【エッセイ】植物と相性が悪い
せっかく庭付き一軒家に引っ越したので
植物を育ててみようと
カモミールとラベンダーの種をまいてみた。
と言っても庭はまだ工事中だから
種を育てる用のポット?
みたいなやつで育てている。
上手に育てられるだろうか。
なんといっても私は植物との相性が悪い。
これが何度目の正直だったか
思い出すことすら出来ない。
*
なぜだったか忘れたが
子供のころにラベンダーの鉢植えを
買ってもらったことがある。
ろくに水やりもせず室内で放置していたら
いつの間にか元気がなくなって
木の枝みたいになっていた。
そのころの私はそれが
枯れている状態だと認識してすらいなかった。
そのうちまた
花が咲くだろうと思っていたのである。
なんという浅はかな考え。
こんなんだからたぶん私は
植物に嫌われてしまっているのだ。
*
数年前に仕事関係のお客さんから
自宅で採れたというハーブをいくつかもらった。
挿し木で増やすことが出来るというので
挑戦してみようと鉢やらなんやらを買って
ネットで調べた通りの手順で挿し木をしてみた。
まずは肥料を入れた水につけて
根が出るのを促す。(たしか)
そして根が出たものを土に刺していく。
全てが上手に育ったわけでは無いが
いくつかは成長の兆しを見せていた。
「おぉ!これは上手くいきそうだ!」
そう思ったのは一瞬で
あっという間にその期待は打ち砕かれた。
私は根気がないので大人しく待つとか
放置するということが苦手だ。
植物もまたしかり。
毎日成長の度合いを確認したくなる。
せっかく根が生えたので
その様子を見たくて仕方がない。
ある程度時間がたつと少しだけ
刺したハーブを引っ張って
根っこの様子を観察してしまう。
こうなったら上手く育つはずがない。
元気そうに見えていた
植物たちは少しずつしおれて
地面に植わっていたころの姿は
見る影もなくなっていた。
*
挿し木事件をきっかけに(?)
植物を育てることに
本格的に興味を持った私は
「コーヒーの木」を買ってみた。
水やりはそんなにしなくて良いらしいし
きっと上手に育つはず。
そう思ったがやはり上手くいかない。
ちゃんと我慢して土が乾くまで水やりをせず
葉っぱに触れたい気持ちを抑えつつ、
窓際のそれなりに陽が当たる場所に置いていた。
のに。
いつの間にか葉っぱが黄色くなり始めて
またもや一つの生命をこの世から消してしまった。
自分が招いた結果だが
かわいそうで申し訳なくなった。
*
次こそは!と
「ルコウソウ」という花の種を買って
当時のアパートのベランダで育て始めた。
実はこれはそれなりに上手くいった。
ツタがみるみるうちに伸びて
ベランダの柵に絡みついて
綺麗な赤や白の花を咲かせることが出来たのだ。
達成感で満たされた私。
毎日終わった花を摘み
アブラムシを撃退し
長く鑑賞できるように手を尽くした。
と言いたいところだが
それが出来たのはほんの数日。
最終的にすべて枯らしてしまった。
それはなぜか。
単純に
飽きてしまったのだ。
花を咲かせることが出来た時点で
満足してしまった。
植物を育ててはダメな人間であることが
ようやく自分で分かったような気がする。
(遅すぎ)
*
だがしかし私は再び植物の栽培に
手を出してしまっている。
せっかく庭を手に入れたし。
家の中は暖かいので
観葉植物にだって良い環境だし。
色々育ててみたい。
次こそ上手くやるから。
神様どうか許してください。
植物はやっぱり好きなのだ。
日常の中に緑の葉っぱや
かわいい花たち。
良い香りのハーブなんかがあったら
最高に幸せではないか。
植物と相性が悪い私でも
何とか植物に愛されたい。
だからもっと植物を愛さなければ。
今度こそ。
頑張ります。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?