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人間お兄ちゃんと妹猫

2月2日。
猫の三回目の命日。

湘南への移住計画を立てていましたが、母の呼び寄せ介護をしているうちにコロナ禍に引きずり込まれ、だんだんとメンタルが弱くなり未だ次のステップへ行けないままです。
 もし一戸建てなら、猫のお骨を庭に埋めよう。
 もし集合住宅なら、お婆ちゃんでも楽にお参りに通えるお寺さんにお預けしよう。
…そう思い描いていたけど、またの変異株でなんだか環境を変えるエネルギーが萎えてしまった。
めーちゃんの虹の国三年生は、潮風と共に迎えたかったけど、ママは最近すっかり丹田に力が入らなくなってきたよ、ごめんね。

昔のデジカメが行方不明のままで、沢山撮った子猫時代の写真が見られないのです。
代わりに、10年前の自分の猫ブログを読み返してみること半日、猫の思い出盛り沢山。
猫は当たり前にウチに居て、この世から居なくなるなんて微塵も考えなかった頃の幸せな記憶に浸りました。

昔書いたブログの、息子が10歳、小学3年生の時、猫の妹がやってきた時のひとこまの話を載せます。
息子が救出した小さな小さな140グラムの命。
友達の言葉を借りると「ササミ2本分」の身体でピィピィとお母さんを呼び続けていた命。この命が続くか一週間心配で張り詰めていたのに、その後、18年も生きてくれたことは感謝しかありません。

息子をお兄ちゃんにしてくれた。
ママを穏やかにしてくれた。
猫には、ありったけの「ありがとう」しかないのです。

〜ブログ・猫じゃないヤツぅより〜

[ママがはじめて猫をしかった日]

その日、カークは学校から帰ると ずっと怒っていました。
どうやら、リョウ君とケンカをしたようです。
ランドセルをほうり出して、おやつを食べ終わると、
宿題もしないでMemeと遊びはじめました。


Memeの体は、カークの小さい手でヒョイと簡単に
持ち上げられるほど小さかったので、
まるで、ぬいぐるみと遊んでいるように見えました。

今日のカークの手は とっても乱暴で、いやがるMemeの足をつかんだりと、とてもイジワルな手です。
そのうちMemeを投げはしないかと、ママはちょっと
心配でしたが黙って眺めていました。

Memeは、おかあさん猫の顔を知らないし
本物のオッパイをすったことがありません。
だから自分のすいつきやすいものに、チュッチュとすいつきます。
いちばん好きなのが、カークの耳たぶでした。
いつものカークは、Memeが耳をペロペロしにくるのを
わざと待っていました。
ところが、きょうは、イライラが止まりません。

カークの耳をさがして、Memeが肩にのぼってきました。
「イタい!」
カークは、とびっきり大きな声でさけびました。
「ママァ、めめが、お兄ちゃんのこと かんだよ!
すっごい、いたかったんだよ。
めめ、いけないんだよ!!!」

ママが、ため息をついて、そばにやってきました。
カークの肩からMemeをつまみ上げると
ママは大声でMemeをしかりはじめました。
「め~たん!
お兄ちゃんのこと、カミカミ、ノー!でしょう!
お兄ちゃん、イタイ、イタイでしょう!
悪い子、ペンしますパンチ!」

大きな声で、そう言うと、カークに背中を向けて
Memeのオデコをたたくふりをして
ママは自分の もう片方の手をパシンとたたきました。

カークがママのところへとんできました。
「ちがう!
 痛くなかった。めめは かんでない。」
そう言うと、ママからMemeを急いで取り上げて
いつものようにイイコ、イイコと、優しくなではじめました。

そしてカークはポツリと言いました。
「あした、リョウちゃんに ごめんね 言わなきゃね。」
Memeは、わかったように
カークの目をじっと見つめていました。


何年経っても、いつもいっしょだよ。



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