感想「ドラゴンボール超 13巻」
「ドラゴンボール超」最新刊が発売されました。
読んだので語りたいと思います。
漫画そのものについては、以前に書いた記事で紹介していますので、興味があればそちらをご覧ください。
・前巻までのあらすじ
前巻を購入した際に感想記事を書いているので、それをリンクします。
以下、最新刊のネタバレ注意!
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・盗賊団VS地球人
前回モロとともに地球に来た銀河盗賊団を迎え撃つため、銀河パトロールと地球の戦士達が徒党を組んで立ち向かいました。今回はブルマのドローンというかたちで、その戦闘が第三者目線から見られるようになっています。
今更ブルマやデンデが視認出来るレベルの戦いではないとは思いますが……そんな事をいちいち突っ込んでいてはインフレしきったバトル描写がまるごと成り立たなくなってしまいますので、そこは気にしないようにしましょう。ブルマの科学力でなんとかなっているのでしょう。
そんなどうでもいい事は置いておくとして地球人は各々戦っています。
・クリリン
前回の戦いで敗北を喫したパンダの盗賊団員との戦闘です。
このパンダ、かなり戦いなれているのかクリリンが放った気円斬を側面から弾き飛ばし、回避しています。つまり気円斬の性質を初見で見抜いたという事になるでしょう。ナッパには出来なかった事です。一介の盗賊団員とはいえ、サイヤ人のエリート戦士などとはもはや比べ物にならないほどの戦闘力の持ち主……戦闘センスも桁違いのようです。
というかこの場合に関しては、ナッパの方が間抜けだったという事でしょうか。フリーザに似たような技(デスソーサー)を使われた悟空はすぐにその技の性質に気が付いていますし、ベジータは言うまでもありません。どころか天下一武道会において18号に気円斬っぽい技を使われた悟天やトランクスでさえ技を見てきちんと避けようとしていた辺り、ナッパ側に落ち度があると言わざるを得ません。
サイヤ人は戦闘センスに優れているという設定ですが……いや、ここまで挙げた人物はナッパも含めて全員サイヤ人なので、皆センスそのものはずば抜けているのでしょう。その中でもナッパは一番センスが無かったというだけで。
……なんか、過剰にナッパを貶めるような記事になってしまって申し訳ありません。他意は無いのです。気円斬の性質が見抜けなかっただけでここまで言うのはナッパに悪いような気がしてきました。かつて地球に襲来してきた際のナッパの活躍を思うと、わたしの中では今でもナッパは強キャラです。
なんだか罪悪感があるので、ナッパが目立つように画像を貼っておきます。
さて、話を戻しましょう。パンダ盗賊団員は強いです。が、そんな相手にクリリンは今回こそ本気です。
思えばクリリンは気円斬を習得して以降、明らかに格上の相手との戦闘ばかりでした。例外を挙げるなら、ナメック星到着時点でのモブフリーザ軍とグルトを相手にした時くらいでしょうか。
それ以外の相手はナッパ、ベジータ、ドドリア、リクーム、フリーザ、セルと、どうやっても一人では勝ち目の無い相手とばかり戦ってきました。つまりこのパンダはクリリンの戦歴にして、珍しく「勝てるかどうか分からない程度の相手」というわけでした。
そんなクリリンは力ではなく搦め手で、パンダを翻弄して倒します。気円斬を複数操作し、残像拳とかめはめ波によって鎮圧と、クリリンらしい戦い方でした。6ページも使って丁寧に描写され、珍しく優遇された感じでした。
・VSメタルマン
なんというか……天津飯はもうすっかりギャグキャラですね。
真面目でストイックで、だからこそ一線を退いた地球人達と違って随所で活躍の余地を残していたという強みがあったのですが……真面目な修行の甲斐もなく「力の大会」ではフロストにあっさり倒され、今回もチャオズに駄目だしされる始末……
・亀仙人VS女囚人×3
亀仙人は「力の大会」にて「身勝手の極意」に似た技術を用い、終盤まで生き残っていました。その力は今回も遺憾なく発揮される……
と思いきや。
囚人達の合体によって、それすら簡単に通じないほどの力量差が発生してしまいました。やはり身勝手の極意に似た力と言っても、限界があるという事でしょう。
というかそもそも身勝手の極意って、要するに戦闘技術の向上のためのものですよね。いくら相手の攻撃に勝手に反応出来ても、身体の稼働速度が追い付かなければ意味が無いというものです。やはりモノを言うのが戦闘力というのが、この漫画の無情さですね。
・ヤムチャ
ああっヤムチャさまも……!!
これだけで済ませてしまうのが、最高に扱い悪いです。前回ヤムチャらしからぬ活躍を見せていたしわ寄せが来たのでしょうか。他の面子と比べても圧倒的に不遇です。可哀想ですが笑えます。プーアル以外誰一人としてヤムチャを気にかけている様子が無いのもリアルです。
・VSザガンボ
ここまでくるともう滅茶苦茶ですね。御飯・ピッコロ・17号・18号と、ドラゴンボール超における二軍戦士が全員でかかっても歯が立たないほどの相手というのは、単純に考えるとケフラやトッポ以上の実力者ではないでしょうか。こんなレベルの相手を量産出来るモロは、普通に破壊神や全王が動くレベルなのではないでしょうか。ビルス様、無能。
・悟空到着
瞬間移動を駆使して、地球戦士が苦戦していた相手をあっさり下し、モロの下へと向かう悟空。
それやっちゃうか……
いや、物語の筋書き上全く間違いではないんです。他の面子よりも圧倒的に強い悟空が瞬間移動という特技を習得している以上、悟空がクリリンの気を感じ取れた段階で各々の戦闘が終わっていなければ、こうなるのは必然というものです。
でもそれはメタ的に、地球戦士の頑張りが無駄になっているように見えて仕方が無いのです。
一体この「ドラゴンボール超」では、昔の仲間を優遇したいのか冷遇したいのか……よく分からなくなってきます。せめてモロ以外の盗賊団達は、地球に集まった面子だけで倒して欲しかったと思うのですが……
そう考えるのは多分、読み手側の傲慢でしょう。
ともあれ物語はそう進行しているので、それに従います。
いよいよモロ対悟空の戦闘が始まります。
・身勝手の極意"兆"
悟空が新たに引っ提げてきた新形態は、かつて「力の大会」にて一時的にその片鱗を見せた「身勝手の極意"兆"」でした。
おそらく「超サイヤ人ゴッド」の派生形で、こころなしかゴッドに変身した時と同じく筋肉量が減っている他、瞳の形状が少し変化しています。超速度での移動を得意としている形態なのか、モロのエネルギー吸収の対象に入らないよう上手く立ち回る方法も持ち合わせているようです。
ただし本来の「身勝手の極意」ではなく成りたての不安定な形態であるがゆえに体力消費が激しく、長期戦に向かないという事でした。
ここの戦闘は、大迫力です。今巻のウリはまさにここだと思います。原作の「ドラゴンボール」を彷彿とさせるような格闘描写は必見です。
・モロの本気
エネルギー吸収は通じずとも、モロにはこれまでのエネルギー吸収によって得た力があります。既に素の能力でもフルパワーの悟空と同等以上の力を持っていたようです。身勝手の極意"兆"によって徐々にフルパワーを保てなくなってきている悟空と、力の差が開いていきます。
ですがそれは悟空の「ゴッド」を解いてしまい、ベジータに気を探らせる隙となりました。もちろんそんな事はモロの知るところではないので致し方ない要素ではありますが。
かくしてベジータも、ヤードラット星にて手にした新しい技を引っ提げて参戦しました。
気になるところで次巻に続きます。おそらく次は4か月後……気長に待ちましょう。
・破壊神と天使のスタンスについて
ビルス様、無能。
確か作中においての破壊神の責務は、放置していては他の善良な星に悪影響を与えてしまうような星を破壊したり、悪人だらけで公正の余地が無い人類の住む星を消滅させたりという感じであって、適当に数を間引いてやれば良いというものではなかったはずです。そんなんだから下から二番目とか言われるんですよ。
この辺りは明らかに、ビルス様の怠慢として作中で描かれています。いずれ彼が正しい形で裁かれて、もっと有能な破壊神が派遣されてくる事を願うばかりです。
もっともメタ的な目線として、ビルス様が有能だったら「超」における長編のほとんどがビルス様の活躍物語になってしまうので、なかなか難しいところです。ビルス様は過剰なインフレを防ぐための舞台装置として稼働している側面があり、悟空がビルス様よりも強くなるというのは展開として、ビルス様の存在意義が失われてしまうため、とりあえず現時点ではあってはならない事なのでしょう。
ビルス様が悟空よりも強い以上、悟空のお株を奪ってしまうため活躍出来ない。悟空がビルス様よりも強くなる事は、お話の都合上無い。
そうなるとビルス様はどうあっても活躍できませんね。難しいところです。
破壊の権限は全て破壊神にあり、天使はそれを見ている事しか出来ないという、辛い現実がメルスにのしかかります。
一体天使はどうして存在するのか、そこに存在意義はあるのか……とメルスが思い悩んでしまいそうです。第二の「未来トランクス編」……にはならないでしょうが。メルスはザマスと違って身勝手な部分が無いので、善良なまま消滅する線の方が強そうです。
ともあれ今回破壊神や天使はこれ以上介入しそうにありません。ベジータ次第です。
総評
戦闘が良かったです。
モロ編もそろそろ結構な長さになってきています。そろそろ佳境に入ってきているのではないでしょうか。先が気になります。
13巻の満足度:58/100