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電脳虚構

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近未来テクノロジー空想小説のショートショート
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電脳虚構#2 |ファストトラベル

傾いた廃ビルの一角、いまにも崩れそうな壁に貼られた広告をみる。 【 闇ポータル!¥49.800!大特価 】 男はその場で崩れ落ちた。 「・・・これだ、これがあればウチも再建できる!」 「ファストトラベル」が世界的なインフラとなり、常用化されて10年。 公共事業として、世界各地にポータルが設置された。 ポータルというのは正式にはTPS(トラベル・ポータル・ステーション)という装置だ。 大きさは高さ50cmほどの「ひし形のクリスタル状」の物体。 青白く発光していて、反

電脳虚構#1 | セーブポイント

西暦21XX年 「令和」と呼ばれていた時代から、テクノロジーの進歩は加速するばかりだった。 「5G」という通信技術の飛躍的な向上が起因となり、AI、ロボット工学、インフラ設備など、ありとあらゆるテクノロジーが別次元へと進化を遂げた。 スマートフォンなどというものはなくなり、米粒一粒ほどのチップをこめかみに埋め込み、アイトラッキングとや脳波で全ての操作が可能に。 車も自動運転なんて技術などは、もう時代遅れ。 仕事も学校も全てリモート、レジャー各種・ショッピングもヴァー