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「この仕事を選んだわけ」が書けなかったわけ

「この仕事を選んだわけ」という投稿コンテストが開催されていたが私には書けなかった。仕事がつまらないわけでなく私なりには一生懸命に取り組んでいるが、これがやりたいからと選んだわけではなく、また「仕事」に対して大きな愛情はそそげていないかもしれない。

私はどんな仕事をしたかったのだろうか。子供のころは漠然と夢があった。もちろんうわべしか知らずに制服の格好良さやドラマなどの姿とかで選んでいたのかもしれない。成長をしてからの私は大きな夢は持っていなかった。それは将来について何も考えていなかったことと時代もあったのかもしれない。バブルの終焉期ではあったがまだ日本中がいろいろな意味で盛り上がっておりやりたいことよりも会社のネームバリューのほうが大切であり、また「システム」関係の会社に入ることが格好いいと思われていた。私は大学で専攻したものを活かせる仕事をしたいと思いながらも、花形と呼ばれる仕事に魅力を感じていた。もしかすると子供のころと同じでうわべだけで選ぼうとしていたのかもしれない。結局、大手電機メーカーに入社をした。そこでは社内関係部署との連携、営業やユーザとの橋渡しや報告業務、要するに「調整」が主な業務だった。人との関わりが得意ではなかったために苦労したところは多かった。思いをうまく伝えられずに板挟みになったり、異なる意見をうまく取りまとめたりするのは大変だった。正直この業務は好きではなく向いているとは思えなかった。この会社は7年で退職した。

それから何年か経ち、仕事を探さなくてはならなくなり派遣会社に登録をして紹介されたのが今の会社だった。その時はとにかく収入を得る手段が必要だったので、やりたい仕事とか考える余裕はなかった。そこから直接雇用になりその後正社員になり今に至っている。かつて新卒で入社した会社とは扱っている製品やサービスは全く異なるが、不思議と向いていないはずの「調整」業務をしている。自分では好きではなかった業務だが、最近ではこの業務に選ばれているのかもしれないと思っている。

今の職場は来年度から無くなることが決まっている。先週移管先に業務をバトンタッチした。ここまでの道のりは平坦ではなく職場の雰囲気がだんだんと悪くなり、日々怒られ、縮小のための業務量が膨大に増え、かなり身体も精神的にもきつかった。今年度末までは支援は行っていくがようやく一段落感を感じている。自分の意志でこの仕事を選んだわけではないが、こうやって無くなることに関して言葉にできない複雑な感情がある。来年度からは新たな業務を行うことになる。それが「調整」なのか全く違うものになるかははわからないが、新たなところでがんばるだけなのかもしれない。