「前の学校で何を学んだの?」って聞かれたら何て言う?
教員になって2年目。
2校目の学校を去るときに、先輩の先生から聞かれたことです。
この質問の意図がわかるには、半年以上前に遡ります。
その先輩の先生は、同じ学年の先生で研究主任をしていました。
授業のプロであり、学級経営や生徒指導でもたくさん勉強させていただきました。
しかし、その先生のすごいところはそれだけではありませんでした。
何がすごいかというと、その先生の周りにいる人は、
子ども大人関係なく笑顔なんです。
職員室で会話をしている先生も、
学級の子どもたちも、
部活動の子どもたちも、
保護者の方も、
来校される方も、
みんな楽しそうなんです。
私も含めて、学年の先生方が必ず笑顔になる瞬間があります。
それは給食がない日です。
普通だったら、給食の代わりに各自でお弁当を持ってきたり、コンビニで買ってきたりします。
いつもは給食が自然と出てくるので昼食を用意しなくていいのですが、給食がない日の準備は実はめんどくさいんです。
そんな時は、先輩の先生の提案で、学年でお弁当を注文します。
お手頃で満足感のあるお弁当屋さん。
本格的なインドカレーのお店。
チェーン店のテイクアウト。
コスパ最高な和牛ステーキ屋さんなど。
その先生はいろんなお店を知っていて、食べたいものやお財布事情に合わせて、日々頑張る先生方のお腹と心を満たしてくれました。
美味しいものを食べると、会話も弾みます。
会話が弾むと、人の本音が聞けます。
本音が聞けると、新しい発見があります。
新しい発見があると、人は打ち解けられます。
お弁当を提案してくださる以外にも、
私や私以外の若手先生の困り事が何か聞いてくださったり、
ハロウィンの変装グッズを持ってきてくださったり、
プライベートのことを聞いてくださったり、
サンタさんの衣装を持ってきたり、
とにかく職員全員を笑顔にしてくださる先生でした。
そんな先生が、私を含めた若手の先生にいつも教えてくださっていたことです。
「初任者研修のときとか、異動した学校で、
『前の学校で何を学んだの?』と聞かれたら、
間違っても『授業です。』とか『生徒指導についてです。』とか
言ったらダメだよ。
教員としてそれらを学ぶのも大事だけど、
一番大事なのは、先生たちが安心して働けること。
いい子どもたちを育てたいなら、
まずは、いい職員室を作ることだよ。
先生たちが楽しく働ける場所をつくれば、
それを見て子どもたちも成長していくからね。」
2022年3月29日。
この学校で過ごす最後の日。
離任式の後、学年職員の写真を撮り、職員室で先生一人一人に挨拶をしていた時のこと。
「『前の学校で何を学んだの?』って聞かれたら何て答えればいいかわかるよね。」
この質問の答えを、私はこれから間違うわけがありません。
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