妄想っぽい現実っぽい妄想

今日はどうしても気分があがらなかった。
起きた瞬間から起きたくなかったし、家を出る前から家に帰りたかった。
それでも、生活は続いていく。
働かなければ働かない分、困るのは自分だ。

そんなのわーってる(わかってる)よ!



私の中の工藤新一が騒ぐ。
わかる。きれいごとはいつだって正しくて時々受け止めきれないもんね。現実はまじで厳しすぎてバーロー。

だけど、「わーってる」ことを一番わーってるのも、自分であることに変わりはない。
だから人間は、自力でアゲアゲにしていく必要がある。
そんな時に私がよくやるのが「脳内密着取材」
つまるところ、脳内情熱大陸。

今日は、終日気分があがらなかった私がどんな1日を過ごし、どんな密着取材を受けたのか、記録していこうと思う。




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まず起床。前日によく眠れなかったせいで遅起きした。特段目指しているわけではないにせよ#丁寧な暮らし とは随分かけ離れてしまった。



続いて出勤。出勤途中、雪かきをしている顔見知りのご夫婦の前でしっかり転んだ。
昨日はミニスカ丈のニットワンピにタイツだったのだけど、今日はジーンズを履いていてよかった。
朝、服に時間をかける余裕がなかった私のおかげに間違いない。



出勤に使う電車はすぐ遅延する。
今日は積雪による遅延で初めて遅刻してしまった。密着初日になんということか。
7分の出社遅れにより、「遅刻」という社会人としての信用問題になってしまうのは非常に悔しいが、気持ちを切り替えて成果を上げるしかない。



仕事中も密着は続く。
少々やりにくいけれど、カメラがあるおかげで背筋が伸びるのも事実だ。
番組の撮れ高も気になるので「失敗を重ねつつなんとか前進をしている姿」を見せ、もとい演出した。



休憩時間。午前の仕事の出来をインタビューされることになっていた。
おにぎりを頬張りながら、直前に社内PCで調べておいたそれっぽい単語を吐き出す。

「そうですね、密なコミュニケーションのおかげでソリューションに向けたスキームを作れたのではないでしょうか。」
「この進捗だと午後のスケジュールにはバッファを設定しておいた方がよさそうですね。」



午後の仕事も終わると、とっぷり日は暮れた。帰りの電車ではいつも好きな音楽やラジオを聴くのに、今日は雰囲気を出すためにビジネス英会話を聴いてみた。寝た。



最寄りから家路までの徒歩中も取材。
「さっき、英会話聴きながら寝てましたよね。」

「そうですね...睡眠は大事ですので体調管理の一環ですね。」
「恐れ入りますが、これからセブンルールの取材もありますので、本日はこれで。」




売れっ子だ。




ちなみにこのあと取材を受けたセブンルールの放送をチェックしたら、こんな感じにまとまっていた。

(参照: https://my7rules.jp/)
(名字は一応塗りつぶしました。)


うん、なかなか言語化されている。



情熱大陸の方はどんな感じで編集されるかな。
そう思いながら、今布団の中でこれを書いている。


できてない人間の1日なんてこんなもんだ。
それでも少しは自力で「楽しい気持ち」や「あがる要素」をふりかけながら生活している。
誰だって、脳内で取材を受ける権利はあるもんね。


ところで妹に「その脳内密着って『逃げ恥』のみくりさん?」と言われたので、逃げ恥を観てみた。W主人公のみくりさんは脳内密着を繰り広げていたし、めちゃめちゃ面白くてキュンキュンするお話だった。ただ、1話目を見終わってから「私これ全話見たことあるわ」と気がついた。

パクった自覚のない模倣犯は一番たちが悪い。

なんだ、自力で思いついたつもりの脳内密着、逃げ恥が元ネタだったじゃん。




気づいた瞬間、今密着のために横にいるはずだったプロフェッショナル〜仕事の流儀〜のADが少し霞んで見えた。