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感想「ひぐらしのなく頃に業 鬼騙し編」

今期放送中のアニメ「ひぐらしのなく頃に業」を語りたいと思います。

……

本当は語るつもりはありませんでした。ここ数年のリバイバルブームに便乗したリメイクアニメだと思っていたので、肩の力を抜いて流し見するくらいの気分でしたので。

しかし完全新作となると話は全く変わってきます。しかも回を増すごとに明確に面白く、わくわくするような魅せ方をしてくるので、もうたまりません。

しっかりと語って行きたいと思います。

・前置き

「ひぐらしのなく頃に」というこの物語、原作ゲームから派生してたくさんの章が存在します。

基本的には出題編の

・鬼隠し編

・綿流し編

・祟殺し編

に、解答編の

・目明し編

・罪滅し編

・皆殺し編

・祭囃し編

これら7つが基本軸です。これだけ知っていれば、とりあえず「ひぐらし」がどういう物語で、どういう顛末を辿るのかが分かるわけです。つまるところ、ネタバレ回避のために必須となる項目という事です。

逆に言えば、他の編はあまり重要ではないという事になります。

重要人物である赤坂さんが登場する「暇潰し編」はともかく、本編の舞台である雛見沢を離れた少女の物語である「染伝し編」や、赤坂さんや大石刑事と関係があるというだけで本編には一切絡んでこない巴警部が主役の「解々し編」、オヤシロ様の過去を描いた「言祝し編」などは、知っていてもいなくても問題無いでしょう。まして格ゲーモノの「ひぐらしデイブレイク」やそれを元にしたラブコメ回の「昼壊し編」などもあるくらいですし、派生作品を追っていくのはきりがないでしょう。

とはいえそれは、あくまでこれまでの話。

出題編でも解答編でもない新たな完全新作「鬼騙し編」「綿騙し編」「祟騙し編」が展開され始めた以上、その辺りの番外編の考慮が必要無いとは言い切れない状態です。まして別作品「うみねこのなく頃に」まで考慮しなければならない可能性だってあるわけです。

残念ながらこの場所では、そこまでの考察は不可能です。やや私事になりますが、わたしは小さい頃にDSの「ひぐらしのなく頃に絆」をプレイした事があるのみです。人生初めてのホラーゲームに眠れない夜を過ごしながらカセット4本を消化したのは良い思い出です。

……であるからして、わたしの事前知識は「絆」に収録されていた内容のみです。パチンコや「ひぐらしの哭く頃に雀」は言うまでもありませんが、アニメのひぐらしすら見た事が無いクチです。

そんなにわかひぐらしファンなので、思わぬ見逃しがあるかもしれません。それを念頭に置いた上で、考察をしていく事をお許しください。

以下、鬼騙し編並びに過去作のネタバレ注意!

鬼騙し編

……

いやあ、騙されました。

「鬼騙し編」って表記、最初からありましたっけ? 最初の頃はサブタイトルを伏せていたんでしょうか。あるいはわたしが全く気が付かなかっただけなのかは分かりませんが……でもしれっと「騙し」って書かれていても、「隠し」って呼んでいそうです。こういうの、補完効果っていうんでしたっけ?

さて、一話は完全に鬼隠し編の道筋をそのまま辿っていましたが……徐々に様相が変わっていきます。その変化を少しずつ羅列していきましょう。

・綿流し後の富竹さんの動向について

鬼隠し編では「死亡」していた富竹さん。鬼騙し編では死亡ではなく、「行方不明」という事でした。

大した違いが無いようで、非常に重要です。何故なら綿流しのお祭りの後に起きる「鬼隠し」は、「一人死んで一人消える」がルールだからです。死ぬはずの富竹さんが鷹野さんと一緒にいなくなったというのは、一体どういう事なのでしょう。少なくとも「鬼隠し」では起こっていなかった事ではないでしょうか。

・圭一の記憶

これは非常に重要な項目です。

ゴミ捨て場でナタを振り下ろした時、またレナが家を訪ねてきた時の圭一は、「鬼隠し編」における自身の所業を断片的ながら思い出しています。

通常世界が巻き戻ると、巻き戻る前の記憶は無くなります。そのルールが唯一適用されないのが梨花でした。

梨花以外で巻き戻る前の記憶を持っていた事があるのは、「罪滅し編」の圭一のみです。その圭一の現象を梨花は「奇跡」と呼び、基本的にその現象があり得ない事であると語っていました。

それが再び起こったというのは、どういう事でしょうか。

「罪滅し編」の時と同じく、「奇跡」という事なのでしょうか。それとも羽入の介入が無いこの世界では、梨花以外も記憶を持ち越す可能性があるという事の示唆なのでしょうか。ならば、今回の敵は鷹野だけではないという事にも繋がりそうです。

・レナの様子

有名な「嘘だ!」のシーン。「鬼隠し編」のレナは突然豹変して圭一を脅かすだけでしたが、今回は違います。レナは自分の頑張りを語っていました。

レナの「頑張り」というのは、「罪滅し編」における間宮リナによる家庭問題の解決のための奔走を指しています。そしてその際、レナはリナを殺害しています。

死体を捨てた先は例のゴミ捨て場でしたが……今回もそうだとしたら、わざわざ圭一をゴミ捨て場に誘った理由がちょっと分からなくなってしまいます。

ですがその点を除けば、レナは「罪滅し編」を踏襲した動きをしているという事になります。

「綿流し編」と「目明し編」は基本的にほとんど同じお話を、視点を変える事によって出題編と解決編として区別していますが、「鬼隠し編」と「罪滅し編」は対になっているだけで全然違うお話です。それが同時に起こっているとなると、非常に複雑な事になってきます。なにせ、惨劇を起こす要因が二人に増えてしまったというわけですからね。

・梨花のアドバイス

レナを怖がる圭一に、梨花がアドバイスをします。要するにレナは怖くない、と。

これは、梨花が今までと変わらず巻き戻し前の記憶を持っている事の表れでしょう。「鬼隠し編」を体験してきた梨花は、雛見沢症候群にかかってレナと魅音殺害し、自身も首を掻きむしって死んでしまう圭一の末路を知っており、それを回避するために圭一の不安を取り除く方向に動いたわけですね。

しかし梨花は、同時進行でレナが「罪滅し編」の動きを踏襲している事を知らないのでしょう。おそらくこれまでの経験上、そういう事はあり得ないとしていたのでしょう。

梨花の経験則では想定しきれない事態が起きているという事ですね。

・診療所について

風邪気味の圭一が赴いた診療所は、引っ越し業者のような人で溢れかえっていました。

明らかに山狗部隊です。「鬼隠し編」では起こらなかった事態です。入江機関で何かしらが起こったとみるべきでしょう。

ちなみにこのシーン、漫画版にはありません。さして重要ではないのでしょうか……あるいは尺の問題かもしれませんが。

・レナの訪問について

レナが圭一のために晩御飯を作りに来てくれるシーン。「鬼隠し編」ではここで圭一がレナを怪我させた上に冷たく追い返し、その翌日からバットで素振りをするようになり、ますます不可思議な事が続き、いよいよ物語がホラーになっていきます。

が、「鬼騙し編」ではここがクライマックスの場です。あまりにも早すぎる展開に、それこそ梨花も想定していなかった事でしょう。

そしてここから、レナの暴走だけでは説明がつかない事態が連続します。

・執拗なノック

レナは圭一が扉を開けてくれるのを待つ間、何度も乱暴に扉を叩いたりノブを引いたりしていました。これはレナの普段の性格からも、その場の状況からも不合理な事です。圭一もしくはレナが、深刻なレベルの雛見沢症候群に罹っている事が分かります。

どちらが、といえば、この場合は圭一でしょう。何故なら圭一が扉を開けた時、レナは両手で重箱の包みを持っていたからです。ノックが出来るわけもない状態。それなのにノックが聞こえたというのは、幻聴以外に考えられません。

ただしこのシーン、漫画版ではレナは重箱を下に置いています。アニメの方でも、実は圭一が扉を開ける前数秒ではノックの音が聞こえませんでした。重要なのかそうでないのかは分からないのですが……

・レナの首

豹変した際、レナは首を掻きむしっていました。これはL5の症状です。レナが雛見沢症候群に罹っているのは明らかですね。

これが圭一の幻覚……という事も考えられないではありませんが、その直後にレナは父親について言及しています。圭一はレナの家庭環境を知りません。いかに幻覚といえど、本人の知らない情報は出てこないでしょう。レナが狂っているからこそレナの口から飛び出した言葉だと言えましょう。

・頑丈すぎる圭一

正直このシーンはちょっと笑ってしまいました。

包丁で何度も腹を刺されても反撃する力を残し、しかも圭一のみが生き残るという展開は、さすがにちょっと不自然です。演出といえばそれまでなのですが……そもそも圭一は、フィジカルでレナに敵いません。男女差はあれど所詮中学生、しかも圭一は雛見沢に来るまでは優等生のモヤシっ子ですからね。そんな圭一が凶器を持ったレナを相手に打ち勝つのは、難しいような気がします。

実はレナはかなり早い段階で圭一の反撃によってこと切れていて、そこから先は全て圭一の妄想……と考えた方が自然です。

そうなると圭一も雛見沢症候群に罹っているという事ですが……

・魅音の供述

病院にて目を覚ました圭一がどのような立場に置かれているのか、結局明らかにならずに「鬼騙し編」が終わってしまいました。血だらけの他殺体になったレナと、生き残った圭一。警察がこの事件をどう処理する方針になったのか……魅音の供述から少しだけ考察できるような気がします。

「レナは助からなかった」

とりあえずレナの死は確定ですね。でも「助からなかった」というのは、いかにも被害者寄りの発言です。魅音が「圭一がレナを殺した」という認識を持っているならば、もう少し責めるような言葉になるはずです。そうならないという事は、魅音は圭一の事を被害者だと認識しているという事ですね。

「圭ちゃんだけでも助かった事が幸運だった」

これが非常に意味深です。この言い回しだと、レナが圭一を襲った犯人であるという認識も無さそうです。その後の梨花と沙都子の話も相まって、第三者が犯人である、それでなくとも魅音がそう認識しているという線が強そうに思えます。

・梨花と沙都子の死について

なんだかついでのように死んでいる二人ですが、ついでで殺されてはたまりませんね。この二人の死に関しては、判断材料が少なすぎてほとんど何も分かりません。

とはいえ、梨花がこの時点で死んでいるというのは結構な問題です。

梨花は本来女王感染者として、死んだときに大災害が起こるように鷹野に仕向けられています。

が、今回はそうではないようです。

であれば梨花の死に山狗は関わっていないという事になります。山狗がやったのなら大災害が起こるでしょうから。あるいは大災害を望む鷹野が山狗をコントロール出来なくなったというのもありそうではあるのですが、その場合山狗には梨花を殺す動機そのものが無くなってしまうので、やっぱり無いでしょう。

・圭一の首

今更ですが、圭一もL5になっていたようです。こうなるともうわけわかんないですね。ただでさえ混沌としているのに、語り部が信用できなくなったらもうどうしようもないです。

・まとめ

雛見沢症候群に罹っていたのは圭一とレナ。

圭一とレナ、梨花と沙都子を殺害したのは第三者説が濃厚。その第三者はおそらく山狗ではない。

うーん……

これじゃあ何も分かっていないも同然ですね。

敢えて犯人候補になりそうな第三者を挙げるなら、詩音、入江、大石とかでしょうか……現時点じゃ完全に当てずっぽうですけれど。

なんとなくポイントっぽいのは、「鬼隠し編」で死ぬはずだった圭一と魅音が生き残っている事ですかね。いや、関係無いかもしれませんが。

しかし面白いですね、これは。「鬼隠し編」を知っている視聴者を騙しに騙す、まさに「鬼騙し編」。

次回の「綿騙し編」も近いうちに語りたいと思います。

・梨花について

厳密には「鬼騙し編」の事じゃないのでおまけみたいに語りますが……そもそも梨花は何故今更になってまた時間を巻き戻されるハメになったのでしょうか。

アニメ二話の冒頭およびオープニングでは、中学生か高校生くらいの梨花なのですが……そのくらいの時期にまた死んでしまったという事ですかね。羽入が何故か干渉できないのもそこに関係がありそうです。

でも羽入関係になると、どんな設定が生えてきても不思議ではないので、もう語りようがありませんね。ちょっとここは様子見で。

総評

「鬼騙し編」、面白かったです。

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