに見に行く”ということが難しいですよね。


Discordのサーバーに入るっていうワンクッションが挟まってしまったり、クローズドでやってるので内側がわかりにくいっていう。なので”Discordでやっているノリで配信しちゃおう”と。Discordとかで集まって、誰か1人がGo Liveしてそれをみんなで聞いている雰囲気の配信の企画をできたらいいなと思ってできたのが「週末dig部」ですね。内部として、偏りがないようにしようというのを1番に考えていて…例えば、私だったら”自分の曲と知り合いの曲”っていうようなバイアスがかかってしまうじゃないですか。なので、週末dig部の中では出来る限り”私単体のこと”はあまりコメントしないようにしようとしてるんです。最後の宣伝とかも私個人の曲のことは言わない、みたいな。週末dig部が最終的に”特定の誰かの場所”になってはいけない、つまり誰にでも開かれる場所であるべきだと思っているので。バイアスがかからないからこそ、どの曲もまんべんなくクリックしてもらうっていうところがあって欲しいなと思っていて、平等で開けた場所としてなっていって欲しいと思って作っています。

私自身も伸びたのが #ぽんぽこ24 で『ぱすたすきゃっと』が流れてっていうのだったので、たくさんの人が見ていて、その中で流れて、それによって知名度があがるというのがあると思うので。いいものを作ったとしてもそれが出すべき場所に出さないと伸びないと思って…だから週末dig部のような場所でそういうことが起こってほしいと思い、やろうと思ったんです。

あとは、リスナーさんに向けて”こういうこともできる”という形を示したいというのもあります。今のVtuberという場所ってリスナー側って受動的な場所な印象があったんですよね。今までのニコニコ動画があれだけ盛り上がったのってリスナーももっと参加していたからだと思っていて、例えばなにか面白いことをしている人がいたら、それを真似して作ったりとか感化されてなにかを作っていくというのが強かったのかな、と。週末dig部をやるにあたって、リスナーさんもゲストに呼んでいるんですよ。あくまで個人的な私見ではあるんですが、”リスナーは何もできない”みたいな印象を受けるときがあるんです。「”見るだけ・聞くだけ”で自分たちが何かしても変わらない…受け取る以上のことはやらない、やっても何か大義がなければ意味がないんじゃないか」というような雰囲気があるように思えて…。もちろん活動的に動いている方もいるのはいるんですけどね。なので例えば、共有や口コミなどで曲が広がっていくというものはあると思うので、リスナーが紹介する立場になって受動的以外でも盛り上げていく手段の提示としてやっていたりします。

週末dig部を始めるにあたって、ちょうど同じような活動をされていたすべらきさんに声をかけさせていただきました。すべらきさんは「すべらじ」というVtuberの楽曲に限らずいろんな動画やアーカイブを紹介していく番組をしていらした方ですね。長くはなってしまいましたが、今自分がやっていることのかなり大きな部分を占めている週末dig部に関してはこんな形でやっています。



・「Electrosheep(エレクトロシープ)」というワールドを2週間くらいで作っちゃったんですよね。


ー こちらとしても改めて”どういう経緯で””なんのために”というのを聞けるのはありがたい限りです。


もう1つ、自分のやっていることがあるんですが、こちらも長くなりそうなんですが…大丈夫ですか?


ー いえ!問題ないです!


ありがとうございます(笑)  最近VRchatの方でも活動を始めまして、それがVRDJです。まずVRchatの方で「TopazChat Player(トパーズチャットプレイヤー)」というよしたかさんという方が作製した機能というかプログラムみたいなものがあるんですね。これが「OBSなどの配信ソフトからVRchatの中に直接配信ができる」というものなんです。今まではYouTubeなどを媒介してとるということをしていたんですけど、それだとどうしてもラグが発生しちゃうんですよね。ただこれを使うとラグがほぼない配信ができるので、VRchatその場でライブができるようになったんです。そういうこともあって、最近VRchatの中でクラブっていうものが増えてきていて、私も最初2019年の12月ごろ、キヌちゃんに「GHOST CLUB(ゴーストクラブ)」というVRchatの中のクラブに連れていってもらったんですけど、そこで流れていたのが今Vtuberの方で多いPOPsの楽曲とかよりも、ハウスミュージックという私もメインでやっている楽曲とかがめちゃくちゃ流れていたんですよね。DJさんがテクノとかジャングルとかフレンチコアとか…そのあたりのジャンルの曲をたくさんかけていて、それを聞いた時に”ものすごい場所だな…”と思ったんです。そこで知り合ったダブテクノとかをかけているDJの鴨居さんや「GHOSTCLUB」の主催の0b4k3(オバケ)さんという方たちと井戸端会議みたいに話をしていたら意気投合して…。その次の日に0b4k3さんの「七草さんに激硬派VRハウスクラブ作って欲しい」というツイートが見かけまして、それがすごく嬉しくてすごくやる気が出て、Unityで私の好きな「Lo-Fi House(ローファイハウス)」というジャンルをかけられるような雰囲気の「Electrosheep(エレクトロシープ)」というワールドを2週間くらいで作っちゃったんですよね(笑) 

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ワールドができたときにキヌちゃんと鴨居さんや0b4k3さん、かばきさんを呼んでオープニングDJをしよう、って話になってきて次の瞬間鴨居さんがそのお二人に話をつけてていろいろ決まってしまって。そしてちょうどそれくらいにVR_izeやバーチャルエンタスなどのワールドを作ったkagamiiiiin(かがみん)さんがメインで持っている「CLUB RUINS(クラブルインズ)」で2019年末にイベントがあって鴨居さんもDJをするということで遊びに行ったんですよ。見に行って最後の告知タイムの時に「Electrosheep」の宣伝もする流れになって「こういう人たちがDJをします」って言った時に、当初は自分がDJするようなつもりはなかったんですけど「七草くりむさんもDJをします」みたいな感じで言っちゃったんです。それ聞いて”え!?そうなの!?”ってなっちゃって(笑) 


ー いつの間にか自分もDJをやることに……。


そうなんですよ、しかも逆に鴨居さんもDJやるとは思ってなかったみたいで(笑) 以前に15分くらいのDJはしたことがあったんですが、ほぼ初めての状態で1時間回す形になりました。それがVRDJをやることになった始まりなんですよね。そこでLo-Fi Houseをやったのがきっかけで今でもLo-Fi Houseを続けています。

ということで、始めたてではあるんですがVRDJとしても活動しています。



・自分が自ら飛び込んで作曲系Vtuber兼BGM素材屋さんみたいな感じで飛び込んだのが知ったきっかけからの入ってきたきっかけですね。


ー 音楽関係を中心に様々な場面で活動なさっているような状態ですよね。現在はそういった形でバーチャルトラックメイカー・Vtuberとして活動なさっていますが、”Vtuber”というものを知ったきっかけなどは覚えていますか?


元々HIKAKIN(ヒカキン)さんとかのYoutuberを見ていたんですが、たまたまキズナアイさんが流れてきて見てみると”なんか面白そうなことやってるな”と。”バーチャルYoutuberなるもの”があってとりあえず見てみようかなと思って見ていたら、なんでかはわからないんですけどハマってしまいまして…。そういったものを最初にして、個人の方とかも見ていって…2018年の2月ごろですかね、バーチャルYoutuber蟹さんという方に出会いました。企業の方では月ノ美兎さんすごいな~みたいな感じで見ていましたね。これは自慢なっちゃうんですけど、月ノ美兎さんの「みとらじ」というラジオ配信があって、私あれのBGMを出したりもしていました。そのBGMはそれだけになるのはもったいないということで私の定期配信の前の準備画面のBGMとして使っていましたね。それくらいバーチャルYoutuberというものにハマっていました。

そして自分も”バーチャルYoutuber面白そうだな、なってみようかな”と思っていたんですけど、”流れに乗るの遅いかな?”という気持ちもあったんです。そんな折、先ほどもあげた蟹さんが配信で質問を募集していて、その”遅いかな?”というものを匿名で相談したんですよ。そうしたら確か「全然遅いなんてものはないと思いますよ」みたいな感じで答えていただいて”やってみようかな”と。

そこから、自分でデビューの準備をしてとりあえず”やろう”と思って、その時に”作曲系Vtuber”ってあまりいないと思ったんです。当時って本当に少なくて未開拓っぽい気がするな…と。未開拓っぽいからキャラ被りしなさそうだなと(笑) 多いところに行くと他の人に埋もれちゃうかもしれないですし、後々やっていくうえで先にやっておいたら面白いことができるかもしれないと思って”作曲系”でやろうとなりました。

先ほども月ノ美兎さんのところでBGMをという話をしたんですが、元々BGMをやっていたんですよ。”Vtuberって面白いな”となって、”Vtuberの手助けになるようなことがしたい”と思って”BGMとかジングルを作ろう!”となりました。と、思って作ったんですけど、VtuberじゃないのでVtuberの方に知ってもらえないってなったんですよね。作っても見てもらえない、見てもらえないから使ってもらえないっていう。そういうのもあって、”じゃあ自分がVtuberになって飛び込もう”みたいな。自分が自ら飛び込んで作曲系Vtuber兼BGM素材屋さんみたいな感じで飛び込んだのが知ったきっかけからの入ってきたきっかけですね。


ー そういうきっかけだったんですね…。


当時は”Vtuber準備中”というようなものもなくて…というか知らなくて、デビューの準備出来た!即デビュー!みたいな感じで始まりましたね(笑) 活動を始めてから1年くらいは周りの人のBGMとかを作っていて、少しずつ知ってもらってというような感じだったんですけど、1年経ったくらいの時に『ぱすたすきゃっと』を出したら、今のようになった…というような感じですね。



・『ぱすたすきゃっと』流れてるなって思っていたら”なんかすごいことが起きてる!”って(笑)


ー デビューしてからそろそろ3周年を迎えるわけではありますが、いろんなことがあったと思います。そういう出来事の中で印象に残っていることはどういったことでしょうか。


それはもう「ぽんぽこ24 vol.3」ですね。やっぱり1番デカいのはこれです。これでしかない。

当時、自分のチャンネル登録数が950人くらいだったんですけど、どうやったら伸びるかなと思った時に、自分の得意技を1つは持った方がいいなって思ったんですよ。それが私にとって『ぱすたすきゃっと』だったっていう。


『ぱすたすきゃっと』って、元々ASMRがVtuberの中でも流行っていて、それをHouseを組み合わせたらどうだろうって考えたんです。自分が作れるもので、かついろんな人に需要があるものというか、面白いって思ってもらえるもの、というところで考えたものですね。そこで『Neko Mimi Mode』っていう、声ネタを入れてラウンジハウスに乗せてるっていう曲をヒントにしたりして。あとは男女とかバ美肉とか関係なく歌いたいなと思って、音程がない曲ならいけるだろうっていうのでスキャットっていう形を取りました。スキャットって音程よりもリズムが優先されるジャンルなので”これならいけるんじゃない?”と。”今こういうものがあればいいんじゃないか?”って思たものを作ったのがこの曲です。

そしてぽんぽこ24に出したら、思いのほか刺さったっていう。950人くらいの登録者が3500人とかまで伸びて……『ぱすたすきゃっと』流れてるなって思っていたら”なんかすごいことが起きてる!”って(笑) カウンターはぐるんぐるん回るわ、曲はえらい再生されるわ、ぽんぽこ24が終わるまでみんな「ぱすたぱすた」って言ってるわ…。”なんなんだこの状況は”ってめちゃくちゃ面白かったんですよね。

それがきっかけになっていろんなことが起きましたし、『ぱすたすきゃっと』がなければ今交流している方とも出会うこともなかっただろうし。これを機に『ぱすたすきゃっと』っていう名刺が手にはいったんですよね。「ぱすたの人」っていう。そういうのがあって、いろんな人にアタックすることもできましたし、いろんな方に『ぱすたすきゃっと』がカバーしてもらえることにもなりましたし…。これも驚いたんですけど、にじさんじの鈴木勝さんやななひらさんにカバーしてもらえたりしてっていう。結局元をたどればぽんぽこ24で流していただけたっていうところなので、ぽんぽこさんとピーナッツさんにはもう足を向けて寝れない状態です。

というような流れでもうこれは一生忘れられない出来事ですね。



・バーチャルYoutuberってまだ始まっていないような気がしていないというか、まだ黎明期のままなんじゃないだろうかというようなことを考えていたんです。


ー 活動の中で『ぱすたすきゃっと』以外にもかなりの数曲を作っていらっしゃいますが、自分の中で気に入っているものや特に力を入れた、というような曲はあったりしますか?


『ぱすたすきゃっと』以外…?

そうですね…『夢を刻む時計塔』という曲があって、こちらもかなり力を入れた作品の1つで、『ぱすたすきゃっと』より前に作ったものですね。この曲が”何人かクリエイター系のVtuberで集まって何か作れたら面白いね”みたいな感じで作ったんですよ。それまでは1人1人が全部自分でやるみたいなかんじだったんです、今でもそれが多いですけど。それだけじゃなくて”いろんな人が集まって作ったらもっといいものが出来るんじゃない?”というのと”1人1人の負担も少なくていいんじゃない?”というような考えがあってやりたいと思ってとりかかった作品ですね。


POPsがすごい上手い雪永さくらさんという方と合作をしたいと思っていたので声をかけて曲を作って、せっかくだからこれを誰かに歌ってほしいという感じで、私が周りで探して、当時歌とかをやっていなかったんですけど、声がめちゃくちゃよくて普段はハンドメイドをやっている小針ぬいさんという方に声をかけました。小針ぬいさんという方はイラストも描けるので、動画内のイラストとか後ろの文字盤とかも描いてもらって、それを私が動画にして作ったという形で、すごい”みんなで作った感”のある作品なのですごい思い入れがあるものになっていますね。曲の内容的にも、あまり深くは話しませんが、個人的にその時の気持ちをすごく入れた曲でもありますし。

もう1つが『Don't make light』という曲ですね。


曲名が直訳すると「軽くするな」になるんですけど、意訳すると「舐めるな」という意味になるんです。この曲を作った当時(2020年2月)は私としてもすごい悩んでいた時期で、自分の後にいろいろなVtuberの方とかが出てきて、七草くりむの存在意義や他の人に置いていかれている感覚がした時期なんです。企業勢の方とかがいろいろ台頭してきて、なんというか自分が”アウェイな位置にいるな”という気がしてきて…。アウェイなところに立たされて、他の人たちが楽しそうにやってるのを見ているのは自分としても嫌だったので、”個人1人だけでもこれくらいのものを作れるぞ””まだ私はやれるぞ”という強い意志で作ったものですね。自分の落ち込みを自分でも励ますという意味合いもあります。

この曲も個人的に感情がバチバチに乗っているので気に入っている1つになりますね。

最後にあげたいのが『バーチャルYoutuberのゆめ』です。


式部めぐりさんにもカバーしていただいた曲なんですけど、” respect for キヌ”と入っている通り、キヌちゃんの『バーチャルYoutuberのいのち』のアンサーソング的な立ち位置というか、あれを聞いてさらに自分の視点で思ったところというか、感化されて作った曲ですね。

Vtuberというのはいろんな考え方があっていいと思うんですが、私の目線からだとこれを作った当時(2019年6月)、Vtuberというものが自分が思っていたVtuberの像とはかけ離れてきたと思っていたんです。私は最初ニコニコみたいなノリがまたできると思っていたんです、”あの時のお祭り感が返ってきた”みたいな。ただYouTubeのシステムとかも相まって、どれだけものや発想が面白くても伸びる人は伸びる伸びない人は伸びない…みたいな状態になってきて、当初思っていたものとはどんどんずれてきたなって思っていたんですよね。

それと同時に、見える数やわかりやすい数…例えばチャンネル登録者数とかフォロワーの数とかって悪だとも思って。そういったわかりやすい数って表面的なものなんですけど、わかりやすいからこそ嫉妬心とかを生んじゃうんですよね。数として見える以上比較してしまうので、これはするなって言われても目に入ればやってしまう。そういうことを自分もしてしまう時があって、それを自分で”みっともない”と思っていて。そういう自分自身への”そんなんでいいのか”というか自分自身に対しての”ダサいな”っていうのと、バーチャルYouTuber自体とか、きっと私と同じくらいの時期までに入ってきた人達の中に私のように期待してきた人は他にもいるだろうと”もっとこうだと思っていたんだけどみんなも忘れちゃったのかな?”っていうものに対して投げかけたかったんですよ。

『バーチャルYoutuberのいのち』というもの自体解釈がいろいろあると思うんですけど、私としては”まだ死にたくない”というかそういうパワーを感じて、私なりの解釈として同じポエムコアとしてポエトリーリーディングとして”バーチャルYoutuberってこういう結末を辿るものなんだっけ?”というところで自分自身への”まだ諦めちゃダメだ”っていう激励と周りの人への”まだまだ面白いことができるよ”っていう。バーチャルYoutuberってまだ始まっていないような気がしていないというか、まだ黎明期のままなんじゃないだろうかというようなことを考えていたんです。そういう当時のいろんな感情を隠さずに出した、というものなので私としては頭の中で残っている曲ですね。



・ともかく初めての方は『ぱすたすきゃっと』を聞いてください、と。うちの自家製ぱすたなので是非とも味わっていただいて。


ー これまでの話などもお聞きしてきましたが、今後どうしていきたいかということもお聞きしてみたいです。「展望」のようなものはあったりしますか?


バーチャルトラックメイカーとしては『ぱすたすきゃっと』を越える何かを作りたいなと思っています。『ぱすたすきゃっと』が伸びたことで次はそれと同じか、それを越える何か、何か違う切り口でまた面白いものが作れたらな、というのは常々考えています。

Vtuberに関しては、今まで通り流行りに乗らない形で、自分が興味があることやりたいこと、かつ誰も触っていなさそうなところというのをやっていきたいなと思っています。これはずっとやっていることなので今後も変わりませんね。

個人的に今後も力を入れていきたいと思っているものの1つは週末dig部ですね。本当のことを言うと毎回同接1000人くらいいきたいんですよね。なのでいろいろと模索はしているんですが、いろんな人に見に来てほしいという思いがあります。特に音楽シーンを見ている人たちには見て来て欲しいなと。とりあえず1回見に来て、どういう風にしているのか見に来てほしい。思っているよりも知らない曲って多いんですよ。私も初めて聞くし、DJさんをゲストに呼んだりもするんですがその方も初めて聞くっていうのがたくさんあったり…。リスナーの方とかが見かけた曲とかを投げてもらってみんなで聞く、というものなので、英語圏の人とかも出てきますし。毎週起きていることの音楽情報ポータルみたいなものを目指していきたいなと考えています。人が集まって拡散してくれるほど週末dig部は成長しますし、いろんな人の後押しができると思いますので、ぜひ来てみてください!週末dig部という場所に来るハードルは低いままで、ここをきっかけに知ってもらうというような、いろんな人が伸びていけるための最初の1歩になっていきたいと思っていますので、是非とも来ていただきたいですね。

VRDJについては、今後は自分の「Electrosheep」も動かしていきたいと思っていますし、いろんなDJイベントにも出てみたいと思っています。今までパフォーマンスをしてこなかったので、今年(2021年)はパフォーマンスの方にも力を入れていきたいと思いますね。


ー 最初の自己紹介でうかがったやっている4つのこととしての今後のことは祖のような形ということですが、今後の告知などはありますでしょうか。


ともかく初めての方は『ぱすたすきゃっと』を聞いてください、と。うちの自家製ぱすたなので是非とも味わっていただいて。この曲ももうちょっと配布とかをしていいよみたいな感じで規約を作ってやりたいと思っています。オフボーカルとかも収益化などOKですし、Vtuberさんとかって”こういう声なんですよ”って言うのも大事だと思っていて、チャンネルトップにそういうのがわかるものがあるととっつきやすいんですよ。そういう面で『ぱすたすきゃっと』って個性が出るので、声もダイレクトに伝わるので、是非ともいろんなVtuberの方にやってもらいたいなと思います。

そして重ね重ねにはなりますが週末dig部に来てください!この配信は私の為というよりも音楽シーンがもっと作っていければと思ってやっているので、来て見ていただいて、曲を拡散・共有してもらうというのをしてください。金曜の20時から毎週やっていますので。


私の曲を聞いていいなと思ったら、最近Bandcamp(バンドキャンプ)にも出したので!アルバムの曲も1曲ごとで買える上にプレビューも聴けます!



というわけで、今後ともよろしくお願いいたします!




七草くりむ
Virtual Track Maker / VTuber
「ぱすたすきゃっと」がぽんぽこ24 vol.3で流れたことをキッカケに「パスタ」ミームで広く知られることとなった音楽V。2018年6月5日デビュー。
大体月に1回程度の頻度でオリジナル曲を発表し、毎週火曜21時半から雑談配信をしている。
「ぱすたすきゃっと」を代表とした「ASMR House」というASMR とハウスを掛け合わせたオリジナルジャンルのほか、かわいくておしゃれな印象のハウスミュージックを中心にSynthwaveやHDMなどマニアックなクラブミュージックまで制作。
Vsinger「紫彩アメ」の音楽面のお手伝いのほか、栗山やんみ・ディープブリザード・佐久間ねむ・yosumi・雪永さくらなど多数のVTuberとの合作や楽曲提供、ミックスを行っている。
VRChatではVRDJとしてLo-Fi Houseを中心としたDJで「CLUB RUINS」などに出演するほか、自作のDJライブワールドにて渋いハウスがメインのパーティ「Electrosheep」を運営。
そのほか、リスナーを主体としたVTuberやVRChatの音楽情報ポータル「週末dig部」を企画・運営するなど、バーチャル界隈のインフラ整備のようなことも行っている。
自らのアルバム「Perspective」がiTunesでハウス日本1位、Apple Musicでハウス日本 2位を獲得し、収録した「ぱすたすきゃっと」が台湾にて単曲でハウス・ダンスの2ジャンルで iTunes 1位を獲得するも、Tunecoreのチャートの見方を知らずに放置し、半年ほど過ぎてからメールのお知らせで気付いた経歴を持つ。
このように音楽V界隈で最もよく分からない立ち位置にいることを自覚しているものの、その独特な立ち位置を生かして新しい形を見出す七草くりむを追えば知らない間に時代の先を見ることになるかもしれない。
Twitter:@xxxcreme7
YouTubeメインチャンネル
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週末dig部チャンネル
七草くりむBandcamp
日向キタロー
アニメとゲームと特撮とバーチャルが好きなオタク。
Twitter:@HinataHuto



取材・文:日向キタロー

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